良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『快盗ルビイ』(1988)キョンキョンの可愛さを前面に押し出したコメディ。

 ここ数年、何かと世間を騒がせているのが僕ら世代のアイドルだった小泉今日子です。マスコミからはバッシングされがちですが、個人的には「キョンキョンなんだから、何やってもイイじゃん!」「見逃してやれよ!」という感覚で見ています。
 
 なんてったってキョンキョンなんです。80年代アイドルの中でも聖子、明菜、キョンキョンの三人は別格で、昔のヒット曲を聴いてもなお新鮮で魅力的です。
 
 アイドル界の正統派の太陽として中心に君臨し、出す曲のほとんどをチャート1位に送り込んだ松田聖子。彼女の後を追うようにデビューして、陰がある不良っぽさが売りで孤高の北極星のような実力派の中森明菜にはファンが二大派閥を作り、お互いに認めない感じがしていました。
 

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 一方で表面上はサバサバしていて明るくて、カメレオンのようにパブリック・イメージを変えていったのが小泉今日子です。彼女は姉御肌というか、サッパリした姐さんという感じではあります。
 
 当時から、ぼくらのミューズだったキョンキョンは男前な厳しさを眼の奥底に持つ番長のような雰囲気を持っていました。不思議なことに聖子や明菜を嫌う人はいましたが、キョンキョンが嫌いという人には会ったことがない。
 
 今でも明菜とキョンキョンのレコードをベスト盤やシングル中心に持っているので、ちょこちょこ聴いていますが、彼女たちが『難破船』『Sweet Memories』『木枯らしに抱かれて』を歌っていたのは二十代前半です。
 

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 最近のアイドルの楽曲全般は一部を除いて小中学生向けではっきり言って、歌詞に重みがない。このへんが飽きられやすい原因でしょう。それはともかく、楽しいのはキョンキョンのベスト盤です。
 
 初期の楽曲を纏めた『セレブレーション』は赤いジャケ(しかもレコードは赤盤)、『夜明けのMew』までの中期をセレクトした『ザ・ベスト』は青いジャケで、ビートルズマニアならば、思わずニヤニヤしてしまう仕掛けになっています。
 
 アナログ時代のベストでは明菜も二枚目のベスト盤まではいわゆるみんながよく知っているナンバーが満載されています。
 

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 ぼくは明菜のベストはジャケが地味な1枚目を持っていて、その後の曲は好きだった『ジプシークイーン』『TANGO NOIR』『TATTOO』などをシングルで持っており、久しぶりに聴いてみました。
 
 残念ながら、『TANGO NOIR』にカビが生えていたので、①静電気除去②クリーニング液に浸す③歯ブラシで研磨④バキュームクリーナー使用⑤仕上げの不織布で水分を取り⑤クリーニング再生を数回繰り返して、元通りの状態に戻しました。
 
 キョンキョン作品に関してはベスト盤2枚、ヒットしたシングル『半分少女』を収録していて何故か一番好きだった『ウィスパー』、そして今回記事にする『快盗ルビイ』、その他では『GOOD MOONING CALL』『水のルージュ』『木枯らしに抱かれて』『Fade Out』などが残っています。
 
 キョンキョンのライヴにもちょこちょこ出かけていた時期とレコードからCDに切り替わるタイミングが同じでしたので、当時はどっちを買おうか迷う頃でもありました。
 

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 最後に見に行った頃は『快盗ルビイ』が公開され、『学園天国』などもヒットしており、ライヴでもアクビちゃんの歌を楽しそうに歌っていました。
 
 懐メロをライヴで歌うときはステージにミラーボールが降りてくるベタな演出が楽しかった。キョンキョンはけっこうアニメ好きのようで、のちには『やつらの足音のバラード』などもカバーしていました。
 
 ハウスサウンドを大胆に取り入れ、近田春夫が手掛けた7分以上に渡る斬新なシングル『Fade Out』などは強く印象に残っており、ライヴでも大盛り上がりしていました。
 

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  映画自体の話をすると、学生時代にマニアの友人と一緒に映画館まで観に行きました。和田誠監督作品としては『麻雀放浪記』が有名でしょうが、個人的にはこちらの『快盗ルビイ』のほうが好みです。
 
 なんてったってキョンキョンの可愛らしさを全面に押し出した作品に仕上げられており、スクリーンにアップで映し出される彼女を見て、ボンクラばかりのボクら観客は多幸感に浸りながら時間を過ごしました。
 
 真田広之を犯罪に巻き込んで行くキョンキョンは普通に考えるとイカれた女ではありますが、盗みに入った部屋に軟禁されている状況下で風呂に入るような真田広之もかなりアタマがおかしいのでどっこいどっこいです。
 

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 その他覚えているのはキョンキョンの部屋に飾られたハンフリー・ボガードの大きな壁掛け写真、『ハロー・メリールウ』『ポエ卜リー・イン・モーション』などのオールディーズナンバーの選曲のセンスが良い。
 
 ポエトリーは動く芸術という意味なので、まさにアイドル絶頂期から女優にシフトチェンジしていこうとしていたキョンキョンに相応しい選曲で、和田誠のセンスが光っています。
 
 黒のボディコンスタイルで歩いているシーンで、友人が「キョンキョン、これノーブラじゃないか?」と言い出したのを妙に生々しく覚えています。
 
 挿入されるエピソードとしては5000円するキャビア(劇中に出てくるようなサイズの小瓶は今でも同じ程度の値段です。)を大事そうに食べるシーンなどです。
 

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 バブル当時は国際便のパイロットはアツアツご飯にキャビアを山盛りにして、醤油をぶっかけて掻き込むキャビア丼を普段から無造作に楽しんでいたらしい。
 
 バブル期には5000円というのはそれほど高価という訳ではありませんでしたので、天本英世とのやりとりで分かるのは真田広之が慎ましく水野久美と暮らしていて、バブルにも踊らされずに真面目に生きていた庶民だったということでしょう。
 
 一方のキョンキョンシャンパンや海外旅行に繰り出すボディコンを着こなしていて、イケイケの奔りみたいな感じです。ちなみに下の画像は当時のキョンキョンファンを狂喜させた三菱霧ヶ峰CMのものです。
 

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  キャスティングが洒落ていて、カメオ出演のように岡田真澄吉田日出子(じつは大好き!)、天本英世名古屋章伊佐山ひろ子斎藤晴彦木の実ナナ水野久美ら渋めの俳優たちがキョンキョンを支えてくれています。
 
 不満点としてはキョンキョンの恋人役と泥棒の相棒役の人選で、陣内孝則真田広之を逆にしていたほうがしっくりとハマったのは間違いない。
 
 事務所の力関係や興行の宣伝効果を考えると仕方ないもののクオリティを下げてしまいました。入浴エピソードも陣内孝則がずぶ濡れだったなら、「こいつアホか?」で済んだでしょう。真田広之だと違和感しかない。
 

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 まあ、それでも間抜けな泥棒一味、ルビイ快盗団の暗躍はどこか微笑ましい。あくまでも快盗であり、怪盗ではない。
 
 キョンキョンがこれから先どうするのかは読めませんが、彼女らしくしぶとくハッピーでいて欲しい。働かないタレントとして、成りはちっちゃいけど、油断するとヤケドするキョンキョンでいて欲しい。
 
 本人からすると、ヤンチャな感じで「よけーなお世話だよ〜!」って笑いそうです。ぼくらデビューからついて行っているボンクラファンは何やっても支えます。ただ選挙だけは止めて欲しいなあ…。
 
総合評価 70点
 

 

 

 

 

 

Recollection~中森明菜スーパー・ベスト~

Recollection~中森明菜スーパー・ベスト~

  • アーティスト:中森明菜
  • 発売日: 1998/05/25
  • メディア: CD
 

 

『マッドマックス2』(1981)副題はロード・ウォリアーって、知っていました?

 武漢ウイルスからの回復期(仮)となる現在、映画館の営業も恐る恐るという感じではあるものの徐々に新作が公開されだしています。そんな中、映画マニアの評価が高い旧作を合間合間に掛けている劇場も多い。
 
 そんな訳で今週は学生時代というよりも、小学生のころに衝撃を受けた『マッドマックス』の続編にして、少なくとも二十回以上は見てきた『マッドマックス2』を今回ようやく映画館の巨大スクリーンで楽しめる機会に恵まれました。
 

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 登場キャラクターがみな個性的で、主役マックス(メル・ギブソン)はもちろんのこと、相棒ジャイロ・キャプテン(ブルース・スペンス)、野生児フェラル・キッド(エミル・ミンティ)、ウェズ(ヴァーノン・ウェルズ)、ヒューマンガス(ケル・二ルソン)、女戦士(バージニア・ヘイ)…。なんかクセがスゴイ面子です。
 
 まず驚いたのはこの作品がR-15+に指定されてしまっていることでした。てことは現在は中3以上しか自由に見れない状態になっているということです。序盤の集団暴行及び強姦からの無慈悲な殺戮シーンやマックスの飼い犬を殺害するシーン、そもそも連打される暴力的描写の数々が現在の生ぬるい上映コードに引っかかってしまうからでしょうか。
 

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 ということは『マッドマックス2』を地上波ノーカットで楽しむ日は来ないことを意味します。遅れてくる未来の映画ファンやマニア候補は後に編集されて毒気を抜かれたマックス・カタンスキーしか見られないのです。
 
 まあ、テレビという戦後メディア自体がジリ貧で堅苦しい時代遅れの産物に成りかけているので、ネットで見る人には大した問題ではないかもしれない。一部のクレーマーに阿り、臭いものに蓋をし続けた結果なので、自業自得でもある。
 

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 子供時代こそ、衝撃的な作品を見て、トラウマを得る体験が必要だと思います。社会はより厳しい訳ですから、過保護にブロックするのは不要でしょう。それはさておき、『マッドマックス2』は若い子達にはどう響くのだろうか。
 
 パンクやメタル、インディーズを好む気質の子達には受け入れてもらえそうですか、母親ブロックが強く、ファイアーウォールみたいに守られているおぼっちゃまくんには届かなそうです。
 

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 大きなスクリーンならではで細かいところまで目が届くようになり、ウェズ(ヴァーノン・ウェルズ)のヤンチャぶりやヒューマンガス(ケル・二ルソン)のムキムキと残り少ない頭髪がより目立ちますし、トレーラー追撃シークエンスの荒野の広がりが迫ってきます。
 
 マックスが運び入れたトレーラー絡みでパッパガーロ(マイケル・プレストン。なんか顔がミック・ジャガーっぽい)が日中に整備士から修理に二十四時間掛かると告げられ、有無を言わさずに「十二時間でやれ!」と強く命じるシーンがありますが、その前に「今夜出発するぞ!」のセリフがあり、準備でバタバタしているうちに夕陽を映し出すカットが入ります。
 

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 その後、夜中に傷ついたマックスが特攻ドライバーに志願するシーンに続きます。で、結局脱出作戦が結構されるのが日が出てからでした。つまり、急いでも修理には18時間ほど要したと言う事なのでしょう。
 
 細かいことではありますが、お金を払って、大画面に接するとより集中力が増し、見えてくる部分も多くなりますので、出来るだけ映画館に行きましょう。何度も見てきたはずですが、新たな発見が見つかり、一人で喜んでいました。
 
 そう、観客は僕一人でした。しょうもない作品を見るよりはよほど素晴らしいスクリーン体験ができるのに主婦層やファミリー層はドリトル先生の方がニーズを掴んでいるようです。なんだかなあ…。
 
総合評価 95点
 

 

マッドマックス2 [DVD]

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  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: DVD
 

 

 

 

 

 

『稲村ジェーン』(1990)寒かったし、長かったよね、これ!音楽は最高だが…

 ここ一ヶ月以上、緊急事態宣言の影響で映画館に通えなくなっていたため復活した趣味の1つがレコード鑑賞で当然聴くのはレコード時代に存在していたアーティストやバンドの作品群です。
 
 僕が10代だった頃に聴いていた日本人アーティストはYMO、RCサクセション、佐野元春松任谷由実スターリンなどのインディーズ、そしてサザンオールスターズなどでした。今年の春先はよくユーミン(おもに荒井由実時代)を手に取っていましたが、夏が近づき、最近はサザンオールスターズが我が家のレコードプレーヤーにちょいちょい載っています。
 
 『10ナンバーズ・カラット』『タイニー・バブルス』『ステレオ太陽族』『NUDE MAN』『綺麗』『人気者で行こう』『KAMAKURA』などのアルバムや『ボディスペシャルⅡ』『YAYA あの時代を忘れない』などのシングルを聴いています。
 
 そんなときにふと「『希望の轍』って、何に入ってたんだろう?シングル盤ってレコードあったっけ?」と思い立ち、「『みんなのうた』はレコード買ったなあ。『フリフリ'65』ってレコード持っていた記憶があるけどCDだったかな?」とか色々思い出してきました。
 
 そして、「そうだ。確か『稲村ジェーンに入っていたなあ。」と思い出し、サントラ盤を調べると、ヤフオクとかでもCDだけでした。たぶん『世に万葉の花が咲くなり』やシングル『女神たちへの情歌』辺りからは残念ながら、フォーマットが変わってしまったようです
 
 ついでに映画『稲村ジェーン』を見たくなり、DVDをAmazonでポチ買いしようと探しましたが、実はビデオしか発売されておらず、それも10000円を超えていてさらにびっくりしました。
 

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 だったらヤフオクはどうなのかなあと見に行くと、やはりDVDはないようで、バカ高いビデオの出品があるだけです。ここはK-プラスさんの出番だと思い、検索をかけてみると取り扱いがあったので、さっそく借りてきました。
 
 リストを見ると出演者は伊武雅刀草刈正雄泉谷しげる尾美としのり、金山一彦、清水美沙、的場浩司小泉今日子、そして加勢大周らが揃っていて、桑田佳祐原由子らバンド・メンバーもカメオ出演しています。
 
 サザンの桑田が映画初監督作品を撮るということで、バブルが弾けつつあった1990年ではありましたが、すぐに元に戻るさという楽観的な雰囲気の下、この映画は製作されました。
 
 しかしながら、公開当時もたへんな話題作品ではありましたが、はっきり言って映画としての仕上がりは最低最悪で、草刈と加勢の病院での”稲村ジェーン”についての思いで話など所々に綺麗な写真になっているカットがあるものの、繋がりは悪く、微妙なお遊びがすべて空回りしていて、痛々しい。

 

 『希望の轍』『愛は花のように(Ole!)』『真夏の果実』『忘れじのBig Wave』。サントラは粒ぞろいの名曲で埋め尽くされている。音楽は素晴らしい。

 

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 このあとのサザン作品では好きなのは『YOU』『愛の言霊』などで『TSUNAMI』は好みではなかったので、ここ20年くらいはあまり印象はない。売れなかったけど、個人的には『YELLOW MAN』なんかの実験作は好きです。

 

 致命的なのはストーリー構成がまるで出来ておらず、交通整理が皆無で見づらいこと。時おり良い写真になっているカットがあるものの全体を通すと無駄なシーンの羅列でしかない。

 

 劇中でサーフィンやバンド音楽について語るシーンが多いものの、サーフィンのシーンは皆無に近く、清水美沙がボードに乗っかっているくらいで、これから加勢が波に乗るというカットはあるが、実際には波乗りシーンはない。

 

 パドリングは波乗りとは言わない。80年代、大島や江の島がぼんやり見え、富士山を毎日海岸で見ている平塚に住んでいたので、高校生や大学生の兄ちゃんたちはみな土日は海岸に出て、波に乗ろうと海に入っていましたし、台風の時は海に入って死んだ人もいましたが、みなお構いなしでした。ぼくら小学生にはとてもカッコ良く見えましたよ。

 

 印象的なセリフとして持ってきた"暑かったけど、短かったよね、夏"という有名なセリフが清水美沙から飛び出しますが、個人的な印象は「寒かったし、長かったよね、これ!」という感じです。

 

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 伝説の大波"稲村ジェーン"の話をちょこちょこするのに誰も波乗りをしないというのは何も起こらなかった『マジカル・ミステリー・ツアー』と同じで、もしかすると波乗りシーンを撮ろうにも天候や波の調子がイマイチで、テレジェニックな波乗りが撮れなかったのかもしれません。

 

 しかしまあ、重ね重ね思うのは伝説の大波のことをダラダラと語り続けるくせにクライマックスであるはずのシーンでは誰一人恐いからというクソみたいな理由で波乗りをしないというのはあまりにもみっともない。さらに意味不明の取ってつけたような特撮シーンが加わります。

 

 なんだか訳が分からないカオス状態にしてしまい、収拾がつかなくなってしまった終わり際を見ても、残念ながら桑田佳祐には映画製作の才能は全く無いことは明白で、以降二度と手を出すことがなかったのは賢明といえます。

 

 単純に当時の桑田が忙しく、思うように撮影用のスケジュールが取れなかったのか、今となっては何とも言えませんし、主演の加勢大周の薬物が原因の逮捕もあり、そもそも出来が残念なので、ソフト化を躊躇したのか、お蔵入りしてしまった理由はどれなのかはっきりとしませんし、すべての要因が重なっての封印だったのかもしれない。

 

 『ヒッピー・ヒッピー・シェイク』『ラヴ・ポーションno9』『ふられた気持ち』などの名曲も入っていて、総じて音楽を選ぶセンスは良いのですが、映像を組み立てる才能は桑田佳祐にはなかったようで、そのあとは映画製作をしていません。

 

総合評価 46点

 

稲村ジェーン(リマスタリング盤)

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上島ジェーン

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  • 発売日: 2014/06/20
  • メディア: Prime Video
 

 

『一度死んでみた』(2020)新作一発目は可愛い娘を見るのが一番!

 日本全国の地域によって差はありますが、大阪府の吉村知事の戦略に協力して試練に耐えた大阪府を後追いした関西の他府県(吉村寝ろ!とか兵庫の知事は起きろ!とか言われていましたが、奈良はどこだ荒井!とみんなでからかっていましたwww)では武漢ウイルスが一応は沈静化しつつあります。
 
 シネコンなどの近くの映画館が営業再開後、かなり傷んでしまっている経済を回していくためにも、馴染みの食べ物屋さんで外食をしたり、ちょこちょこ旧作を観に来ていましたが、しばらくは新作を見ていませんでしたので、今日は広瀬すず主演の『一度死んでみた』を選んでいます。
 
 今日来ている映画館は売店ポップコーンに熱々のバターオイルが掛かっていて、他よりも美味しい。ただサイズがMでも食べきれない巨大な代物で毎回完食に苦労しましたが、最近はSサイズでもバターオイルがトッピング出来るようになったのでついついここへ来ると頼んでしまう。
 

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 まあ原付で来ているので帰りは一人だし、気にすることもない。作品は人気女優、広瀬すずの魅力を引き出してくれればそれで良い。脇を支える俳優陣に堤真一木村多江嶋田久作吉沢亮去年の朝ドラでも共演していました)、小澤征悦松田翔太、でんでん、原日出子妻夫木聡らを配し、ついでに乃木坂の元エースの西野七瀬を起用していました。
 
 今日は広瀬すず能年玲奈(のん)かどちらかの主演映画を見るつもりでしたが、のんちゃん主演作にお笑い芸人で大嫌いなラサール石井が出てくるのが分かったので、すずちゃん出演『一度死んでみた』のチケットを購入しました。
 
 両方とも朝ドラの主役を務めましたが、両者の起用は意味合いが違い、新人女優として活躍した能年玲奈と違い、すでに人気女優だった広瀬すずではプレッシャーが重くのしかかったのではないかと思います。作品の質自体では『あまちゃん』には敵いませんでしたが、そこそこの評価は得たでしょう。
 

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 そのあとに出演したのがこれらの作品ですので、プレッシャーに耐えたことへの息抜きの意味もあって、作品を選んだのではないでしょうか。歌ったり、蹴りを入れたりと楽しそうに動き回っている姿をファンも楽しみましょう。
 
 ストーリー展開はロミオ(生き返り)とジュリエット(仮死状態になる)に着想を得たコメディであり、『ゴースト ニューヨークの幻』『ラン・ローラ・ラン』『2001年宇宙の旅』『ベルリン天使の詩』『ファウスト』『家族ゲーム』『ロミオとジュリエット』を思い出す下りがたくさん出てきます。
 
 三途の川に一級河川の看板(バックには『モルダウ』が掛かっている。フザケていますねwww)がかけられていたり、郷ひろみをストーリー展開のリンクに使ったりとあちこちにベタな笑いが散りばめられており、「トントントントン日野の2トン〜♪」がリリー・フランキーと堤真一の会話から飛び出した時には館内で爆笑が起こりました。
 

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  広瀬すずちゃんがデスメタルバンドのボーカルと社長令嬢という極端な振り幅の役柄を演じていましたが、楽しそうにヒャダイン作の歌を熱唱していました。
 
 物語の鍵を握るのは科学者親子らしい元素記号と番号であり、ちょこちょこベタになり、ちょこちょこ微妙に笑いをズラしていく感じが心地よい。「すいへーりーべ ぼくのふね~♪」ですね。名前もキーワード(パスワード?)になっていて、野畑七瀬はN-O-Ba-Ta Na-Na-Seなので、元素記号と数字の組み合わせが楽しい。
 
 ファブリーズを始終吹き掛けられるオヤジ(堤真一)は死んでも臭いので、幽霊として出てきても臭いでばれるというのは笑えるような笑えないような複雑な思いがします。科学者らしく、近親相姦を避けるための仕組みだと論理的に娘を説得しようとする堤の姿はどこか痛々しい。
 

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  母親(木村多江)が死にかけているときにも実験に没頭し、臨終に間に合わなかった父を責め続けるすずちゃんに本当のこと(妻の不治の病を救うために新薬開発を行っていた。副産物がロミオ(若返りの薬)とジュリエット(二日間死ぬ薬))を伝えない堤も切ないが、死んだことで誰が悪で、何が大切だったかを気付くのもテーマになっていて、結論としては色々あるけど、生きているうちに嫌でもしっかりとお話ししましょうというのはコメディの中に筋が通っていて良い。
 
 デスメタルバンド(魂ズ)のボーカルを務めたすずちゃんの歌声は透き通っていて、良い意味でとぼけていて楽しい印象を受けましたし、サンドバッグに蹴りやパンチを入れる姿も様になっています。
 
 個人的に楽しかったのはクリスマスのケーキにろうそくがないからといって、遺体を安置している棺桶を灯す百目ろうそくを一本ブッ刺してクリスマス用に使ってしまう罰当たりな感覚とそれを何とも思わない死者となった父(堤)という場面でした。
 

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 『響』平手友梨奈北村有起哉に飛び蹴りをかました時は爆笑しましたが今回のすずちゃんの蹴りとパンチのコンビネーションは見ていられます。体重移動も良い線行っていて、姉妹喧嘩でアリスちゃんに本気でハイキックとか入れると危ないレベルの筋の良さですので、是非ご覧ください。
 
 事件が解決後に父親の目前で大っぴらにキスをする吉沢亮とすずちゃんをニコニコしながら見ている堤真一の様子が何とも言えません。
 
 なんやかんやと広瀬すず作品は映画館で観ています。スクリーンの巨大なアップに耐えられる数少ない女優の一人です。まだ10年くらいは大丈夫そうです。
 
 自宅に戻ってからは最近また聴き出しているサザン・オールスターズのLPレコード『NUDE MAN』『綺麗』とシングル『ボディスペシャルⅡ』などをプレーヤーに掛けていました。
 
 まだまだ地域差はありますが、閉じこもっているのも限界ですし、出来る予防措置をして、覚悟を決めて経済を回していきましょう。
 
総合評価 65点
 

 

一度死んでみた 1 (LINEコミックス)

一度死んでみた 1 (LINEコミックス)

  • 作者:澤本嘉光
  • 発売日: 2020/03/10
  • メディア: コミック
 

 

 

 

 

2001年宇宙の旅 [DVD]

2001年宇宙の旅 [DVD]

  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: DVD
 

 

ボディ・スペシャルII

ボディ・スペシャルII

 

 

『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)製作から55周年、僕が見たのは35年ぶり!

 先週、奈良県スターバックスコーヒーが1ヶ月ぶりに店内での飲食がOKになったことを受け、久しぶりに人で混むかもと予測し、お昼前にお店に出かけ、カフェラテをグランデで味わって来ました
 
 店内は半分以上の席が撤去され、バリケードみたいに積み上げられていて、通常影響まではもう少し時間は掛かりそうでしたが、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルドフランク・シナトラ流れる店内からは日常を感じることができます。
 
 誰が歌っているかは分かりませんでしたが、『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』がしっとりと歌われています。この曲を聴いているとエヴァを思い出し、今年の十月に本当に新作が公開されるのだろうかとモヤモヤしています。
 
 家でも冷凍保存していたグアテマラアンティグアやコロンビア豆スプレモを細かめに挽いてあった豆をペーパードリップでゆっくり出したりしていましたが、広い空間でのんびり頂くのが一番です。
 

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  仕事終わりに整体にも通い、目肩腰に溜まった疲労を取り、サウナでボーっとしていたい。もっとも、急に緩みすぎている感は否めず、一応は緊急事態宣言下でもそんなに感染者が増えなかった奈良はともかく、仕事場の京都はまだ解除されて間もないのに関わらず、パチンコ屋は開いているし、スーパーやドラッグストアには多くの人が平気な顔して闊歩していました。
 
 またあちこちでクラスターが発生しそうです。近くで大声で喋る輩はゾンビにしか見えませんし、テレビの過去映像でラーメン屋の行列などを見かけると、今では恐怖映像にしか見えない。
 
 そして今週から、ようやく近所の映画館が営業を開始しています。さっそく仕事終わりに運動を兼ねてあえて隣の市町村にある近くの劇場まで自転車で行ってみると、新作は少ない。
 
 ただしその代わりにスクリーンに掛かっているのは『ゴッドファーザー』『君の名は』『ローマの休日』『シン・ゴジラ』『ボヘミアン・ラプソディ』『マッドマックス4 怒りのデス・ロード』などで、まるで名画座のラインナップのようです。
 

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 ここまでやるなら、いっそ『夕映えに明日は消えた』『獣人雪男』ノストラダムスの大予言』『博徒七人』などの作品群をどさくさに紛れて封印を解いてほしい。誰に武漢ウイルスを感染させられるか分からない、疑心暗鬼の現実の方がよほどホラーな訳ですから大抵のモノは怖くもない。
 
 まずは上映時間まではのんびりコーヒーでもと思い、再開後、なにかと通っているスタバでグランデを注文し、席に着いて、ようやくマスクを外せました。さすがに暑くなってくると苦痛になってきていますし、耳が痛くてしょうがない。
 
 今回は二日連続で劇場に通い、『シン・ゴジラ』と『サウンド・オブ・ミュージックを観てきました。結局、公開時を含めると『シン・ゴジラ』は4回目の鑑賞となります。
 
 マッドマックスに関しては観たいのは『マッドマックス』『マッドマックス2』の二作品なのになあと少々残念に思いますし、東宝系ならば、エヴァ劇場版をこの際上映し、十月に備えるという手もあったかと思っています。
 

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 まあ、何はともあれ、座席は飛び飛びでスカスカではありますが、暗闇の中に映えるスクリーンに向かう日が再び来たことが素直に嬉しい。さあ、映画館の経営を守るためにガンガン通いましょう!
 
 さて、今回の主役『サウンド・オブ・ミュージック』をスクリーンで観るのはじつに三十六年ぶりです。近くの劇場で名作のリバイバル上映が武漢ウイルス後の試運転として始まっていて、様子見営業の為に行われているようです。
 
 三ヶ月分のたまりに溜まった新作のストックもあるでしょうから、全ての作品は客入りが悪かったら、容赦なく早期に打ち切られて行きそうではあります。『サウンド・オブ・ミュージックについて話を戻します。
 
 前回は中学生の頃、学校で特別授業として二週に分けて、有無を言わさずに視聴覚室で延々と見せられ、感想文を強制的に書かされたため、思春期特有の反抗する十代だったため、かなりこの映画に対する反発は強くなりました。
 

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 ちなみによせば良いのにウチの学校の翌年の特別授業はなんと『エストサイド・ストーリー』だったのが僕のミュージカル嫌いに大いに悪影響を及ぼしています。
 
 文部省が授業として認めるくらいだから、十代には「押し付けでつまらないものに決まっている!」と当時は考えました。
 
 その頃、スタンリー・キューブリック時計仕掛けのオレンジ』を見てしまい、そこでの『雨に唄えばの使われ方が暴力的だったこともあり、皮肉屋キューブリックがわざわざ取り上げるくらいなので、ミュージカルそのものが体制側の予定調和の象徴に思えてしまいました。
 
 今にして思えば、学校にしてもつまらない授業に刺激を与えるために良かれと思ってのことなのでしょうが、反抗期の生徒には全く伝わらずに今日に至っています。お芝居に関しては宝塚歌劇団を観にちょこちょこ出かけていた時期もあるので、観劇自体が嫌いな訳ではありません。
 
 

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 まあ、せっかく武漢ウイルスに苦しめられてからようやく映画館に通う日々を取り戻せた訳ですから、ここは大人になって、まっさらな気持ちで三十六年ぶりにしっかりと作品に向き合おうと決めています。
 
 五十代に入り、人生も残り三割くらいでしょうから、食わず嫌いを止めて、唯一無二の苦手分野ミュージカルを味わっていくぞとか身構えず、のんびり見ていきます。
 
 次々に飛び出す『サウンド・オブ・ミュージック』『もうすぐ17才』『さようなら、ごきげんよう』『ドレミの歌』『すべての山に登れ』『エーデルワイス』の連打に圧倒されてしまいます。

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  有名な楽曲は小学校でも習う『ドレミの歌』や『エーデルワイス』なのでしょうが、個人的には一番印象的なのは別の楽曲です。
 
 それはアベス(安倍のではない)修道院長(ペギー・ウッド)が恋心を告白したジュリーを励まして、暗闇の中で大迫力で歌う『すべての山に登れ(Climb Every Mountain)』はスイスへの脱出シーンでも使われたため、とても強く印象に残っています。
 

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 もちろん音楽祭シーンでクリストファー・プラマーナチスドイツに占領された悲しみと怒り、そしてオーストリアの観衆への激励を込めて震えながら熱唱する『エーデルワイス』は演出としてはベタなのでしょうが、観客(ぼくを含めて、数人が解っているのに鼻をすすっていました)に分かりやすく伝わります。
 
 また長女シャーミアン・カーと若いオーストリア青年のダニエル・トゥルーヒットがさわやかに恋に落ちていたのが、徐々にダニエルに変化が起こり、ナチズムに安易に傾倒していく様子と恋人とその家族であろうが権力に売り渡してしまう恐ろしさが描かれています。
 
 インターミッション明けに来る怒涛の占領下の最後の30分間に及ぶ逃走劇は一気にサスペンスが盛り上がりますし、最後に愛は勝つというハッピーエンドへの期待が裏切られる展開はミュージカルにちょうどいいアクセントとスパイスを与えています。
 

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 クリストファー・プラマージュリー・アンドリュースの恋模様と前妻を失い壊れていた家族との絆を再構築していく物語ナチスドイツ台頭下での自由の大切さと若い人が感化されていってしまう怖さなどを描く名作は半世紀経っても色褪せることはないのだと三十六年ぶりの鑑賞ではじめて認識しました。
 
 さて、家に帰って見るとなんとあのアベノマスクがようやく我が家にも届きましたが、今ではまったく不必要なので、来年来るであろう第二波の時に備えて、どうしても手持ちのマスクが無くなったら、使ってみます。
 
 砂漠ではボロボロの動物の内臓の革で作られた水筒に入った水でも喜んで飲むでしょうが、オアシスがあれば見向きもされない。エロ本は中高生にはありがたいが、彼女や嫁が出来れば、ただのゴミです。
 

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 それと同じで、ウイルス大流行期には藁をもつかむ思いでも、助けが来ずに自力で何とかしてしまえば、国に用はない。
 
 こういう事態が起こると国民の中ではいつまでも戦後は続くよどこまでも式政府に頼りきりでいつまでも甘えたことしか考えていない既得権を享受する痴呆老人や野党的発想ですべて他人事のように非難するだけのマスゴミを見放す少数派に分かれて行くでしょう。
 
 国が支給する10万円はドン臭い奈良では来月だか、再来月だかまで入金されないようですが、「おうちでDVDを見よう!」から「劇場で映画を観よう!」に変えて行きましょう!
 
総合評価 90点