暗黒映画に明るい未来を!
社会的に悪影響を与える組織犯罪であるギャングが魅力的に描かれている価値観の反転に世界大恐慌によってもたらされた混乱の余波を感じさせる。マーヴィン・ルロイ監督による1930年制作のこの映画は後に続くギャング映画の草分けであり、『民衆の敵』『…
ビリー・ワイルダー監督の三作目の監督作品にして、フィルム・ノワール作品の中でもベストの部類に入る傑作がこの『深夜の告白』です。脚本にレイモンド・チャンドラーを迎え、音楽には次の作品『失われた週末』でも起用するミクロス・ローザが参加していま…
そして今日、劇場に足を運びました。いつものように一番後ろの真ん中近くの席を取り、ノワールの世界へ浸り込む前にいろいろと演出や音楽、そしてアングルやカット割りを予想していました。原作を読んだ後に観に行くときの楽しみは自分が想像していた演出と…
フィルム・ノワール・ファンにとっては今年公開される洋画の中でもっとも期待の大きな作品がこの『ブラック・ダリア』ではないだろうか。ジェームズ・エルロイ原作による暗黒のLA四部作の第一作目の小説をもとに、ブライアン・デ・パルマ監督がどのような手腕を…
日活映画の隠れたというか忘れられた監督のひとり、野口博志監督の1956年公開作品がこの『謎の金塊』です。この作品では主演に水島道太郎、ヒロインに日高澄子を迎え、金塊強奪を狙う香港のギャング団とロマノフ王朝から金塊を受け継いだ旧関東軍の生き…
オットー・フレミンジャー監督によって1944年に発表された『ローラ殺人事件』はフィルム・ノワールと呼ばれる一連の作品のなかでは『深夜の告白』『サンセット大通り』『現金に身体を張れ』『疑惑の影』などとともに、このジャンルを代表する作品のひと…
日本映画界の最後のアウトロー鈴木清順監督の師匠、野口博志監督のフィルムノワールがこの『悪の報酬』です。いまではまったくの無名に近い野口監督ですが、彼の残した作品のレベルは恐ろしく高い。 犯罪組織、異常な犯罪者、誠実な警察官(水島道太郎)、悪…
フィルム・ノワールらしいダブル・ミーニングを持つ原題『サドンリー』。「突然に」という意味と「サドンリー」という地名の意味で用いられる。否応なく事件に巻き込まれていく人々を突き放した視点で描くスタイルを取ることの多いフィルム・ノワールらしい…
この作品、『ハイ・シエラ』に出会う前のボギーといえば、常に悪役ギャング・スターのイメージが強く、役柄も無口で無表情な、陰のある役柄ばかりでした。この作品でもギャングを演じているのですが、決定的な違いがあります。 それは人間としての暖かみやカッ…
アーチー・L・メイヨ監督、レスリー・ハワード主演によるギャング映画であり、ハンフリー・ボガートが作品で大きな存在感を示しました。その後の出世のきっかけとなった作品であり、ボギー・ファンには見逃せない一本です。ここでの彼は誰よりも大きな存在…
デルマー・デイヴィス監督による犯罪と冤罪を扱う作品で、ハンフリー・ボガートとローレン・バコールによる息の合った演技を堪能できる佳作がこの『潜行者』です。二人の演技だけでも一見の価値がありますが、演出にも素晴らしい仕掛けがされていました。 1…
忘れ去られた映画監督、エドワード・ドミトレクの問題作にして最高傑作がこの『十字砲火』です。カンヌで賞を取り、アカデミー賞にもノミネートされるほどの素晴らしい作品であったにもかかわらず、意図的に無視され続けた本作品なのですが、何故このような…
ハンフリー・ボガートほど煙草の煙とトレンチ・コートやタキシードをかっこよく着こなす男は今もいない。無表情で、ダンディーで、しかも自然体のボギーは他のハリウッド・スターとは違う光を発している。一瞬だけギラギラ光るそれではなく、鈍いが存在を主…
ジョン・ヒューストン監督はまだ名声を得ていなかった駆け出しの時期に、素晴らしい俳優達に囲まれて、この作品の映画製作に携わる事になりました。『マルタの鷹』は主演にハンフリー・ボガートを迎え、脇にもシドニー・グリーンストリート、ピーター・ロー…
最も人気のあるフランス人監督といえる、リュック・ベッソン監督のというよりは90年代を代表する作品で、個人的にも年2回は見る作品のひとつです。見所としてはなんといってもナタリー・ポートマン、ジャン・レノ、そしてゲイリー・オールドマンという主…
エリア・カザン監督、1950年製作作品ではありますが、ジェームス・ディーンの『エデンの東』や、マーロン・ブランドの出世作『波止場』のイメージが強い映画ファンには、存在すら忘れられている感のある、毛色の違う作品かもしれません。しかしこの作品…
チャールズ・ヴィダー監督、1946年製作作品であるだけではなく、マリリン・モンロー以前のセックス・シンボルであった、リタ・ヘイワースの代表作でもあります。彼女の魅力が前面にフューチャーされているこの作品はまた、彼女が輝いていられたモノクロ…