良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』(1999)待ちに待ったシリーズ再開!

 1983年に『スターウォーズ ジェダイの復讐』が公開されてから14年が経ったのちに、オリジナル三部作のフィルムに修復と追加シーンが加えられ、特別篇として1997年におさらいの意味を含めて、全世界で上映された翌年、ついにファン待望の新作『スターウォーズ ファントム・メナス』が世紀末の1999年に発表されました。  映画の盛り上がりを当て込んで、映画会社はもちろん、玩具メーカー外食チェーン、食品メーカーなど様々なアメリカ系企業がわれわれ純粋なファン・ボーイズ&ガールズからお金を巻き上げようと、帝国軍のような執念で、あの手この手で猛烈な攻撃を仕掛けてきました。
画像
 フィギュアやペプシ・コーラのボトル・キャップを手始めに、ケンタッキーの紙コップ用の大きなボトルキャップなど、様々なタイアップを使っていました。そんなにお金を巻き上げるのは何のためなのだろうか。第3デス・スターでも建造するつもりなのかもしれません。  一生かけても使い切れないほどにジャブジャブお金はあるだろうに、そしてもう十分に地位と名誉を得ている者がなぜ本来ならば必要とは思えない、エピソード1から3を作ろうとしたのだろうか。チャレンジ精神なのか強欲に際限はないということなのかは分かりませんが、さまざまな要因があったのでしょう。
画像
 まあ、なにはともあれ、期待と不安が心のなかで揺れ動き、そわそわしながら、劇場でチケット待ちをしていたのを思い出しました。仕事の都合で3日目のお昼の回を見にいきましたが、ふだんは見かけない沢山の人が並んでいて、なかなか前には進めませんでした。  そしてついに20世紀フォックスのファンファーレが鳴り響き、“A LONG TIME AGO IN A GALAXY FAR ,FAR AWAY”の字幕スーパーが写し出され、ジョン・ウィリアムスの有名なテーマが館内を包み込み、とうとう僕らのスター・ウォーズが新たなステージを迎えました。
画像
 最初に観たときはぼくは9歳でしたが、今回は29歳になっていました。しかしこの時間にすれば、ほんの10秒くらいで、ぼくは9歳の子供に戻っていました。なんとも感慨深い瞬間ではありましたが、すぐに画面に集中し、端っこも見逃さないように、セリフも記憶力を総動員して、脳裏に焼き付けていきました。  最終的には三回ほど劇場に通い、イメージの補完作業に当たりましたが、このように複数回も同じ映画を観ることも珍しくなりました。ジェイク・ロイドが演じていたアナキン・スカイウォーカーヘイデン・クリステンセンに成長したのちに暗黒面に落ちるダース・ベイダーになるのだと思うと、なんともやり切れない気持ちになりました。
画像
 見所は黒澤明監督の『影武者』を彷彿とさせるナブーでの合戦シーン、ジャバ・ザ・ハットも登場するタトゥイーンでのポッド・レースのシーン、クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービダース・モールに決戦を挑むシーン、そしてドロイド軍団の母船を破壊するシーンでしょう。  ナブーでの合戦シーンはなんだか間延びしていて、あまり緊張感がなかったのは残念でした。スピード感のあるポッド・レースのシーンの方が躍動感がありました。ジェダイ・タッグ・チームがダース・モールと対決するシーンに関してはリーアム・ニーソンが惜しくも敗れるまでは良かったのですが、ユアン・マクレガーが隙を突いてモールを倒すのがあまりにも呆気なく思いました。
画像
 この映画でのキーワードはずばり、呆気ないということでしょう。すべてがなんか中途半端で、盛り上がりに欠けている感じで、最後まで進んでいきました。三部作のプロローグという基本的な要素を理解はしていますが、それにしてもこのモヤモヤ感は拭い去れませんでした。  個別に見ていきます。ファンの方ならば、すぐに納得してくれると思いますが、スター・ウォーズといえば、通常ならば、主人公側よりもむしろ魅力的な敵側のキャラクターに関心が行ってしまいます。フィギュアでも圧倒的に人気があるのは昔から敵側のキャラクターです。
画像
 しかし今回もっともぼくの印象に残ったのはダース・モールではなく、ナタリー・ポートマンが演じたアミダラ女王でした。彼女がいなかったならば、この作品に必要である高貴な気品は生まれなかったでしょうし、レイアとの差異も出しにくかったでしょう。  豪華絢爛な衣装を着こなすのは大変だったでしょうが、衣装に呑まれることなく、存在感を出していました。公開当時はアミダラ女王のフィギュアの種類が多すぎて、コレクションをするのに時間とお金が掛かって大変でしたが、今となっては懐かしい。
画像
 そうは言っても、もちろん今回が初登場となるダース・モールも魅力的で、彼が操る両刃のライト・セーバー捌きには独特な存在感と風格が出ていました。ただ彼よりもジェダイ・ナイトの師弟コンビであるクワイ=ガン・ジンとオ ビ=ワン・ケノービの人間味と親密感の方が上手く描かれていて、師であるクワイ=ガンの死がより引き立っていました。  話は戻りますが、新3部作には致命的な失敗が3つあるように思います。第1の失敗はダース・モールをこのエピソードだけで退場させたことで、これこそが新3部作中のストーリー展開での最大の失敗であり、クリストファー・リーを3作目まで引っ張り続けるよりも、魅力的なダース・モールを物語のポイントに配置したほうが、ファンの関心と共感を保てたのではないだろうか。
画像
 第2の失敗はウルサすぎるCGの使用過多であろう。なにかにつけて使用する意味がない。また画面上一杯にCGを使われると、せせこましくて、邪魔にしか感じませんでした。あとは新しい狂言回しに起用されたジャージャー・ビンクスでしょう。  R2D2C3POのドロイド・コンビが秀逸だったために、余計に彼の存在が中途半端で不必要に感じる。人気のドロイド・コンビが出ないならまだしも、いるのに似た役割のキャラクターを被せたのは何故だろう。以上が3つの失敗でした。
画像
 デザイン的に気に入ったのは通商側の攻撃用兵器であるバトル・ドロイドとドロイデカでした。CGで作られているため、あまりにも多すぎる気もしましたが、予算を気にしないで制作できる強みが画面からも伝わってきます。主人公アナキン・スカイウォーカーを演じた、当時9歳のジェイク・ロイドについても触れねばなりません。  運命の子、アナキンを見事に演じたこの少年の成長を待って、エピソード2に進んで欲しかった気持ちもありますが、それではナタリー・ポートマンが老け込んでしまうし、しょうがなかったのでしょうが、彼女のほうを違う女優に演じさせるという手もあったはずなので、エピソード2を撮り急ぎ、ヘイデンを起用したのは残念でした。彼はセクシーなアナキンを演じてはくれましたが、アナキンの成長と転落を描くにはジェイク・ロイドが適任だったのではないだろうか。
画像
 あまりにも安直なストーリー展開に批判が多いのは理解できますし、展開に目新しさがまったくないことに失望された方も多かったのも納得は出来ます。ただ、ずっとスター・ウォーズのない世界で生き続けて行くのと、決して傑作とは呼べないが、あのスター・ウォーズの続編がある世界とでどちらの世界で住むのを選ぶのであれば、ぼくは迷わずにスター・ウォーズの続編がある世界で暮らしたい。  メカニックや衣装のデザインがとてもカラフルで、帝国支配下を描いていたエピソード4~6の無機質で没個性的な衣装とは大違いでした。とりわけナタリー・ポートマンの衣替えはまるで歌舞伎か結婚式のような豪華さで大いに楽しませてくれました。
画像
 まあ、いろいろ言ってきましたが、たとえ駄作とは言えないまでも消化不良の感がある作品であっても、スター・ウォーズの続編がない世界よりも、ある世界の方にぼくは住みたい。ゴチャゴチャ言わずに、ありがたみを噛み締めろというのが結論でしょうか。 総合評価 70点
スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2001-11-08

ユーザレビュー:
☆遠い昔どこかの映画 ...
違和感不快なトラブル ...
ダメだ・・・物語にな ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る