良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『復活の日 VIRUS』(1980)大昔の映画だが、不気味に響く今。人生は素晴らしい…

 今回の武漢ウイルス蔓延で思い出したのが大昔に見た、深作欣二監督が1980年に公開した『復活の日 VIRUS』でした。話の筋と現実世界で起きていることが奇妙なほど一致していて不気味です。
 
 共産中国による野望、一帯一路の大戦略にただ乗りして、利益を得ようとしたイタリア、イラン、スペイン、韓国などの武漢ウイルス被害が他よりも突出しているのは偶然ではないでしょうし、お金儲け政策を取ったはずが、病気も丸ごと輸入する一蓮托生政策だったのは何とも皮肉ではあります。
 
 大国同士の生物兵器研究と諜報活動を通じた技術の奪い合い、責任のなすりつけ合い、社会で起きるパニックなどを見ると、まさに今起きていることを予告しているようでした。
 

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 劇中では米軍が研究していた最凶生物兵器が共産ロシアに盗まれ、極秘理に管理していた東ドイツで奪取作戦を敢行し、何とかスイス近辺まで飛行機で運ぶも、天候不良により墜落し、そこからまずはヨーロッパに広がり、アメリカ、アジア、アフリカに蔓延して、人類だけでなく、すべての脊椎動物を死滅させていく。
 
 生物兵器が活動できないマイナス10℃以下の南極だけがウイルスにやられず、何とか細々と約800人余りが生き残っている状況になります。極限状態になってさえ、なかなか纏まることもなく、男性800人対女性8人という状況は強姦被害も生み出していく。
 

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  女性は人類最大の価値がある存在にはなるが、女性一人で百人を相手する状況になり、女性たちはあきらめと絶望が支配していく。今ならば、間違いなくカットされる描写でしょうが、なんともリアルではあります。
 
 数年経過し、生き残っていたチャック・コナーズ(『マッド・ボンバー』を思い出します!)率いるイギリス海軍原子力潜水艦のクルーも加わり、なんだか賑やかになってきます。食料は持つのだろうかという素朴な疑問は野暮でしょう。
 
 北米での大地震を予測する地震学者役の草刈正雄とバリバリの体力勝負の軍人役のボー・スヴェンソンは汚染されている首都ワシントンにあるホワイトハウスの地下施設まで行って、核ミサイルの作動スイッチを解除しに行く。
 

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 あと少しのところで失敗して、生物兵器だけでなく、放射能被害が世界を破壊し尽くす様は絶望的で、昔見た『ノストラダムスの大予言』並みのインパクトがあります。
 
 同時進行で科学者は皆から反対されていたものの、最凶ウイルスを無効化させるワクチン作りに精を出し、実験は出来ないので、草刈とスヴェンソンを使って、ぶっつけ本番で治験を行い、データを集めようとする。
 
 今回の武漢ウイルスは高齢者、障害者、持病を持っている人が罹りやすく、症状も悪化しやすいのが特徴的です。ちょっと研究所から漏れただけでこれだけの被害を撒き散らした公衆衛生概念が皆無の中国ではたぶん嘘に決まっていますが、武漢ウイルスを克服したと宣伝しています。
 
 花火まで打ち上げる自分勝手で間抜けな姿をいまだウイルスで苦しんでいる全世界に発信し、自分のところが嘘で隠蔽したために世界中にばらまいたくせに、すでにウイルスを克服した中国に学べとフザケた宣伝を行い、このウイルスも米軍が撒いたものだと言い掛かりを付けだしています。ああいうヤクザの考え方なのだと肝に銘じ、今後は対処して行かねばならない。

 

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 出演者はバラエティに富んだ人がいっぱい出てきます。草刈正雄緒形拳、永島敏行、渡瀬恒彦、夏木勲、多岐川裕美、丘みつ子中原早苗千葉真一の日本勢の名前は昭和世代には懐かしい。

 ぼくら60~70年代映画をさんざん12チャンなどで観てきた世代にはジョージ・ケネディチャック・コナーズグレン・フォードの名前を見るとなんだかワクワクしてきます。彼らにアーネスト・ボーグナインが加われば完璧ですが、残念ながら、今回の映画には登場しません。

  撮影には黒澤組にいた木村大作、音楽にはジャニス・イアンを使っているので、かなりの超大作として製作されたのは間違いありません。

 しかしまあ、今見ると斬新さが分かります。米ソ対立から漏れてきた生物兵器を前面に押し出し、ドローンを使って観測をし、最初に広がる国はイタリア。付けた名前は"イタリア風邪"。関係ないところなのに政治力の差からか、イタリアにレッテルが貼られる。

 

  映像で強烈な印象を与えるのが廃墟と化した東京と思われる繁華街の一角に自衛隊が集まり、何かの作業をし終えるとともにガソリンをまいて焼き尽くしていく。それらは感染症で死亡したが、ウイルスを恐れるためか、葬儀に回されることもなく、うず高く積まれて、まとめて焼却されていくシーンでした。

 これって、ちょっと前の武漢で急にプレハブみたいな隔離施設が出来て行く横に焼却施設も建造されて、死骸をここで一括で燃やすのではないかと疑われたニュースに酷似しています。あの国ならば、穴を掘って生き埋めにするくらい平気でやるので妙な説得感があります。

 

 

 

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 この辺は言い逃れしようと国連に出汁に使って、卑怯な宣伝戦を仕掛ける全体主義国家の中国のやり方を思い起こさせる。病院に押しかけてパニックを起こしているイタリア人の姿は最近テレビでも見る光景です。製作は1980年なので、中国はまだ今回の発生源の武漢がある中国は出てきません。

  あちこちにご都合主義やなんでヘロヘロに当てもなく歩いているだけの草刈がなぜか南米の端っこでオリヴィア・ハッセ―と再会してしまう強烈であまりにも強引なエンディングを迎える。

 核汚染されて、環境が激変しているはずなのに、そして放射能がまだ濃く残っている地上でどうやって飲み水を確保し、どうやって食料を調達してきたのかという根本的な疑問は生じるものの意図したいことは分かります。

  いまこそ見るべき映画であることは間違いありません。早く、通常の生活が訪れることを望んでいます。ただこれまで経済、経済、成長、成長と銭勘定ばかり考えていた世界の国々でしたが、死んでしまえば終わりだという当たり前のことを自覚すれば、何が最も大切かが分かるはずです。

 

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総合評価 75点

 

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