『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021)なんだかんだで楽しませてくれました。
なんだかマスコミは昨夜辺りから、新しいキラーワードとして“まん防”と騒いでいますが、なんともワードセンスが低く、「“マンボウ”って魚かよ!」とか、「浜辺美波で話題になった“あ~、う~ マンボ!”かよ!」と突っ込んで笑ってしまい、イマイチ緊迫感はない。
緊張感がまるでない一部の市民はお花見だとか、自粛疲れだとかバカみたいな甘いことを言いながら、二週間後に変異種に罹って、後悔するのだろうか。そもそもこれまでが自由過ぎただけですから、自制しましょう。
偶然ですが、今回観に来ているのは前回、実に9年前に『新エヴァンゲリオン劇場版 Q』を観たのと同じ映画館です。いやあ、9年前か!
9年間の間には色々なことがありましたが、新劇場版が始まってからでも十数年前が経ち、ようやく完結編まで漕ぎ着けてくれたのは嬉しい。
どういう結末が訪れてもそれを受け入れよう。いつまでもグチャグチャ文句を垂れるクレーマーにはなるまいと心に決めて、スクリーンに臨んでいます。
最初にテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』26話の有名なラストシーンを深夜放送で見て、「おめでとうって、いったい?」とイスからひっくり返りそうになってからでも20年以上の年月が経っています。
ここからはネタバレがありますので、観に行く予定のある方はせっかくなので、できるだけ情報を入れずに楽しんでください。ぼくも今日まで興行収入のニュース以外はまったく情報を入れずに観に行きました。
タイトルは『シン・エヴァンゲリオン劇場版※』となります。※のところはⅣではなく、音楽のリピート記号が入りますので、暗示するのは繰り返し。ちょっと嫌な予感もあります。
さて大河ドラマのような劇場版4作目であり、最終話となる今作品をさきほど見終わって、最初の印象を起承転結で言います。
マリちゃん大暴れの「起」、物語の大半を占めるシンジくんが半年くらいもウジウジ&引きこもりに明け暮れて、体感2時間以上に感じる「承」。
解決後に少し大人びたというか、大人になった(呪いが解けた?)シンジくんがまさかのマリちゃんと恋人未満っぽい関係になっていることにホッとします。アスカはかつての旧友ケンスケとの生活を選ぶようです。トウジは委員長と子供まで作っています。
大人たちの勝手な都合で戦場に立たされたシンジくんにもようやく平穏な日々が訪れたようです。この描写の後にまさかの実写シーンが入ったり、前作ではアスカに手を引っ張られながら、子供のように連れて行かれていたシンジがなんとマリちゃんの手を引っ張っていく成長に驚かされました。
長年エヴァンゲリオンを追いかけ続けてきたマニア全員を納得させることは不可能であるのはやる前から分かっていることで、製作サイドは腹を括って、自分たちが納得できた結果がこれだったのでしょう。
一回見ただけですべてを理解するのは不可能でしょうし、いずれBlu-rayが発売される時には予約し、何度も繰り返して楽しみたい。いつか見たようなシーン(『Air/まごころを、君に』、アニメシリーズ第26話)ややりとりや異空間があちこちに出現するのでこれが今誰が話している世界なんだろうとかややこしい。
マリちゃんがゲンドウや冬月と話していたりするカット、カジさんがカヲルくんに「司令」と呼ぶカットがあったりとなかなかまた伏線を撒いているようにも思える場面がちょこちょこあったりするのでファンとしてはどういうことだったのかとかも楽しめます。
なんだかんだ言いながら、20年以上の長きに渡り、楽しませてくれたことに感謝したい。まだかな、まだかなと新作を待ちわびる日々がもっとも楽しく、それを楽しめるのがエヴァなのです。
さらば、全てのエヴァンゲリオン。
言い得て妙なコピーです。
自分自身のエヴァへの思いであり、マニアたちへの挨拶だったのかもしれない。
もうごちゃごちゃ言わないでね!という願望かもしれません。
総合評価 80点