良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『淀川長治さんの思い出』日曜洋画劇場の解説DVDが出ていたなんて!嬉しさと哀しさが…

 ツタヤ半額レンタルの日だったので、お昼に近所のツタヤに借りに行くことにしました。クラシック映画を追い求めるためにどうしても空振りすることが増えてきた。行ってもクラシックの新入荷が少ないのだ。  もちろんフェリーニ作品やゴダール作品はほんの少しずつはDVDが増えてはきている。しかし少しずつであり、見たいものを見つけられることはない。フェリーニの『寄席の脚光』やベルイマンの『魔笛』をツタヤでレンタルできる日が来るのはいつであろうか。またDVD化すらされていないチェン・カイコーの『大閲兵』はいつなのだろうか。  そんな思いをいつも感じながらフラフラと彷徨っていると、なにやら目に飛び込んできたタイトルはズバリ『日曜洋画劇場 40周年記念 淀川長治の名画解説』。一体何なのだろうと思い、パッケージを取り上げて、裏面の内容を読んでいくと故・淀川長治さんが解説を務めていた日曜洋画劇場での解説場面ばかりを50本分纏めた珍DVDだったのです。  懐かしさも手伝い、ついつい借りてしまいました。「いやあ!なつかしい。」の気持ちだけでこのDVDを借りてしまいましたが、新作扱いだったので半額にはならず残念でした。すぐに家に帰って見てみると全50本分の収録内容にワクワクしました。  『荒野の用心棒』『ハリーとトント』『ダーティ・ハリー』『2001年 宇宙の旅』『激突』『天国から来たチャンピオン』『ローマの休日』『暗くなるまで待って』『ゲッタウェイ』『007 ネヴァー・セイ・ネヴァー・アゲイン』『サイコ』『めまい』『アラビアのロレンス』『ゴッド・ファーザーⅡ』『王子と踊り子』『ある愛の詩』『ファール・プレイ』『タワーリング・インフェルノ』『戦場のメリー・クリスマス』『史上最大の作戦』『ジョーズ』『俺たちに明日はない』『アメリカン・グラフィティ』『普通の人々』『ゴースト・バスターズ』『刑事ジョン・ブック』『西部開拓史』『エデンの東』『ダイ・ハード』『ターミネーター』『羊たちの沈黙』『スティング』『ラストマン・スタンディング』などなど。  とりわけ印象深いのは現存する最も古い『西部開拓史』の解説と最後になってしまった『ラストマン・スタンディング』での解説でした。何で最後がよりによって駄作の誉れ高い『ラストマン~』になってしまったのだろうか。どうせならば淀川さんが敬愛してやまないチャーリー・チャップリン作品だったのであれば、どれだけ良かったろうにと思いました。  彼の解説はTV向けということもあり、難しい話は一切出てきませんでしたが、それでも作品を紹介する時には本編を流す前であれば、映画の内容を語らずに面白さを伝えるという難しい役割を見事に務めていました。  主演俳優はもちろんのこと、作品が制作された背景や監督及びカメラマンの名前と彼らが関わってきた作品名などが必ず出てくる深さには驚かされます。それを一本分だいたい3分くらいで伝えるのです。  しかも彼独特の人なつっこそうな、眼鏡の奥で笑っている顔を見せながら、親しみやすく、顔を朗らかに保ちながら熱心に映画の魅力を伝えようとする淀川さんの姿にはこちらも思わず顔がほころんできます。本当に優しそうな目で映画を語っています。  「ああ。この人は本当に映画が好きなんだなあ。」というのが良く解ります。もっと時間があったのならば、自由にしゃべってよいのであれば、さらに氏の深い知識と経験に基づいた豊かな映画評を聴けたはずですが、スポンサーや時間の制約などもあり、好き勝手にはトークできなかったのも理解できます。  そういう面では解説者というのはストレスが絶えない仕事でもあります。下らない、観たくもない映画でも、それが放送されるのであれば、褒める部分を敢えて探さねばならないのは映画ファンとしては苦痛です。数々の名作を知る彼ならばこその苦しみは尋常なものではなかったであろうと思います。  サイレントの時代から映画を見続け、トーキーの出現を間近に見ながら小津、溝口、黒澤を初期から見守り、溝口の紛失した作品まで語ってくれた淀川さんのような人物はもう出てこないでしょう。ゴチャゴチャ言わずに「綺麗ね。綺麗ね。良かったね。」と言う彼の姿は神々しいほどでした。  彼の名台詞といえばもちろん「サヨナラ。サヨナラ。サヨナラ。」ですが、最後の収録である『ラストマン・スタンディング』での彼は傍目にも解るほど痩せこけ、身体の具合がかなり悪いのであろうことは容易に察しがつきます。それでも映画の魅力を伝えようとする彼の姿はまさに「映画バカ一代」の最後を飾るのに相応しい舞台だったのかもしれません。  まだ元気な頃のふくよかな顔にだんだんシミが出てきて、白髪が目立つようになり、声に張りが無くなってくる過程は残酷ではあるが、彼がこの仕事を三十年以上の長きにわたって続けてきた証拠でもある。  機会があれば是非見て欲しい一本です。これは一般の映画ファンよりも映画の文章を書いている人々に、そして映画でご飯を食べている人々に見て欲しい。そして問いたい。  あなたは彼ほど映画を愛していますか? 日曜洋画劇場 40周年記念 淀川長治の名画解説
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