良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

2013-01-01から1年間の記事一覧

『傷だらけのアイドル』(1967)政府によってプロデュースされたロック・スターの栄光と受難。

ビートルズ、ローリング・ストーンズ、キンクス、ザ・フーなどイギリスの洗練されたロックが世界中で大流行していた1967年に製作されたロック映画がこの『傷だらけのアイドル』です。 オリジナル・タイトルは『PRIVILEGE』、つまり特権です。1960年代、ロッ…

『ロリ・マドンナ戦争』(1973)ソフト化されない原因は差別表現か、輪姦シーンのためか?

ずっと探していた作品のひとつ『ロリ・マドンナ戦争』をようやく見ることが出来ました。どういう経緯で流れてきたのかは分かりかねますが、生産された当時のフィルムであれば、数年前からヤフオクで出品されていました。 が、さすがに缶入りのフィルムを再生…

『最後の脱出』(1970)近未来のロンドンが無法地帯に!コーネル・ワイルドの異色SF。

『最後の脱出』は大昔にテレビ放送で一度見たきりになっていた近未来SF映画で今でも強く印象に残っています。 深く記憶に刻まれている理由としては以下のようなことが思い浮かんできます。それはストーリー展開の深刻さとオープニングで流れる主題歌があまり…

『パニック・イン・テキサスタワー』(1975)大量射殺犯をドキュメンタリー・タッチで描いた傑作!

『パニック・イン・テキサスタワー』はかつてはテレビ放送されていましたが、ここ20年くらいは見ていません。大昔に見た映画を記事にすることが増えていて、今回はこの作品のことを書こうと思い立ちました。 すぐにレンタルを探したり、ヤフオクを当たったり…

『ウォーターパワー アブノーマル・スペシャル』(1977)浣腸強姦魔を扱った問題作!

1970年代後半、小学生のころ、近所の公園のそばに銭湯があり、そこには映画案内の掲示板がありました。 一般映画に混じって、『聖子の太股』や『ラブレター』(関根恵子主演)など日活ロマンポルノのタイトルが貼り出されていたのをドキドキしながら見ていまし…

『トリフィドの日』(1962)見なけりゃ損するSF映画の傑作。子供が見たらトラウマになるかも…

『トリフィドの日』は1962年に公開されたSF映画の傑作です。お話と映像の雰囲気は『ゾンビ』『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ブラインドネス』『マンモス・フラワー』『宇宙戦争』『ゴジラ対ビオランテ』の良いところをミックスしたような感じです。 …

『クルージング』(1980)アル・パチーノ主演作だが、あまり知られていないハード・ゲイ物。

名優アル・パチーノ出演作品でぼくが好きなのは多くの映画ファンと同じように『ゴッド・ファーザー』や『狼たちの午後』ですが、すでに名声を得ていた1980年にある一本のウィリアム・フリードキン監督作品に出演していたのはあまり知られていない。 ウィリア…

『かぐや姫の物語』(2013)ジブリのもう一方の雄、高畑勲が放つ、素晴らしい映像美。

宮崎駿が先日引退を決め、日本映画界がまた寂しくなりましたが、ジブリのもう一方の雄である高畑勲の新作が同じ年内に劇場公開されるとは思いもよりませんでした。 今年の夏に公開された宮崎駿監督作品『風立ちぬ』との同時公開には間に合いませんでしたが、…

『バーニング』(1981)世にあまた存在する“13金”亜流映画の一つですが、出来は良い方です。

この映画はビデオ時代は普通にTSUTAYAなど多くのレンタルビデオ屋さんに並んでいましたが、フォーマットがDVDに変遷していく移行期に再ソフト化されることはなく、見れなくなってしまい、当時のファンのみならず、ホラー映画ファンからソフト化が熱望されて…

『女のオブジェ 巴里のダッチワイフ』(1979)フレンチSFハードコア・ポルノっていったい?

最近どうもエロ映画ばかりになってしまい申し訳ございませんが、映画が発展するために大きな動員力を持っていたのは暴力及び性描写の強めの作品であることは間違いない。大っぴらには公開されていないが、ブルー・フィルムの歴史はヨーロッパでもアメリカで…

『SM大陸/マンダラ』(1975)かつてビデオ屋に並んでいたが、手を出せなかった一本(笑)

1980年代、高校生の夏、ぼくらの街にようやくTSUTAYAがやってきました。二泊三日で500円という価格は当時は破格の安さで、学校帰りにしょっちゅうみんなで押し掛けました。 もちろん学生服を着たままでエロビデオ・コーナーには行けるはずもなく、ホラーやち…

『カリギュラ』(1980)製作費46億円!超A級スタッフを使ったハードコア歴史ポルノだなんて…

学生時代の一時、塩野七生のローマ史関連の書籍にハマっていました。もっとも当時、興味があったのは中世の頃を描いた『海の都の物語』『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる残酷』『マキャベリ語録』などでした。 それらを読んでいると古代ローマのこと…

『野獣死すべし』(1980)監督はルチオ・フルチ。でもこれギャング映画です。

『野獣死すべし』というハードボイルドな邦題から作品のあれこれを思い描いてみるとおそらくは主演にハンフリー・ボガードが出てきそうな感じか、松田優作主演のバイオレンス描写が詰め込まれたアクション映画なのかなあと想像が膨らんできます。 ビデオテー…

『グランド・イリュージョン』(2013)楽しめなかったのはミスディレクションのせいか?

女友達に誘われるままに仕事終わりにGODIVAのアイス・シェイクを飲んだ後に観に行くことになったのが『グランド・イリュージョン』でした。 内容をまったく知らない状態だったので、「イリュージョンって、ゲップせずにコーラを一気飲みしたり、手を使…

『ファラオのはらわた』(1970)海外マニアがこれを探し回るのは何故なのか?

数年前から、ずっとヤフオクや田舎のレンタル屋さんやリサイクルショップで探しまくっていたもののとうとう手に入れられなかった幻の一本『ファラオのはらわた』にやっと辿り着きました。 この作品は日本ではそれほど人気のあるタイトルではありませんが、欧…

『ある勇気の物語! 孤独のマラソンランナー』(1976)懐かしの映画をついに発見!

『ある勇気の物語! 孤独のマラソンランナー』という映画を知っている人はどれくらいいるだろうか。それは名作『長距離ランナーの孤独』ではありません。優勝間際に走ることをやめて、反抗心を表したあの作品とは違い、こちらはアメリカ作品らしく、ハッピー…

『透明人間』(1954)と~めいにんげん あらわる!あらわる!透明なのになぜわかる?

数日前、帰宅後の夜9時に何となくCSを見ていると、日本映画専門チャンネルでちょうど始まったのが1954年公開の『透明人間』でした。 監督は『ゴジラの逆襲』を撮った小田基義です。このあとはあまり有名な作品はないようですが、定かではありません。東宝も…

『エクスタミネーター』(1980)ランボーでもマックスでもないヒーローはギンティ?

ぼくが中1の冬に『ランボー』が大ヒットしてからというもの、あれもこれもとベトナム帰還兵モノが一大流行になっていた1980年代中盤から後半。 その数年前の70年代後半から『ディア・ハンター』『地獄の黙示録』『ローリング・サンダー』などベトナム戦争を…

『マッド・マックス/サンダー・ドーム』(1985)三作目までは来たものの…。

マッド・マックスのシリーズは第四弾まで用意されているとずいぶん前から聞かされていたものの、実際に公開されたのは1985年の第三弾『マッド・マックス/サンダー・ドーム』までです。 当時、高校生だったぼくはすぐに映画館まで観に行きました。すでに30年…

『マッド・マックス2』(1981)シリーズ最高傑作!大空を翔けるジャイロ・キャプテンが最高!

前作『マッド・マックス』から2年後の1981年に公開されたのが『マッド・マックス2』です。ぼくがこの映画を見たのは1984年にテレビ放送された時で、マックスの声を柴田恭平、ジャイロ・キャプテンの声をジョニー大倉が務める悪名高いチンピラ・バージョンで…

『マッド・マックス』(1979)最初に見た時に受けた衝撃は今も覚えています。

かなり昔の話になりますが、小学生の頃、夜のテレビで映画を見ていたら、暴走族と警察官が殺し合いをする作品を夜9時ごろに普通に放送していました。 その日の夕方に友達と遊んでいたときにちょっとマセガキだった彼は「今日の映画はスゴいらしい。なんでも…

『赤ひげ』(1965)黒澤明、最後のモノクロ作品にして最高傑作。

良い映画とはどんな映画だろうか。楽しい映画、興奮する映画、感動する映画、時間を忘れる映画、何度も見たくなる映画などなど数え上げれば切りがないほどに映画ファン各々でこだわりがあるのでどれが一番か決めるのはかなり難しい。 個人的にはストーリーだ…

『夏目友人帳』映画化を望む第二弾。ニャンコ先生の出来次第でヒットするかも?

ちょっと前に映画化を希望する作品として『進撃の巨人』を挙げましたが、実は映画館で観たいものがもう一本あります。 それは『夏目友人帳』です。漫画原作で現在は16巻まで刊行されています。テレビアニメも人気があり、去年までに第4シーズンを放送してい…

『感動しました!泣けます!』それはストーリーだけ?映像込みで?宣伝用?

映画の番宣やテレビCMでよく目にする「感動しました!」「泣けます!」とかの何について話しているのかがよく分からない感想に舌打ちするか、無視して聞き流す習慣が染み付いてしまっているせいか、かなり長い年月に渡って、いわゆる感動作品とされるような…

『ローン・レンジャー』(2013)ジョニー・デップ&ジェリー・ブラッカイマーな映画。

8月30日となり、小中高生の夏休みがそろそろ終わりに近づきますので、もしかすると大勢観客がいて、ゴミゴミしているのかなあと思いながら、待ち合わせ場所の映画館内のロビーに行ってみるとそんなに人はおらず、普通の時とあまり変わりはありませんでした。…

『ウィネベーゴ・マン』(2009)YouTubeで脚光を浴びたオッサンの不幸なその後。

ウィネベーゴ・マン(WINNEBAGO MAN)?なんのこっちゃ、よく分からないという方がほとんどでしょうが、今回の記事に選んだのはYouTubeで圧倒的な再生回数を誇る、伝説的な投稿ビデオについてのドキュメンタリー映画です。 アメリカにはキャンピング・カーを売…

『どん底』(1957)社会の底辺で暮らす人々は虚無的で自堕落に落ち込み、朽ちて行く。

『どん底』はゴーリキーの有名な戯曲ですが、ぼくはなぜかこの原作ではなく、ジャン・ルノアールが手掛けた映画を思い出します。 トボトボと道を歩く敗残者たちへの温かさと愛情がフィルムを通して伝わってくる。当然ロシアでも映画化されています。そして、…

『バニー・レークは行方不明』(1965)我思う、故に我あり。本当だろうか?

一昨年に読んだ映画本のなかでもっとも興味深かった町山智浩の映画エッセイ集『トラウマ映画館』で最初に取り上げられていたのが『バニー・レークは行方不明』でした。 本を読んでから、このマニアックな魅力に溢れる作品を無性に見たくなり、ヤフオクやAmaz…

『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013)年齢を重ねるとテラ盛りアクションは…。

前々から女友達が観たいということもあり、今回はミュージカルとともに得意ではないジャンルになってきているアクション映画を見に行くことになりました。もともとアクションは好きだったのですが、最近のはカット割りが速すぎて、集中して観ていると疲れが…

『モンスター・パニック 怪奇作戦』(1970)胡散臭さがプンプン匂うSFホラー。

“モンスター・パニック”というタイトルの映画を近所のTSUTAYAで探していると、せいぜい見つかるのは半魚人が白人の若いオネエチャンをレイプしまくる80年代の俗悪作品にしか辿り着きませんでした。これも昔は大らかにアナログ地上波で夜9時台に放送されてい…