良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『フルメタル・ジャケット』(1987) ベトナム戦争の真の姿を、冷静に表現できた唯一の作品。

ベトナム戦争の狂気と無意味、そして滑稽さを、真に表現したのはこの作品のみである。1987年に公開された『フルメタル・ジャケット』は、1980年の『シャイニング』から数えて、スタンリー・キューブリック監督作品としては、実に7年振りの作品であ…

『狩人の夜』(1955) 俳優チャールズ・ロートンが手がけた唯一の作品。美しい映像が一杯です。

チャールズ・ロートン監督による、1955年製作作品にして、唯一の監督作品でもあります。出来栄えとしてはヒッチ先生の『サイコ』、『疑惑の影』とビートルズ後期の名曲『アクロス・ザ・ユニヴァース』の持つムードを併せ持つような作品です。サスペンス…

『真昼の決闘』(1952) 西部劇の名作であるだけではなく、むしろ人間ドラマの傑作。

フレッド・ジンネマン監督、1952年制作作品。オープニング・シークエンスでの、悪党達の集合シーンの不穏さ、それと好対照となる保安官(ゲーリー・クーパー)と妻(グレース・ケリー)の結婚シーン。 対照的なこのシーンが、後に保安官が味わう孤独の8…

『スーパーサイズ・ミー』(2004) 提案 マクドの袋には「身体に悪いから食べ過ぎるな!」と書け!

超話題作『スーパーサイズ・ミー』はモーガン・スパーロック監督、2004年の作品であり、DVD化される前から、マスコミや口コミで内容が語られていたために、知っている人も多い作品ではないでしょうか。ダイエットで悩む人だけでなく、ハンバーガーが…

『エル・トポ』(1969) ジョン・レノンお気に入りの、えげつなさと美しさが同居する奇妙な一本。

デビュー作『ファンドとリス』で注目を浴びたあと、彼に目をつけたアラン・クライン製作で、奇才アレハンドロ・ホドロフスキー監督の撮った、1969年の第二作目の作品。この作品が世に出るきっかけとなったのは、まだ名目上はビートルズだった頃のジョン…

『メキシコ万歳』(1931&1979) 未完に終わったメキシコの歴史絵巻。彼の本質は不滅です。

元々は1931年に制作され、公開されるはずであったものの、ついに制作中止に追い込まれたエイゼンシュテイン監督の作品。『ベージン草原』も同じような運命を辿りました。ハリウッドに招かれて映画制作をするはずだったのが、アメリカ側と揉めた為に仕方…

『椿三十郎』(1962) 『用心棒』の続編という枠を打ち破って、真のヒーローとなった三十郎。

黒澤明監督の1962年制作作品です。キャラクターの名前からも明らかな通り、大ヒット作『用心棒』の続編作品です。『用心棒』は、その後イタリアでも『荒野の用心棒』として、黒澤サイドの許可も無く丸ごとコピーされました。そのコピーが世界的な大ヒッ…

『シャイニング』(1980)キューブリック監督の唯一のホラー作品。映画的表現の宝庫。

イギリスへ渡った巨匠、スタンリー・キューブリック監督の1980年に発表された傑作ホラー作品。なによりもまず、これはキューブリック監督の撮ったフィルムの中では、ある意味、一番解りやすい作品でしょう。 ジャック・ニコルソンとシェリー・デュバルの…

『レザボア・ドッグス』(1992)タランティーノの名前を一躍ビッグにした作品。キューブリックの影!?

クエンティン・タランティーノ監督、1992年の監督デビュー作品です。まさに低予算映画の鏡!!!これだけ分厚い作品なのに、舞台は「安っぽいレストラン」・「路上」・「事務所」そしてメイン舞台の「倉庫の中」のみです。これならば額縁舞台でも上演で…

『用心棒』(1961) スーパーヒーロー三十郎誕生。それまでの時代劇を根底から覆した革命的作品。

黒澤明監督、1961年製作作品であり、スーパー・ヒーロー「三十郎」という黒澤作品の中でも一二を争う人気キャラクターを生み出した作品でもあります。 一般的に「チョンマゲ」をしていて日本刀が出てくると、すぐにその作品は時代劇というレッテルを貼ら…

『キル・ビル vol.1』(2003) ファンだからあえて言う。血はいらない。もうやめてくれ!

クエンティン・タランティーノ監督、2003年の作品。いまさら書くのもなんなのですが、この作品はタランティーノのものとしては、かなり質の下がってしまっているものです。彼くらいのフィルムメーカーとなると、ファースト・カットはもちろんのこと、お…

『ストレイト・ストーリー』(1999) リンチ監督が投げたビーン・ボール!出来栄えは素晴らしい。

フェチ的、もしくは変態的で、しかも映画芸術としてしっかり成立しているという、類稀なる作品を撮らせると右に出る者はいない、巨匠デヴィッド・リンチ監督の、世紀末である1999年に作られた作品です。 公開当時に観たときは、ノストラダムスで揺れてい…

『大魔神』(1966) 日本特撮史上に残る、大映の傑作。怪獣映画というよりは神話である。

安田公義監督、1966年製作作品。『大魔神』という響きは僕らを小学校時代にタイムスリップさせる懐かしい言葉です。はじめて見たのは、たしか幼稚園か小学生の低学年の時でした。 昭和50年代の初旬には、このシリーズと『ガメラ』シリーズ、そして『ゴ…

『現金に体を張れ』(1956) キューブリック監督の才能がほとばしる、フィルム・ノワール。

スタンリー・キューブリック監督、1956年の製作作品。一般にキューブリック監督が我々に与えてくれるイメージとしては、『2001年 宇宙の旅』、『スパルタカス』、『バリー・リンドン』などお金のかかる大作を撮る一方で、『時計仕掛けのオレンジ』、…

『七人の侍』(1952) 歴代日本映画最高の活劇作品にして、黒澤時代劇の最高峰。ネタバレあり。

黒澤明監督の1952年に公開された代表作です。制作費は通常の6倍(当時、時代劇一本の制作費の平均は二千万円強)、そして製作そのものに一年近くかかるという、当時としては異例尽くめの作品でした。全てを語りつくすことはとうてい不可能な映画であり…

『太陽の季節』(1956) 大スター石原裕次郎、銀幕デビュー作品だが実は脇役。ネタバレあり。

古川卓巳監督、1956年製作の作品。というよりも石原慎太郎原作・脚本、そして実弟である石原裕次郎の銀幕デビュー作品です。見る前は、完全に裕次郎の主演作品だとばかり思っていました。ところが、タイトルの後に出てきたのは、長門裕之・南田洋子夫妻…

『めまい』(1958) 特撮好きのヒッチ先生が送る、実験的な要素も多いサスペンス作品。ネタバレあり。

ヒッチコック監督の1958年製作作品であり、特撮で有名な作品でもあります。ヒッチをあまり知らない人でも『鳥』・『サイコ』と共に、名前だけならば聞いたことがあるだろうと思います。個人的には、主人公の心理面の混乱を、いろいろな映像で示していた…

『荒木又右ヱ門 決闘鍵屋の辻』(1952) 黒澤明監督の脚本による『七人の侍』のテストパターン。

森一生監督による1952年製作の作品ではありますが、スタッフ、キャストともに黒澤組が大勢参加して、黒澤明監督が脚本を書き上げた知る人ぞ知る時代劇の名作です。ほとんど知られていないのがとても口惜しい作品であり、のちの『七人の侍』や『蜘蛛巣城…

『晩春』(1949) 原節子が小津作品に初出演した、記念すべき作品にして代表作のひとつ。

小津安二郎監督、1949年製作の作品。小津作品というと構図やカット割が独特であり、「絵」として見ているだけでもかなり興味深い。障子や間取りで何重にも区切られている登場人物たち、極端なローアングルに据えられた和室でのカメラは監督の実験的な個…