良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『大魔神』(1966) 日本特撮史上に残る、大映の傑作。怪獣映画というよりは神話である。

 安田公義監督、1966年製作作品。『大魔神』という響きは僕らを小学校時代にタイムスリップさせる懐かしい言葉です。はじめて見たのは、たしか幼稚園か小学生の低学年の時でした。

 

 昭和50年代の初旬には、このシリーズと『ガメラ』シリーズ、そして『ゴジラ』シリーズが(たまに『ガッパ』も)、春・夏・冬休みの午前中や午後3時過ぎに頻繁に放送されていて、小学生だった私達はその時間になると、野球をやめて帰宅するか、友達の家とかで夢中になって見たものです。

 

 3シリーズともそれぞれに良さがあり、思い入れがあります。『大魔神』シリーズは『大魔神』『大魔神怒る』『大魔神逆襲』と3作品共にカラー作品なのですが、何せ最初に見た頃には、まだ白黒テレビが残っている家も沢山あり、モノクロで見たのが最初でした。

 

 モノクロの『大魔神』は、カラーよりも巨大で恐ろしかった印象があったのを覚えています。高学年になって、我が家のカラーテレビで見たときに、実はカラーだったのが驚きでした。

 

 この作品は、ごく普通の勧善懲悪の時代劇のように展開していき、最後に悪人を叩きのめすのが水戸黄門でも、丹下左膳でも、雷蔵でもなく、巨大な大魔神だと言うだけです。とても恐い主人公で、3作通して一言もしゃべりませんし、怒っているかボーっとしているか以外の表情は全く見せません。能面のような様式美の主人公はとても魅力的でした。

 

 3部作のうち、これと次の『大魔神 怒る』は日本特撮史上に残る傑作です。微妙に大きい大魔神が、とてもリアルに感じたものです。何回見たか覚えていないほど、TV放送の度に欠かさず見ましたが、全てが子供のときだったためか、3作をごちゃごちゃに覚えていて、「海が割れる」やつだったか(2作目)、「子供が怪鳥や悪人に追いかけられる」やつだったか(3作目)と断片的に覚えていました。二年位前にまとめて見直して見て、いろいろな勘違いに気づきました。

 

 ただ私がこれを見たのは、その年にあったWOWOWでの放送前であり、レンタルのツタヤから借りてきて見ました。しかもうちの近所には全く無かったので、大阪の難波(阪神が優勝したとき、馬鹿者どもが跳び込んだところのそば)のツタヤまで行かねばなりませんでした。そのあとに放送があったため損した気分でした。

 

 最後に余談になりますが、大学生の時に夢を見ました。それは逃げても逃げても大魔神が追いかけてくると言う恐ろしい夢で、家の中に隠れたり、バイクで逃げたりしても、何故か僕だけをあの目つきで追いかけてくるのです。

 

 しまいに僕は「よし、溝(ドブの中)に隠れよう。」というとんでもない良いアイデアを思いつき、コンクリをどけて隠れるのですが、結局は捕まってしまうという悪夢でした。

 

 3作しか作られなかったにもかかわらず、その当時の子供たち与えたインパクトは凄まじく、誰でも一度は大魔神ごっこをしたものでした。『ストップ!ひばりくん』などの漫画でもパロディー的に使われていたものです。

総合評価 79点  

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