良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『ピノキオ』(1940)幻想的かつシャープな映像美と警句を盛り込んだディズニー初期の傑作。

『白雪姫』の大ヒットを受けて、製作された第二作目となる長編アニメ映画の傑作がこの『ピノキオ』です。小さい頃に何度も見てきたこの作品ですが、大人になって見たのはつい最近で、かれこれ30年ぶりくらいでしょうか。 コオロギのジミニー、猫のフィガロ…

『ローラ殺人事件』(1944)フィルム・ノワールの代表的作品。物語の仕掛けが斬新です。

オットー・フレミンジャー監督によって1944年に発表された『ローラ殺人事件』はフィルム・ノワールと呼ばれる一連の作品のなかでは『深夜の告白』『サンセット大通り』『現金に身体を張れ』『疑惑の影』などとともに、このジャンルを代表する作品のひと…

『怪獣総進撃』(1968)キングギドラ敗れる!その衝撃の意味を分かっていたのか?

1965年に製作された『怪獣大戦争』以来、久しぶりに本多猪四郎監督と音楽に伊福部昭を起用し、真面目に製作されたのがこの『怪獣総進撃』でした。そしてこの作品には過去作の総決算のように東宝怪獣達が大挙スクリーンに登場してきます。もともとのタイ…

『大アマゾンの半魚人』(1954)ユニバーサル・モンスター映画の中でも人気の高い作品。

アマゾン奥地で見つけた謎の化石が発端となって、かの地へ探索へ出かけた科学者たちが、未開地の奥にある黒い入り江で未知の怪物に遭遇し、恐怖の体験をするというお話です。この『大アマゾンの半魚人』は数あるユニバーサル・モンスター映画のなかでも屈指…

『ゴジラの息子』(1967)ゴジラよ、ゴジラよ、ゴジラさん。どうしてあなたの息子はミニラなの?

とうとう来るところまで来てしまった感のあるゴジラ映画の第八作目がこの『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』です。思えば遠くへ来たもんだ。水爆実験で復活したゴジラが帝都を暴れ回り、ヒールの大スターとしてデビューしてから12年。 その間、アンギラスをK…

『悪の報酬』(1956)鈴木清順監督の師匠、野口博志監督のフィルムノワール。

日本映画界の最後のアウトロー鈴木清順監督の師匠、野口博志監督のフィルムノワールがこの『悪の報酬』です。いまではまったくの無名に近い野口監督ですが、彼の残した作品のレベルは恐ろしく高い。 犯罪組織、異常な犯罪者、誠実な警察官(水島道太郎)、悪…

『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966)東宝は一体何が撮りたかったんだ?

興行収入を抜きに考えた時、はたしてこの作品にゴジラとモスラが登場しなければいけない必要性を認めることが出来ません。ゴジラとエビラの戦いはまったく噛み合わず、モスラに至っては友情出演程度のものであり、タイトルに出てくるような「決闘」シーンは…

『映画検定一級試験へ向けて。』12/3実施で受験費用は4900円!高い!

キネマ旬報が主催し、結構盛り上がった企画『映画検定』が12月3日に再び実施される。前回の反省を踏まえた二回目の試験がどのような形で行われるのかは興味があります。まず変わったのは実施される場所が前回よりも増えているようなのです。たしか6月の時…

小津安二郎監督幻の作品『突貫小僧』(1929)。消失していたのが1988年に奇跡的に発見。

小津安二郎監督が1929年に製作したサイレント作品である『突貫小僧』はもともとは四巻物でした。おそらくは40分から50分くらいの作品だったのではないでしょうか。ただ現存するのは短縮版の15分バージョンのみということになります。この15分が…

『東京の女』(1933)女優、岡田嘉子の未来を暗示したような作品。彼女はその後、ロシアへ。

小津安二郎監督サイレント時代の1933年度作品。巨匠エルンスト・ルビッチの『百萬圓貰ったら』を劇中劇に挿入するセンスは昭和初期の軍国主義的時代において、ずば抜けて斬新だったのではないでしょうか。 またこのルビッチ監督作品から採りあげた「階段…

『怪獣大戦争』(1965)ゴジラがイヤミになってしまった第六作目。水野久美の妖艶さに注目!

前作品『三大怪獣 地球最大の決戦』で、自らの存在理由を地球怪獣代表に見出したゴジラとラドンはこの作品でさらにその色彩を強めていきました。怪獣が人間に媚を売って人気を維持しようとする姿勢は「情けない」の一言に尽きる。作品の対象年齢が急激に低下…

『三人の狙撃者』(1954)フランク・シナトラが自然体でサイコ系殺し屋を演じる佳作。

フィルム・ノワールらしいダブル・ミーニングを持つ原題『サドンリー』。「突然に」という意味と「サドンリー」という地名の意味で用いられる。否応なく事件に巻き込まれていく人々を突き放した視点で描くスタイルを取ることの多いフィルム・ノワールらしい…

『日本のいちばん長い日』(1967)ドキュメンタリー・タッチで描かれる1945年8月15日。

世に戦争映画は数多くあれど、岡本喜八監督の残した戦争映画には記憶に残る作品が多い。『独立愚連隊』、『独立愚連隊 西へ』、『肉弾』、そして『日本のいちばん長い日』などに代表される彼の作品群は他の監督の作品よりも魅力的である。 それぞれ全く違う…

『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)黄金色に輝く悪役スター、キングギドラ遂に登場。

伊福部昭による不穏で不気味なオープニング・テーマが鳴り響く中、金色の鱗とともにタイトル『三大怪獣 地球最大の決戦』が赤字で染め抜かれる。このときの金色は暗がりの中で画面に映され、ボディの部分のみであるためにどの怪獣のものかは解らない。 いま…

『倫敦の人狼』(1935)狼男、月に吠える!後のスタイルの基盤を作った作品。

サイレント映画はひとまず置いて、トーキー映画に移行してから初となる狼男映画となったのがこの『倫敦の人狼』です。そして狼男といえば、月に吠える怪物を想像します。ここで登場する狼男ははじめて月に向かって吠えるという見せ場を作りました。 余談では…

『キングコングの逆襲』(1967)キングコング対メカニコングはゴジラ対メカゴジラの原点である。

東宝設立35周年記念作品として製作されたのは同社の大スター・ゴジラを主役にした対戦シリーズではなく、5年ぶりに招聘したキングコングと機械兵器であるメカニコングとを戦わせるという意外な作品でした。 そして本多猪四郎監督は三十周年記念作品として…

『フランキーの宇宙人』(1957)一人十四役!喜劇役者フランキー堺主演のC級SFコメディ!

フランキー堺が亡くなってから今年ですでに十年の年月が経とうとしています。川島雄三監督作品に数多く出演し、『世界大戦争』や『モスラ』などの東宝特撮シリーズにも多く出演した彼は忘れられない俳優の一人なのです。 SFコメディの体裁をとるこの作品で…

映画バカ一代!映画が人生!オタクを超越する人々『シネマニア』(2002)

「シネマニア」とは映画マニア、もしくは映画オタクのこで、本作品は5人の映画バカを追い続けたドキュメンタリー映画で、舞台はニュー・ヨークです。5人はそれぞれまったく違う生活環境におかれていますが、映画に懸ける情熱は映画バカ、もしくは映画の清…

『交渉人 真下正義』(2005)「踊る」シリーズ・ファンが観ても、楽しめたかどうか疑問の作品。

『踊る大捜査線』はテレビ・ドラマの大ヒットに始まり、すぐ調子に乗るフジテレビの後押しもあって、劇場版『踊る大捜査線 THE MOVIE』、続編『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボウ・ブリッジを封鎖せよ!』も記録的な大ヒットを飛ばしま…

『モスラ対ゴジラ』(1964)♪マハラ~ マハラ モスラ~♪ゴジラが悪役だった最後の映画。

本多猪四郎監督、田中友幸製作、伊福部昭音楽、円谷英二特撮に加え、関沢新一脚本、主演に宝田明、助演にザ・ピーナッツというゴジラ映画としては平田昭彦を除くほぼベスト・メンバーが出揃った作品となったのが、この『モスラ対ゴジラ』です。 基本的にゴジ…