良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『山羊座のもとに』(1949)もしも、最初に見たヒッチ作品がこれだったら、嫌いになるでしょう。

イングリッド・バーグマンが主演女優として、存在感を示している以外、他に印象に残るシーンなどがほとんど皆無といってよい作品でした。アルフレッド・ヒッチコック監督が、何故このような歴史物を製作したのかという意味があまり解らない。『ロープ』のあ…

『刑事コロンボ 秒読みの殺人』(1977)TVシリーズなのですが、日本では「映画」ですね。

刑事コロンボ・シリーズというと、本来はTVフォーマット用の番組なのですが、たしか日本では『水曜ロードショー』で定番として長期放映されたため、「映画」として受け取られている作品群ですね。実際の出来栄えも素晴らしいものが数多く存在し、記憶に残…

『未知との遭遇』(1977)スピルバーグは素晴らしい監督なのです。もっと、こんなの作ってよ。

1977年に公開され、全世界で、超のつくほど大ヒットしたSF作品が、この『未知との遭遇』です。監督は『激突』(1971)、『ジョーズ』(1975)と素晴らしい企画をもとに、映画監督として確実にステップ・アップしてきたスティーブン・スピルバ…

『AKIRA』(1988)アキラの前に、アキラなし。アキラの後に、アキラなし。

1988年に制作された大友克洋監督作品。この作品が公開され、はじめて見た時の印象は「なんて、細かいところまで拘った作りをしているのだろう」というものでした。なんの先入観もなく、情報を全く仕入れずに観た『アキラ』は大変衝撃的な映像美でした。 …

『パッション』(2004)残虐な拷問シーンも全篇でひたすら続くと、その効果は半減してしまう。

2004年公開作品の中で、キリスト教徒の映画ファンにとっては最も注目を浴びていたかもしれない作品ではないでしょうか。しかし、この作品って、全体として見た場合に心理描写があまり描かれず、直接的な残虐シーンばかりが多く、製作者の意図に反して、…

『鬼平犯科帳』(1995)個人的には、吉右衛門版の鬼平が一番好きです。

1995年に、松竹100周年企画として公開されたのが、この作品です。TVシリーズが好評で、第9シリーズくらいまで、20年近くも製作されているのですから、いかにこの「鬼平」シリーズが人気のあるドラマであるかが理解されることと思います。 萬屋錦…

黒澤明版シナリオ『暴走機関車』(1966)挫折した、男だけが登場する武骨な作品。

とうとう映画化されることなく挫折してしまい、黒澤明監督のスランプ時代の幕開けとなってしまった忌まわしい企画、それがこの『暴走機関車』です。1985年になって、突然コンチャロフスキー監督によって、映画化され、ようやく日の目を見ました。 しかし…

『パラダイン夫人の恋』(1947)名作になり損ねた作品。演出には光るものあり。

ヒッチコック監督、通算33作目に当たる『パラダイン夫人の恋』は1947年度製作の作品です。主演にグレゴリー・ベック、共演のパラダイン夫人役にはアリダ・ヴァリ、ベックの妻役にはアン・トッドを起用しています。 製作者のセルズニックの気まぐれと、…

『手錠のままの脱獄』(1958)シドニー・ポワチエの演技、音楽、編集共に素晴らしい作品。

スタンリー・クレイマー監督、1958年製作のこの作品は、今までに何度かTVやビデオで見たのですが、今回久しぶりに見る機会に恵まれました。若かりし頃のシドニー・ポワチエには、既に大俳優へと突き進んでいく迫力と貫禄、そして余裕を感じました。 ト…

『オペラ座の怪人』(1925)サイレント映画の傑作!光と陰の絶妙な共演。

『オペラ座の怪人』は1925年に製作された、サイレント映画の傑作であり、ホラー映画の傑作でもある。監督にルパート・ジュリアン、主演に、ロン・チェイニー(狼男役で有名な、ロン・チェイニー・Jrは彼の息子)を迎え、一躍彼をスターの地位に押し上…

『夜と霧』(1955)上映時間は僅か30分。戦争の狂気とは何なのか。目を背けてはならない。

アラン・レネ監督による1955年度監督作品であり、カメラによって淡々と狂気を語られると、その迫力の凄まじさは、より一層我々の心に響いてきます。第二次大戦後の六十周年に当たる去年は、わが国の戦後へのけじめも含めて、いろいろと話題になりました…

『戦場のメリー・クリスマス』(1983)この作品の主役はビートたけしである。サントラは最高。

大島渚監督の1983年度公開作品であり、個性的だった事もあり、大変話題になった作品でした。既成の俳優よりもデヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ジョニー大倉など個性的なミュージシャンやビートたけしのようなコメディアンを使う事で、非人間的かつ没個性…

『最後の誘惑』(1988)クリスチャンの知り合いと一緒に見たとき、彼女は非常に怒っていた。

マーチン・スコセッシ監督が1988年に放った、衝撃の問題作であるこの作品を最初に見たのは1990年くらいで、20歳のときに、アメリカ人のクリスチャン(彼女はスコットランド系で、彼氏はUSエアフォース所属です)と一緒に、僕の部屋で見ていました…

『となりのトトロ』(1988)日本人の持つ原風景である、田園や自然が懐かしさを蘇らせる。

1988年公開作品で、宮崎駿監督の代表作のひとつであり、全作品をDVDで所有している僕としては懐かしさ以上のものがあります。うちの甥と姪もこれが大好き(ともに3歳)で何度も見ているにもかかわらず、わが家に来てまで「見せろ!」と騒ぎ出す始末…

『カプリコン 1』(1977)アポロ月面ロケットも本当は、あっちまで行ってないというのは事実か?

ピーター・ハイアムズ監督による、1977年公開作品です。最初に見たのは中学生時代、ゴールデン洋画劇場でした。当時は「うわ~~~。さすが洋画はひねっていて面白いなあ」と、単純に喜んでいました。二度目は大学生時分、深夜にレンタルで見ました。そ…

『惑星ソラリス』(1972)意識を持つ「水」は、人を映し、思い出を蘇らせる「鏡」である。

1972年に、当時まだソビエト連邦だった頃のロシア映画界において、アンドレイ・タルコフスキー監督が放った、最大の傑作です。しかしあえて言いたい事がひとつあります。「SF」の代表作? ロシア映画の金字塔?ごちゃごちゃ言わずに、タルコフスキー監督の…

『くたばれ!ハリウッド』(2002)名作はみんなオレ様のおかげと言い切る痛快似非ドキュメンタリー。

2002年製作で、ブレット・モーゲン ・ナネット・バースタイン両監督による、パラマウント映画の名物プロデューサーだった、ロバート・エヴァンスの暴露話を基に製作された、えせドキュメンタリー作品です。何故、似非かと言うと、相手に全く反論させてい…

『スキャナーズ』(1981)「脳みそバーン!」は衝撃的でした。

鬼才、デヴィッド・クローネンバーグ監督の1981年製作作品です。なんとも言えない寒々しい映像、対決シーンの不気味な静けさ、そして映像描写の凄まじさに、当時は驚きでした。いわゆるサイキックなどの超能力を扱った映画の中では、かなりレベルの高い…

『ロゴパグ』(1963)ロッセリーニ、ゴダール、パゾリーニ、グレゴレッティ。4人の頭文字が題名。

1963年度に製作されたもので、監督に、 ロベルト・ロッセリーニ、ジャン=リュック・ゴダール、ピエル・パオロ・パゾリーニ、ウーゴ・グレゴレッティという4人の個性豊かな映像作家を迎えて、製作されたオムニバス作品である『ロゴパグ』は今から考える…

『ターミネーター 3』(2003)無意味な映画製作、その一。続編。

2003年に公開された、ジェームス・キャメロン原作、ジョナサン・モストゥ監督による、大ヒットシリーズの完結編が、まさか、このような酷い出来栄えになろうとは、思ってもいませんでした。いくら、キャメロンとハミルトンが離婚してしまい、両者の手か…

『狼たちの午後』(1974)マフィアのボスの後に演じた、トリックスター役が、むしろ絶品。

1974年度に公開された、シドニー・ルメット監督作品です。彼の作品には、何故か、お気に入りのものが多いのですが、この作品に関しては、小学生のとき、高島忠夫が司会をやっていた、フジテレビ枠の土曜の夜の「ゴールデン洋画劇場」で見たのが最初でした…

『父の祈りを』(1993)これは現代に置き換えた、「魔女狩り」の映画だ。ネタバレあり。

実話を基に作られた、ジム・シェリダン監督、1993年製作作品である。冤罪により、というよりはもっと悪質な国家的陰謀により、無理やりテロリストに仕立て上げられるダニエル・デイ・ルイス演じる主人公家族達。これは中世に、教会によって行われた「魔女…

『ローマの休日』(1953)オードリーって、なんでこんなに可愛いのだろう。

ウィリアム・ワイラー監督、1953年度製作作品というよりは、時代を超えて人気のある女優 、オードリー・ヘップバーンの大ブレイク作品といったほうが、わかりやすいですね。題名だけでも聞いたことのある人も含め、これを知らない人がわが国に存在するの…

『薔薇の名前』(1986)演技派俳優、ショーン・コネリー誕生の瞬間。見事な作品です。

ジャン=ジャック・アノー監督、ウンベルト・エーコ原作による、1986年度製作作品にして、主演俳優にショーン・コネリーを迎えたこの作品は、公開時は難解なテーマと、作品の舞台が馴染みの薄い中世イタリアであること、そして、作品中で繰り広げられる…

『八月の狂詩曲』(1991)果たして、これは駄作なのだろうか?そんなことはない。

日本映画界、最後の巨匠、黒澤明監督の1991年の公開作品にして、初上映された時に、欧米の記者達に散々叩かれた後に、日本公開されたためか、「右へならえ」とばかりに、国内でも相当叩かれてしまった不幸な作品でもあります。もう一本だけでも、観客が…

『暗黒の恐怖』(1950)巨匠、エリア・カザンの隠れた名作。観客に優しい演出を見て欲しい。

エリア・カザン監督、1950年製作作品ではありますが、ジェームス・ディーンの『エデンの東』や、マーロン・ブランドの出世作『波止場』のイメージが強い映画ファンには、存在すら忘れられている感のある、毛色の違う作品かもしれません。しかしこの作品…

『ザ・力道山』(1983)39歳で逝った、空手チョップで日本を救った昭和最大のヒーロー。

1983年に高橋伴明監督、村松友視製作で公開されたこの作品が、まさにこの1983年に公開された意義は実に大きいものでした。しかし、それに気付いたのは残念ながらつい最近のことでした。『わたし、プロレスの味方です』の著書で知られた村松が、わざ…

『ブラック・レイン』(1989)カリスマ松田優作、39歳で病魔に倒れる。最後の勇姿を見て欲しい。

リドリー・スコット監督、1989年製作作品にして、松田優作、初のハリウッド進出作品です。そして、これは松田優作の遺作でもあります。1989年というと、バブル全盛期の真っ只中であり、今ではもう17年以上前になってしまいました。 当時、大学生で…

『チャーリーズ・エンジェル フル・スロットル』(2003)パロディ満載で笑える、おバカムービー。

2003年製作の、マック・G監督作品。前作というか、TVシリーズでも昔見ていた、チャーリーズ・エンジェルがまさか、2000年に映画化されるとは思っても見ませんでした。しかも続編なんて、よっぽどネタがないのだろうか。『宇宙戦争』にも呆れ果て…

『スチーム・ボーイ』(2003)大友克洋?嘘でしょ。「飛行蒸気」でも良かったんじゃない。

2003年公開作品で、『踊る大捜査線』の陰に隠れていたが、大いに期待を裏切った作品という意味ではダントツの作品だったのではないだろうか。監督に大友克洋の名前がクレジットされているだけで、『AKIRA』を超える出来栄えを期待するのが適当では…