良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

2014-01-01から1年間の記事一覧

『決死圏SOS宇宙船』(1969)英国発の観念SFの傑作。ディティールへのこだわりが凄い!

今回はこの作品を取り上げて欲しいとお望みのベラデンさんからのリクエストをいただき、この作品を取り上げています。タイトルは『決死圏SOS宇宙船』でオリジナルタイトルは『JOURNEY TO THE FAR SIDE OF THE SUN』ですから“太陽の向こう側への旅”くらいでし…

『見たい映画がやってない!』新作で観に行きたいと思えるものがまったくない!

最後に映画館まで観に行ったのは夏ごろで、『Xメン フューチャー&パスト』でそれ以降は全く劇場通いをしていない。厳密に言えば、九条シネ・ヌーヴォのセルゲイ・パラジャーノフ特集やイェジー・スコリモフスキ特集に足を運んでいるのでスクリーンで見ていな…

『執事の眼』(1950)ホラーの老舗、ハマー・フィルム製作の異色南国風ラブコメ。

ハマー・フィルムという映画会社の名前を聞くと、ホラー映画ファンが思い出すのはクリストファー・リーやピーター・カッシングが出演していた血みどろ作品群でしょう。 しかしながら、それだけでは経営が成り立つわけはなく、実はあまり知られてはいませんが…

『スウィート・ムービー』(1974)タブーの連打にひたすら圧倒される怪作コメディ。

ドゥシャン・マカヴェイエフというユーゴスラビア出身の監督の名前をはじめて意識したのは『人間は鳥ではない』からで、そのあとに見たのは『保護なき純潔』と『スウィート・ムービー』の二本です。 『WR/オルガズムの神秘』及び『ゴリラは真昼、入浴す』は…

『糖尿病と診断されてしまった。』検査にひっかり、要再検査後に治療開始。

40歳を過ぎると身体のあちこちに変調が出てきます。肩こり・腰痛などは代表例ですが、高血圧、糖尿病、高脂血症に代表される生活習慣病の検査に引っかかりだす人が急速に増えてきます。 それ以外にも尿酸値の上昇、つまり痛風に悩まされる人も出てきて、同世…

『続 猿の惑星』(1970)今見るとかなりスカスカだが、小学生が見たミュータントは恐かった!

なんといっても強烈なイメージを残したのは地下住人であるミュータントたちがミサのシーンで自分たちが神前でマスクの下に隠された、ケロイドで焼けただれた素顔をさらしていく場面。美しい讃美歌と醜悪な素顔、異様に光り輝くコバルト爆弾の三点セットの残…

『未来惑星ザルドス』(1974)ショーン・コネリーが赤フン締めて絶倫ぶりを発揮するSF映画?

全世界で大ヒットした007シリーズの影響もあり、渋くてダンディーなイメージがあった俳優ショーン・コネリーが自らの役者としての方向性を模索するなかで、結果としてトンデモ映画に出演するほど迷走していた時期もあったのかなあという印象のSF映画が『未来…

『ザ・シャウト/さまよえる幻響』(1978)最先端だったドルビー・システムを取り入れた実験作。

今月末から、大阪九条シネ・ヌーヴォで集中上映されるイエジー・スコリモフスキー特集に合わせて、過去作品の復習をしておこうと『早春』『出発』『アンナと過ごした四日間』『シャウト』『エッセンシャル・キリング』を見ています。 とりわけ『ザ・シャウト…

『出発』(1967)孤高の映画作家、イエジー・スコリモフスキーによる傑作青春映画。

8月のセルゲイ・パラジャーノフ特集に続き、今月末から来月にかけて、アルメニアやグルジアと同じく、共産圏だったポーランド出身の亡命監督、イエジー・スコリモフスキーの集中上映が行われます。 『出発』『シャウト』『アンナと過ごした四日間』『ムーン…

『アンドリエーシ』(1955)パラジャーノフ初期の冒険譚。後の嗜好はすでに散見できます。

友人と彼女の家の近くにあるイタリア料理屋さんでランチをしたあとに車で駅まで送ってもらいました。最寄り駅から大阪九条まで行くために中継駅の西大寺で電車を乗り継がねばと思い巡らせていたところ、その駅から難波まで急行が出ていることをはじめて知り…

『石の上の花』(1962)これを見て、パラジャーノフだと分かる人はいるのだろうか?

さて本日最後に上映された『石の上の花』はセルゲイ・パラジャーノフ監督の初期作品のひとつではありますが、モノクロ・フィルムであり、かつ民族衣装を身に纏う者はいない。 パラジャーノフらしい要素を見つけるのがかなり難しいので、たぶん誰も気づかない…

『火の馬』(1964)全作品中でももっとも解りやすいかもしれない代表作の一つだが…。

セルゲイ・パラジャーノフ翻案によるロシア版の『ロミオとジュリエット』という趣があるのが代表作となった『火の馬』です。タイトルは火の馬ですが、じっさいの映像で火の馬が登場するわけではなく、どちらかというと死に行く兄弟が虚空に見た、“血の馬”の…

『早春』(1970)輸入版DVDはやっと発売されましたが、字幕版で見たい傑作青春トラウマ映画。

九条シネ・ヌーヴォで来月後半に集中上映されるのはイエジー・スコリモフスキー監督作品群です。公式サイトにはまだどの作品を上映するのかの詳細は記載されていませんでした。 先週、セルゲイ・パラジャーノフ特集で劇場を訪れた折にスタッフの方とお話しす…

『アシク・ケリブ』(1988)パラジャーノフ最後の輝き。ついに自分の望む形での製作が可能に。

パラジャーノフ後期の、というよりも遺作となってしまった『アシク・ケリブ』はかつてDVD化されていましたが、現在は廃盤のようで、その他のパラジャーノフ作品同様にAmazonやヤフオクで高額で取引されています。 それでも代表作である『火の馬』や『ざくろ…

『ざくろの色』(1971)パラジャーノフのたどり着いた映像美の極致。ほぼ台詞なしで魅せる。

劇場の大きなスクリーンで観ると赤と黒の鮮やかさ、くすんだ青と壁の色の豊かさがよくわかる。一回目は寝てしまうだろう。二回目は眠たくなるだろう。三回目は耐えられるだろう。四回目は計算された美しさに気づくだろう。そしてようやく五回目に意味を考え…

『レナードの朝』(1990)デ・ニーロとロビン・ウィリアムスの二大俳優共演作はもう見られない。

亡くなったロビン・ウィリアムスが出演していた作品群のなかで、もっとも心に残っている作品のひとつがこの『レナードの朝』です。 大学生時代に公開されたときはロバート・デ・ニーロの大ファンだった友人と映画館まで観に行きました。ただそのときはあくま…

『ロビン・ウィリアムズの思い出』1990年代、観に行った多くの映画で彼はニコニコしてました。

先日、知り合いが経営しているお店でランチをしているとFMラジオから一本のニュースが流れてきました。何気なく聴いていると、アメリカの演技派俳優&コメディアンだったロビン・ウィリアムズの訃報を知らせるものでした。 まだ60代前半だったはずなので、自…

『荒野の千鳥足』(1971)スコセッシがすさまじく不快と語った問題作、いよいよ公開。

この作品は1971年公開のオーストラリア映画ですが、洋画といえばハリウッドとヨーロッパのことだったわが国では当然のように当時は未公開のまま、現在に至りました。 そんな作品が突然、今年の秋に公開が決まり、40年越しの上映となり、にわかに騒がしくなっ…

『バッド・テイスト』(1987)ピーター・ジャクソン監督がやりたい放題やってしまったデビュー作。

昨日から今日にかけて、近畿地方には台風11号が長い間居座り続け、各所で交通網に影響が出ているようです。 さいわいウチの近所では大きな被害はないようですが、近くの河川の水位や勢いはかなり強く、普段の穏やかな様子を見慣れている者からすると信じられ…

『生ける屍の城』(1964)クリストファー・リー主演の隠れた佳作ホラー。

怪奇映画の老舗であるハマー・フィルム作品では有名な怪奇俳優、クリストファー・リーが主演していた作品の多くで彼は吸血鬼役を演じていました。しかし今回はマッド・サイエンティスト役での登場となります。 クリストファー・リーのメイクが不気味でまるで…

『思い出せない映画たち』小中学生のころに見たが、タイトルを思い出せない作品群。

小中学校時代に何気なく見ていたテレビ放送での映画鑑賞は星の数ほどありますが、タイトルを覚えていないものやそもそも記憶にすら残っていないものが大半を占める。宿題をしながらや夜中にぼんやりと眺めていたことが多いためでもあります。 そのなかにはメ…

『女ドラキュラ』(1936)タイトルはテキトーですが、中身はしっかりした『魔人ドラキュラ』の続編

この作品『DRACULA'S DAUGHTER』には『女ドラキュラ』という身も蓋もない邦題が付けられていますが、オリジナルタイトルも和訳すると『ドラキュラの娘』なのでそう大差はない。 ホラーの老舗、ユニバーサル映画の古典となる、トッド・ブライニング監督でベラ…

『ファントム・クリープス/ゾルカ博士の野望』(2)ルーカスも好きだっただろうアイアンマン!

今回は『ファントム・クリープス/ゾルカ博士の野望』第2~5話『ハイウェイに忍び寄る死神』『崩れ落ちる鉄塔』『見えざる恐怖』『唸る線路』です。全12エピソードを一気に見てしまいたい衝動を抑えながら、少しずつ進めています。 物語は広がりを見せ、ベラ…

『GODZILLA ゴジラ』(2014)久しぶりの雄たけびに感涙!エドワーズ監督は分かってるねえ!

ハリウッド版ではありますが、久しぶりにゴジラが映画館に帰ってきたので、出来るだけ早く見に行こうとしたもののなかなか仕事の都合がつかず、ようやく本日の夕方の回での鑑賞となりました。 まず最初に東宝のテロップが流れただけでシネスコープにウキウキ…

『ファントム・クリープス/ゾルカ博士の野望』(1)(1939)忘れられない君の名はアイアン・マン!

『ファントム・クリープス/ゾルカ博士の野望』と言われても、ピンと来る方は少数派でしょうが、SF映画好きであれば、おそらくはスチール写真でアイアン・マンの強烈なヴィジュアル・インパクトに驚かれ、動くところを見てみたいと思ったに違いない。 ベラ・…

『顔のない眼』(1959)天才外科医が若い女の顔を剥ぎ取るフレンチ・ホラーの傑作。

ジョルジュ・フランジュ監督の代表作と言えるのがマッド・サイエンティストになってしまった外科医を描いた『顔のない眼』でしょう。ピエール・ブラッスールが狂気の外科医を演じていますがもっともインパクトが強いのは一人娘役を演じたエディット・スコブ…

『アッシャー家の末裔』(1928)サイレント映画末期の傑作怪奇映画。ブニュエルも参加。

ジャン・エプスタイン監督によるサイレント映画黄金時代最後の輝き、もしくは傑作として名高いのが『アッシャー家の末裔』です。 映画史上に残る作品なので、どれほどの名作なのだろうかと期待を膨らませて見ていくと、大きな肩透かしを食らってしまうか、あ…

『チェンジリング』(1979)ホラー映画という枠を超えた傑作。見せ方もストーリー構成も秀逸!

そもそも、いつからホラーは観客を怖がらせるために鮮血が必要になったのだろうか。ショッキングで派手な描写を求めてきたのは観客だろうか、それとも理解力が乏しいであろう観客により分かりやすいアトラクションを提供し、宣伝がしやすいモノに投資してき…

『もらとりあむタマ子』(2013)だらだらした前田敦子の演技と山下監督の演出が素晴らしい!

大島優子と常に比較されながらも、大所帯のAKB48で常に絶対的エースだった前田敦子はグループ脱退後、歌手と女優業を行っています。『苦役列車』で前田を起用した山下敦弘監督は再び彼女を主演に抜擢して仕上げたのが『もらとりあむタマ子』です。 こういっ…

『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』(1978)わざわざTSUTAYAさんでお取り寄せしたが…。

ちょっと前にTSUTAYAさんのお取り寄せ端末で何気なく思いついた『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を入力してみると当然のように僕らの町のTSUTAYAさんにはなく、注文することになりました。 数日後、一緒に頼んだ『ブレックファスト・クラブ』『断絶』…