良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ファントム・クリープス/ゾルカ博士の野望』(2)ルーカスも好きだっただろうアイアンマン!

 今回は『ファントム・クリープス/ゾルカ博士の野望』第2~5話『ハイウェイに忍び寄る死神』『崩れ落ちる鉄塔』『見えざる恐怖』『唸る線路』です。全12エピソードを一気に見てしまいたい衝動を抑えながら、少しずつ進めています。  物語は広がりを見せ、ベラ・ルゴシ演じるゾルカ博士が死亡したというニュースが各国の情報機関や国家権力に知れ渡り、彼の研究成果を独り占めしたい輩が登場する。
画像
 そのうちの一つ、スパイ組織の黒幕として登場するのがベラ・ルゴシ出世作『魔人ドラキュラ』にもヴァン・ヘルシング役で出演していたエドワード・ヴァン・スローンでした。ちなみにスターウォーズの小説版の敵役でスローン大提督が出てきますが、関係あるのだろうか。  ホラー映画の大ヒット作品の主要キャストをそのまま起用していることになります。今回もベラ・ルゴシは透明人間になり、暗殺とテロを繰り返す。ゾルカ博士が魅力的なのは当時は最先端と思われるアイデアを次々に見せてくれることでしょうか。彼は悪のドラえもんなのだろうか。悪党の未来派野郎です。
画像
 お待ちかねのアイアン・マンは第二話から第四話も隠し部屋から一歩も外に出ることはなく、ご主人様の荷物を運び、すぐに戻される。  しかしヴィジュアルインパクト最大級の彼なのに第5話ではなんと全く登場せずに次回予告のときだけチラッと姿を見せる。アイアンマン目当てで映画館まで通っていたちびっ子ファンには不評だったのではないか。
画像
 ルーカスはこの手のシリアルも好きだったのか、前回のあらすじを語るタイトルロールが画面手前から奥へ向かって流れていくスタイルはスターウォーズでもお決まりの字幕の出し方として使っています。  この作品でも用いられていますので、子供のころに好きだった特撮スタイルをノスタルジーとともに使ったのかもしれません。
画像
 もちろん昔、これらのシリアルが大好きだったであろうアメリカ中のSFオタクもパロディとして喜ぶであろうことを計算していたに違いない。  ただ全体として見ていくとこのシリアルはロボットものというわけではなく、スパイと悪の科学者、そして国家権力が暗闘を繰り広げるフィルム・ノワールに近い。そういう映画ジャンルへ進めなかったベラ・ルゴシは不幸だったのかもしれない。 総合評価70点