良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『キングコング対ゴジラ』(1962)日米怪獣スター夢の共演!喜劇的要素が強く、見応えあり。

『キングコング対ゴジラ』はゴジラ・シリーズとしては初のカラー作品であり、東宝設立30周年記念作品として製作された映画でもあり、アメリカの大スター怪獣キングコングとの夢のシングルマッチもあり、はじめて「OO対ゴジラ」や「ゴジラ対OO」という…

『クイック&デッド』(1995)サム・ライミ監督らしいカメラワークと無意味に豪華な俳優陣。

1995年公開のサム・ライミ監督作品がこの『クイック&デッド』という西部劇でした。一体何故『死霊のはらわた』を撮った彼が西部劇というもはやまったく作られなくなって、廃れてしまったジャンル映画を製作しようと思ったのであろうか。大いなる謎であ…

『ハイ・フィデリティ』(2000)洋楽ファンにはたまらない!クラッシュ、ディラン、そしてボス!

これはコメディ映画なのですが、みんなが手放しに楽しめる映画ではない。60年代以降のロックやポップ・ミュージック等の洋楽及びオーディオに関する知識があるなしで、受け取るメッセージと印象が全く違うであろう作品です。 そもそもタイトルの『Hi Fi…

『黒いジャガー』(1971)黒人の、黒人による、黒人のために作られた映画。カッコイイ!

「オブ・ザ・ブラック!バイ・ザ・ブラック!フォー・ザ・ブラック!」とマルコムXの声が聞こえてきそうなブラザー探偵映画こそが『黒いジャガー』です。本名は『シャフト』ですね。しかし映画にしろ、ポップ・ミュージックにしろ邦題って、なんであんなへ…

『モスラ』(1961)綺麗なモスラと薄汚い人間たち。『モスラの歌』は古関裕而作曲だった。

モスラというと、あのヴィジュアル性がもちろん強く印象に残るキャラクターです。そして、さらにこのモンスターを怪獣映画のベビー・フェイスとして不動の位置に押し上げたのが、ザ・ピーナッツが演じた小美人と彼女らが歌う『モスラの歌』でした。 ♪モスラ…

『シンドバッド 黄金の航海』(1973)前作公開から、15年後に作られたシリーズ第二作目。

特撮映画史上、一二を争う出来栄えを誇った『シンドバッド 7回目の航海(ビデオは冒険)』が製作されたのが1958年、そしてこの続編というかシリーズ映画が製作されたのが1973年です。時間の空白は15年ということになります。当然、主役であるシン…

『空の大怪獣 ラドン』(1956)自衛隊対ラドン。炭鉱町と福岡を舞台に展開される大空中戦。

のちの、明るさすら漂うゴジラ対決物とは一線を画する重々しい雰囲気が充満し、カラーなのに、まるでモノクロのような色彩が画面を覆う、シリアス路線を突き進んでいった、東宝怪獣映画の第三弾が『空の大怪獣 ラドン』です。 ラドンというと、ゴジラ・シリ…

『ゴジラの逆襲』(1955)前作の大ヒットを受けて製作された二作目はシリアス路線の佳作でした

昭和のゴジラ映画といえば、監督に本多猪四郎、特撮に円谷英二、製作に田中友幸、そして音楽に伊福部昭を迎えて制作される作品がかなり多い。実際に、この黄金のカルテットが作り上げた傑作映画の『ゴジラ』(1954)は特撮史上のみならず、日本映画史上…

『グランド・ホテル』(1932)ガルボ、J&Rバリモア、クロフォード、ベアリーが奏でる人間模様。

のちにグランド・ホテル形式と呼ばれるようになる、エドムンド・グールディング監督によるドラマの語り方は当時は斬新であったろうと思われる。たったひとりでも、一本の主演映画を撮ることができる俳優たちを5人集め、五人それぞれに見せ場を作り、ただの…

『ライムライト』(1952)これは自身のセルフ・ポートレイトである。そして最高の映画である。

チャーリー・チャップリン監督には喜劇王としてのイメージが強い。しかし注意深く見ていくと、彼が監督したほとんどの作品において、ていねいに描かれているのは悲惨な環境にいる人々の悲劇的なエピソードである。 ある時は彼の孤独であり、絶望であり、愛へ…

『白い恐怖』(1945)終戦の年に、あちらではこれ程の作品が公開されていた。

ヒッチは今回、フロイト博士の『精神分析入門』からインスパイアされたと思われるストーリー展開と台詞の言い回しを前面に押し出した脚本、夢の世界をセットとして具現化させるために起用されたサルバトーレ・ダリという二つの斬新な切り口を持つこの作品を…

世界映画月間が出来れば、世界平和実現か?映画の面白さって、一体なんだ?(2)

8月に入ってからは、BSやCSの映画放送も戦争関連作品がかなり多くなってきています。映画ファンとして、平和について建設的に考えるとはどういうことなのだろうか。今回は映画が他の芸術とは違う特徴を持っていること、そしてその特性を生かした貢献は…

『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(1985)ミッキー・ロークの出世作だが、記憶に残るのは...

マイケル・チミノ監督が名声を不動のものとしたはずだったのが『ディア・ハンター』、そしてチャップリン、グリフィス、フェアバンクス、メアリー・ピックフォードらが設立した老舗配給会社、ユナイテッド・アーティスツ(UA)を壊滅に追いやったのが『天…

『ゴッド・ファーザー』(1972)映画の至宝!トーキー以後、これより完璧な作品は生まれていない。

次から次に映画を劇場で観たり、衛星で見たりしているとなかなか出来なくなってくるのが、何度も何度も同じ映画を観るという楽しみです。本来名作やカルトと呼ばれる作品は見れば見るほど良い味が出てくるものです。それは画面から出てくることもあり、台詞…

『忍びの者』(1962)市川雷蔵主演の人気シリーズ第一作目。リアルな演出は見応えあり。

市川雷蔵主演の時代劇シリーズといえば、「眠狂四郎」シリーズ、「大菩薩峠」シリーズと並び、もっとも有名なシリーズのひとつが、この「忍びの者」シリーズです。円月殺法という必殺技を持つニヒルなヒーロータイプの狂四郎と違い、この忍びの者で描かれる…

『THE 有頂天ホテル』(2005)三谷幸喜第三回監督作品。コメディとしては上質です。

クロフォード、バリモア、ライオネル、ガルボという名前を聞いただけで、それらの言葉が何を意味しているのか分かる方はかなりの映画通です。今でも人気が高い作品から、これらの名称を持ってきた三谷監督には映画への愛情を感じます。 傑作映画『グランド・…

映画の面白さって、一体なんだ?(1)映画ファンとして、人から聞かれて困る言葉ナンバー1!

知り合いや職場の人々の間には、すっかり映画オタクであることがばれてしまっている僕はしょっちゅう、ある決まった質問をされる。それは「OOは観ました? 面白い?」が最も多く、「一人で観るんですか?友達と観るんですか?」が二番人気で、「どの映画が…

『猿人ジョー・ヤング』(1949)W・H・オブライエンと彼の弟子、ハリーハウゼンの夢の共演。

特撮映画が大好きな人ならば、この作品はまさに夢の競演といえる記念すべき作品です。特殊撮影制作に、『キング・コング』や『ロスト・ワールド』で有名なウィリス・H・オブライエン、そして彼の弟子であり、『シンドバッド七回目の航海』や『アルゴ探検隊の…

『ゲド戦記』(2006)宮崎吾朗初陣!宮崎王朝は世襲制で、息子に継承されたのか。ネタバレあり

ジブリ・ファンとしては『ハウルの動く城』以来の、待望の新作長編映画であるこの作品が、宮崎駿監督でも、高畑勲監督でもなく、宮崎監督の息子、宮崎吾朗に任されたという事実にまずは驚かされました。彼って、今まで何やっていたんだろう。昔からいた人じ…

『眠狂四郎殺法帖』(1963)市川雷蔵の代表的シリーズの幕開けを飾る作品だが...。

市川雷蔵という響きを聞くだけでも、昔からの時代劇ファンは大喜びする名前ではないでしょうか。勝新太郎と双璧を担った大映若手スター・市川雷蔵の代表的な作品群といえば、『忍びの者』シリーズと、この『眠狂四郎』シリーズである事は疑いない。 勝新太郎…

『L.A.コンフィデンシャル』(1997)密度の濃い犯罪ドラマとカリフォルニアの青い空。

原作はジェームズ・エルロイで、この作品は『ブラック・ダリア』に続いて出されたLA四部作のうちの、第三作目のLA物でした。『ブラック・ダリア』に比べるとかなり猟奇色が薄まり、良質なクライム・サスペンスとして仕上げられています。 カーティス・ハン…