良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

2009-01-01から1年間の記事一覧

『喜劇役者たち 九八とゲイブル』(1978)ブレイク前のタモリのアナーキーな芸風の片鱗を見よう!

ビートたけし、明石家さんまとともに昭和から平成にかけてのお笑いの象徴とも言える、タモリこと森田一義が今の彼の代名詞であるサングラスを掛ける前に、青や黒のアイパッチをして、風変わりな芸人として、テレビ番組の一出演者だった頃の彼がせんだみつお…

『eo光に入りました、って言っても…』関西人しか分からないかも…。

関西以外に住んでいる方にとっては、何のことだかさっぱり訳が分からないでしょうが、ぼくらの地元にある関西電力がネット、電話、光ケーブルテレビの3つトリオでサービスを提供しているのがeo光です。 それまでぼくはスカパー!、電話料金、ネット・プロバ…

『灰とダイヤモンド』(1957)規制が多い東側陣営下で撮られた、反逆の青春映画。

ぼくらはずっとアメリカの加護のもと、国防やら仮想敵国などという観念をまるで持たないまま大人になりました。マスコミも自衛隊や国防を唱える政治家を危険視するなど、もっとも平和ボケした巨大権力として21世紀になってもわが国で君臨している。このよう…

『笑う警官』(2009)サスペンスもどきであって、サスペンスではない。

『笑う警官』というタイトルと宮迫博之が出演しているという理由のみで本日、劇場に行ってまいりました。観終えた感想としては“冷笑する観客”としか言えないのかなあというところです。黒幕の後ろにまた黒幕がいて、さらにその背後にまたまた黒幕がいるとい…

『MW-ムウ-』(2009)手塚治虫の生誕記念映画にしては残念な結果でした。100周年に期待だ!

『MW-ムウ-』は日本が世界に誇る漫画界の巨人、手塚治虫の生誕八十周年記念映画として製作された作品です。『ブラック・ジャック』『鉄腕アトム』『ジャングル大帝レオ』『リボンの騎士』など多くの傑作を持つ彼の作品の中から、なぜこれが選ばれたのかは不…

『指圧王者』(1989)まさか石井監督が浪越徳治郎主演映画を撮っていたとは!

指圧の心は母心!押せば命の泉湧く! 平成も20年以上経ってしまった今となっては、このフレーズを知っている人って、一番若い人でも30代後半なのでしょうか。昭和のバラエティにはクシャおじさんやムキムキマンやデストロイヤーなど、色々な個性を持った人が…

『THIS IS IT』(2009)“キング・オブ・ポップ”マイケルのラスト・ステージが観たかった。

マイケル・ジャクソンの名前をはじめて意識したのは中学一年生のときで、マイケルの大ヒット作となったアルバム『スリラー』からちょうどポール・マッカートニーとの初デュエット『ガール・イズ・マイン』がシングル・カットされたときだった。レコード屋さ…

『今年、映画館で観た映画たち』自宅でのんびりとDVDを見るよりも緊張感があって良いですね!

ここしばらく何年かは自宅でDVDやスカパーなどで見ることが多かった映画でしたが、今年は自分でノルマを設けて、月に最低2回以上は観に行くことにしていました。もうじき師走に入りますし、多忙な時期が始まります。その前に一息ついて、ふと気がつくと今…

『沈まぬ太陽』(2009)重いテーマ、骨太な演技、恥部を抉る脚本、上映時間3時間半。

山崎豊子の小説は映画化されるものが多く、川島雄三監督の『暖簾』から始まり、山本薩夫監督の『白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』と社会派作品を世に送り出し、そのすべてが高い評価を得ました。そうした彼女の数多い原作の中でも映画化が困難といわ…

『わが青春に悔なし』(1946)原節子の黒澤映画デビュー作品。強い女として描かれるのは初めてでは。

昭和の名女優、原節子がその生涯で出演してきた映画に見る彼女はどれを見ても上品な女性という印象のものが多い。『新しい土』での清潔で初々しい彼女、日本映画最高の巨匠として知られる小津安二郎監督の傑作『東京物語』『晩春』などに出演していた彼女、…

『蜘蛛巣城』(1957)水墨画のような映像美。黒澤映画史上もっともドロドロとした作品でもある。

半世紀以上も前になる1957年に製作された『蜘蛛巣城』は黒澤明監督の撮ったモノクロ映画の傑作のひとつである。1950年に国内では永田雅一社長に解りづらいと不評だった『羅生門』がヴェネチア映画祭に出品されていて、黒澤監督は結果として誰も予想していな…

『カイジ』(2009)ベストセラー漫画を映画化した話題作。長編ならではの難しさがあるが楽しめます。

前日は寺尾聰主演の問題作『さまよう刃』を観ましたが、今日は有休が取れたので用事を済ませてから、またまた近所の劇場に向かいました。24日からは山崎豊子原作の『沈まぬ太陽』も始まりますので、今月は毎週のように劇場に通っています。月末からの『サイ…

『さまよう刃』(2009)少年法は誰のために何を守るのか?問題を投げかける話題作。

東野圭吾原作、益子昌一監督脚本で公開されている『さまよう刃』を観に行きました。今週、そして来週は観たい映画が続々と公開されていて、嬉しい限りです。この映画、『カイジ』、『沈まぬ太陽』は必見かと思い、本日の夕方の回に間に合うよう仕事を片付け…

『人情紙風船』(1937)山中貞雄28歳、異国の地にて戦没す。これが遺作ではちと寂しい。

21世紀も10年が経とうとしている現在となっては、もはや知る人も少ない天才監督、山中貞雄の遺作となるのが、この『人情紙風船』である。半世紀以上前の1938年、彼はまだ28歳であったにもかかわらず、望まぬ死を迎えざるを得ませんでした。場所は…

『ヤッターマン』(2009)深キョン、生瀬、ケンコバが最高!で… 主役は誰?

今から30年以上も前の土曜の夜にやっていたテレビ・アニメの大ヒット作品『ヤッターマン』がなんと実写で復活と聞いたときにははっきりいって無謀ではないかと思いました。あのギャグセンス、あのメカ群、そして何より誰がドロンジョ、ボヤッキー、トンズラ…

『爆裂都市』(1982)土曜の夜だぜえ~!!!騒ごうぜ~!!!ああ…なつかしい!!

三十代も後半になると、積年の不摂生とストレスへの対応のために、人間は精神とカラダが随分と丸くなってくるが、ふとしたきっかけで、昔の尖った感覚が蘇ってくることがある。そのきっかけは昔よく使っていた道具だったり、聴いていた音楽だったりする。 ひ…

『ROCKERS』(1979)監督の死後、ようやく見つけ出された、インディーズを知る、幻の一本。

音楽ファン、ここではロックを中心に話します。急にロックと言われても、もうロックは音楽のメインストリームではありません。そして自らをロック・ファンと思っていても、各々の愛する対象はさまざまで、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェ…

『憂国』(1966)三島由紀夫の初監督作品。スタイリッシュな能の見せ方で語るのは…、腹切り。

『潮騒』『鹿鳴館』『仮面の告白』『金閣寺』『葉隠入門』などを発表した、戦後日本文学史上、もっとも重要な作家のひとりである故・三島由紀夫の同名短編小説を彼自身が映画化した作品で、彼の初監督作品でもあります。 憂国とは愛国心のことである。残念な…

『非と未』20世紀末に全盛を誇ったVHSビデオのフォーマットで発売されていた映画たち。

「非」と「未」。いったい何のことかと言いますと、かつてビデオとして商品化されたものの、未だにDVD化されていない映画、または劇場公開されたものの、諸般の大人の事情により、現在までのところ、商品としてビデオ化もDVD化もされていない映画のことです…

『20世紀少年<最終章> ぼくらの旗』(2009)ついに終わった三部作。酷評が多いのですが。

去年から順次公開されていた、浦沢直樹原作で、堤幸彦監督の『20世紀少年』がとうとうファイナルを迎えました。原作のラストはちょっとモヤモヤさせる閉じ方でしたので、映画の終わり方が原作と違うと聞いたときには期待と不安が綯い交ぜになっていました。 …

『夏はやっぱりホラーかなあ…』記事更新をする間を惜しんでの鑑賞でした。

夏場に相応しい映画ジャンルというとホラーが真っ先に来ます。スカパーでもWOWOWでも特集が組まれることが多いこのジャンルは今年もたとえばシネフィル・イマジカでハマーフィルム製作のかつてのヒット作が放送されていました。BSでも『東海道四谷怪談』の…

『罪の天使たち』(1943)ロベール・ブレッソンの長編デビュー作品。巨大な才能の片鱗がすでに。

フランス映画、なかでもロベール・ブレッソン監督作品をどれか一本でも観た人であれば、彼の作品群の根底にある映画芸術を、というよりは人間の存在自体を突き放したような厳しさに触れたことでしょう。そもそも人間は罪深い存在なのであるというところから…

『リラの門』(1957)思い出の映画。当時、ぼくは9歳。フランス語をしゃべる女性はセクシーでした。

映画ファンであるならば、誰にでも特別な一本の映画があります。親と初めて観に行った映画だったり、何度も繰り返し見た映画だったり、恋人と初めて観に行った映画だったりします。映画ファンの数だけ、そういった思い出はさまざまでしょう。ぼくにとっては…

『小間使の日記』(1963)フェティシズムを映像で表現した、ブニュエル後期の名作。

ルイス・ブニュエル監督作品のなかでは難解なものという括りでいうとスペイン時代、分かりやすいのはフランス時代、そしてその中間となっているのがメキシコ時代の監督作品群であろうか。各々の時代にブニュエルの意志があり、フィルモグラフィとして残され…

『HERO 劇場版』(2007)テレビドラマは楽しく見ましたが、劇場版はちょっと…。

木村拓哉主演のテレビドラマは高視聴率を至上命題とされている。また彼の主演ドラマには多くのファンの期待も寄せられている。とてもプレッシャーのかかる役割を負わされている彼はどうやって、その重すぎるプレッシャーと戦っているのだろうか。 ここしばら…

『思春の森』(1977)当時から異質の作品ではありましたが、まさか発禁処分にまでなるとは!

何十年も映画ファンをしていると、さまざまな映画に出会います。そのすべてが名作であるはずもなく、クズと呼ばれたものも数多い。また当時は普通に放送されていたものであっても、さすがにゴールデン・タイムには不適当な内容の映画もありました。そういっ…

『長髪大怪獣ゲハラ』(2009)NHKの番組企画で実現した、奇跡のおばか特撮映画!これは踏み絵だ!

テリー伊藤が総合司会を務める、NHKの深夜番組『テレ遊び パフォー!』のなかで、マニアックな視点と趣味を持ち、さまざまなジャンルの著書で知られる、みうらじゅんが音頭を取って出来た企画に、オリジナルの怪獣映画を作るというものがありました。 そ…

『DRAGON BALL EVOLUTION』(2008)ジャンプ連載一回目から読んでいたぼくは…。

ずいぶんと前に、ジャンプ黄金時代の名作のひとつ、ドラゴン・ボールがハリウッドで実写映画化されると聞き、期待と不安があったことを覚えています。今年になって、CM映像などを見たとき、「こりゃあ、だめそうだ…。」という予想が立ちましたので、劇場に…

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009)素晴らしい出来栄え!過去の劇場版に不満だった人こそ是非!

もう体感的には真夏日だとカラダが自覚している梅雨の合間の平日にバイクに乗って、自分の住んでいる町からふたつほど市をまたぎ、ある場所に向かいました。1時間ほどバイクで駆けていくと、はるか遠くの前方に、ジリジリと陽炎が立つ、郊外型の大きなシネ…

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007)また始まったヱヴァ劇場版。かなり綺麗になっています。

もともとサブ・カルチャー?の代表的なメディアであったアニメで、1990年代に社会現象にもなったヱヴァンゲリヲンは何度も劇場公開映画として発表されてきました。それは『新世紀エヴァンゲリオン シト新生』(1997)『新世紀エヴァンゲリオン Air/ま…