良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『MW-ムウ-』(2009)手塚治虫の生誕記念映画にしては残念な結果でした。100周年に期待だ!

 『MW-ムウ-』は日本が世界に誇る漫画界の巨人、手塚治虫の生誕八十周年記念映画として製作された作品です。『ブラック・ジャック』『鉄腕アトム』『ジャングル大帝レオ』『リボンの騎士』など多くの傑作を持つ彼の作品の中から、なぜこれが選ばれたのかは不明です。  生誕記念映画ということで製作者の気合いが入っているのは分かりますし、宣伝に力が入るのも頷けます。ただ残念ながら、そういった気持ちはこの映画の質的向上に反映されていたとは思えず、そのやる気は空回りしている。原作は未読なので、この映画から受ける感想となります。
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 見た印象としては手塚治虫ならではの独特の世界観を映画化するにあたり、後でDVD化するさいのことも視野に入れ、どこからも苦情が来ないように、可もなく、不可もなく、上っ面を描いているように思えました。登場人物の闇の感情の奥深くまで描けていたとは言い難く、玉木宏をはじめ石橋稜や石田ゆり子など、けっこうおなじみな俳優陣を擁しているわりには見た後にあまり印象に残っていない。いや、一人だけいる。玉木宏そのひとであす。  彼がここで見せるシャープさは素晴らしく、綺麗な俳優さんという珍しい印象を持たせてくれました。玉木ファンであれば、動くブロマイドのようでもあり、十分に楽しめるかもしれません。しかし、もし見る人がそうでないならば、この映画は苦痛でしかないであろう。  本来の物語そのものはよく練ってあるはずなのだが、映画としてみると何だか物足りなさと違和感が残る。あれも入れよう、これも入れようとしたために散漫になったのか、薄い感じがしている。また最悪なのが自らの存在を主張しすぎるカメラの動きでした。
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 はっきり言って、あのようにチョロチョロ動かれると、物語を含めて映画全体に集中しづらくなってしまっているのが観た者多くの評価を下げているのではないだろうか。オーソドックスな見せ方をしたほうが評価が高まったのではないかと思いました。  無意味に繰り返される360度パンや残酷な殺害シーンを執拗に何度も見せるに至っては下世話で悪趣味もはなはだしい。見せるべき映像と不必要な映像を分かっていない俗物のような見せ方は手塚作品に失礼なのではと思いました。同じシーンを角度や視点を変えたスロー・モーションで見せられても、多用しすぎると、むしろ単調で工夫を感じません。
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 ここぞで使うから効果を発揮するのがスロー・モーションやコマ落としや速回しなどの現実には有り得ない映像だと思います。ストーリーとしては殺人化学兵器による虐殺から逃れた二人の少年の国家への復讐と葛藤を描こうとしているのですが、玉木宏山田孝之二人の性格が両極端であるにもかかわらず、中途半端でピンとこないのは感情移入していくうえで致命傷でした。  通常であれば、両極端にした方が映画としては見やすいはずなのですが、何故にこのような無残な出来になってしまったのであろう。玉木を怪物として描くにしては彼の写し方は美しすぎて、嫌味さや得体の知れない薄気味悪さがさっぱり伝わってこないのです。  さらに致命的だったのは好対照であるはずの山田が完全に“影”になってしまい、作品の中で埋没してしまったことでした。むしろ玉木を追いかけていく石橋稜の前半のダイ・ハードもどきのチェイスくらいしか頭に残っていない。玉木の独り舞台であり、他の誰もが印象に残らない。それは映画と呼べるのだろうか。 総合評価 42点
MW‐ムウ‐ [DVD]
アミューズソフトエンタテインメント
2009-11-06

ユーザレビュー:
なかなかカッコイイ始 ...
アイドル映画みたい… ...
手塚治虫はこの作品を ...
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主人公のキャラクター ...
手塚さんは怖いなぁ。 ...
むぅ?(@_@;)手 ...
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流石!!!いやーーー ...
二度と忘れられない最 ...
この本が手塚作品の代 ...
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