良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『指圧王者』(1989)まさか石井監督が浪越徳治郎主演映画を撮っていたとは!

指圧の心は母心!押せば命の泉湧く!  平成も20年以上経ってしまった今となっては、このフレーズを知っている人って、一番若い人でも30代後半なのでしょうか。昭和のバラエティにはクシャおじさんやムキムキマンやデストロイヤーなど、色々な個性を持った人がひな壇芸人のように大挙出演していましたが、今回の主役である浪越徳治郎氏はそのなかでも非常にインパクトの強い出演者の一人でした。  彼は芸能人ではなく、指圧の先生で、上記のフレーズをTVショーの登場場面で必ず親指を突き出しながら、その一度観たら忘れられないニヤけた顔で大いに笑いつつ、絶叫していました。ちなみに命の泉が湧くというのは湧泉(ゆうせん)というツボであり、両足裏の真ん中より気持ち上くらいの場所にあり、押すと結構気持ち良いツボです。興味のある方はグーグルで、「ツボ」「湧泉」などで調べてください。  彼にはこの作品のほかに『浪越徳治郎の愛の三分間指圧』という大映から出た、45分ちょっとのお色気映画もありますが、現在はDVD化されておらず、ヤフオクか中古ビデオ屋さんで探しまくるしかない。もっともあくまでもカルト的な興味を持つ人のみに価値があるだけで、一般映画ファンには単なるクズ映画のひとつでしかないであろう。
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 ツボというのは東洋医学でよく出てくる言葉で、昭和40年代から50年代の浪越氏のあとで、ツボがクローズアップされるのは1984年の週刊少年ジャンプでのケンシロウ氏やラオウ氏まで待たねばならない。連載当時、中学生だった僕はケンシロウ氏に頭がよくなるツボを押して欲しかったし、30代になった頃には疲労回復や眼精疲労を一発で治すツボを押して欲しかった。もし彼がトキ氏のように鍼灸院を開業していたら、流行って、流行って、遊ぶ暇もない繁盛施設になっていたであろうし、ぼくは毎週通うだろう。  昔から肩こりがひどく、今も月に二回程度は鍼灸院でおじいちゃんやおばあちゃん、そして怪我をした高校生らに混じり、会社帰りにマッサージしてもらったり、吸い玉をしてもらったり、お灸を据えてもらったりしている。吸い玉が結構気持ちよく、ずっと続けてはいるが、治療をやった跡が一週間くらい消えないので困ることもある。
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 たまに昭和のプロレス隆盛期に新日の総帥、燃える闘魂アントニオ猪木疲労が溜まるとちょくちょく吸い玉をしてから試合に出ていたので、全身に丸い痣のような模様をした彼を覚えている方もいるだろう。まあ、見た目には気持ち悪いかもしれないが、一度やると気持ちよくて癖になるので、肩や腰などあちこち痛い方はやって見ると良いでしょう。涎が出そうになるときもあります。  ビタミン剤などのサプリ系も好きで、二十代から神経疲労系のビタミンB1B6B12製剤(アリナミンとかノイビタとか)、B12製剤(ナボリンとか)、ナンパオなどの漢方製剤のような服用剤を試したり、中と外から治せば良いのではないかと思い、これらの飲み薬を服用しながら、湿布剤やボルタレンテープなどを貼ったりしています。
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 他にもお風呂が大好きなので、クナイプなどの入浴剤や610ハップ(諸般の事情により、今では売ってません!こんなもの使って、あの世に行くな!と言いたい!)を多用しています。ラベンダーやワコルダーの香りに癒されつつ、「ふえええ~~~」などと言いながら、のん気に湯船に浸かっているときがもっとも気持ち良い時間です。  死ぬときは寝たまま朝起きたらあの世に旅立っているか、お風呂でゆったりしながら、そのまま眠くなってあの世に行くのが一番良いのではないかと持っています。まあ、あとの人は困るのでしょうけど、気持ち良いのが一番なのだと思っています。  それはともあれ、浪越氏はなぜこの映画に出たのであろう。またなぜ石井聰互監督は彼を題材にした映画を撮ったのであろうか。全く謎である。しかし彼がこれを撮っていなかったならば、ぼくはおそらく人生で二度と浪越氏を思い出すこともなかったであろう。  1989年公開で、15分弱の短編なので、知っている人も少ないのでしょうが、これも石井監督の作品リストには入るわけですので、きちんと書いておきたい。『狂い咲きサンダーロード』『爆裂都市』『アジアの逆襲』『逆噴射家族』『高校大パニック』など日本人離れした異能を許容できるかどうかは人それぞれでしょうが、他の監督との違いを認識して欲しい。  画の撮り方や音の使い方、作品のリズムが他とはちょっと違いますので、観る人が彼の作品から違和感を覚えたら、それで良いのでしょう。この作品は短編ですが、それでも彼独自の感覚を味わえるのではないだろうか。
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 内容を見ていくと、出演者は浪越徳治郎と金髪女優のアナ・ホールの二人のみで、バーのカウンターでお酒を楽しんだあとに、ホテルの一室に入っていく。そこで彼は全裸の彼女にまたがり、彼女に指圧を施していく。胸や腰、背中を押していく彼の指の動きに合わせて、彼女は静かに快感の呻き声をあげる。  その映像に体内の経絡を思わせる映像がオーバーラップしてくる。最初はシナプスがバラバラに点在しているようなイメージが浮かび上がり、浪越がツボを押していくと、徐々にシナプスが繋がりだし、最終的には代謝がグングンと上がっていく様子が映し出される。  彼の見事なツボ押しによって、チャクラが開かれた彼女は自然と一体になって昇天していく。なんとも不可思議な映像が展開されていくが、さほど強引とも思わないのは何故だろうか。  まあ、こんな感じの短編映画です。現在はDVDの『アジアの逆襲』に一緒に収録されておりますので、興味のある方は探してみてください。実に奇妙な映画ではあります。こうした短編には作者の映画の作り方のエッセンスが詰まっていますので、個性を知るにはうってつけとも言えます。  時間も13分とかなり短めなので、お試しください。 総合評価 65点