良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

2011-01-01から1年間の記事一覧

『A級とB級の違いは何?』よく言われる“B級”だが、その定義は何だろう?

映画評などを読んでいると、よく「この映画はB級作品だ!」とか「こりゃ、最低のZ級だ!」とか書かれているのを目にすることがある。いったい彼らの言う“B級”“C級”“Z級”とかの定義はどこからきているのだろうか。 そもそもA級作品とは文芸映画、B級は娯楽映…

『フェイズ IV/戦慄!昆虫パニック』(1974)演技するアリに驚かされる。スタイリッシュな映像美!

日本ではTV放送のみの未公開映画らしく、『戦慄!昆虫パニック/砂漠の殺人生物大襲来』『昆虫パニック』『SF超頭脳アリの王国・砂漠の殺人生物』など放送のたびに数々の邦題が東京12チャンネルによって付けられていて、ファンの記憶を混乱させています。 …

『呪われた海の怪物』(1961)製作期間6日間、怪物のボディはレインコートで目玉はテニスボール!

『呪われた海の怪物』は『地球最後の女』を予定より早く撮り終えたロジャー・コーマン監督が俳優たちとスタッフに対して、ノー・プランだったにもかかわらず、余った滞在予定期間中にもう一本何か作ろうというメチャクチャな要求をした結果、製作開始からわ…

『フェアリーテイル』(1997)イギリスで実際に起こった妖精騒動、コティングリー事件を扱った作品。

名探偵シャーロック・ホームズを生み出した、有名な推理小説作家アーサー・コナン・ドイルや世紀の奇術師ハリー・フーディーニまでもが巻き込まれてしまい、本国イギリスのみならず、世界中で大騒ぎになった1917年にヨークシャー州のコティングリー妖精事件…

『恐怖の足跡』(1961)ロメロやシャマランに多大な影響を与えた幽霊物のホラー。薄気味悪い…。

映画評論家の町山智浩のベスト・セラー『トラウマ映画館』でも取り上げられていた『恐怖の足跡』は現在、廉価版DVDが発売されているので氏が紹介したトラウマ映画の数々の中では比較的入手しやすい作品です。 ちなみに入手しにくいのは『不意打ち』『バニー…

『悪い種子』(1956)ホラー映画史上、もっとも邪悪な少女の一人、ローダ登場!

数十年に渡り、多くの映画を見続けていると、少なからず何度も見る機会があったのに、何故かそのたびにことごとく何らかの邪魔が入ったり、録画ミスや勘違いが重なったりして、チャンスがないままに今日に至った作品が少なからず何本もあります。 『悪い種子…

『不意打ち』(1964)何も知らないで見ると、こちらが精神的な不意打ちを喰らうような衝撃の一本。

『不意打ち』はもともと往年のハリウッド女優、ジョーン・クロフォードに主役のオファーがあったそうです。『何がジェーンに起こったか?』で久しぶりに表舞台に戻ってきた彼女は執念深くて陰湿なベティ・デイビスに虐待される役を演じていましたので、イメ…

『妖女ゴーゴン』(1963)ハマー・フィルム全盛期の1本。残念ながらDVD化されていません。

『妖女ゴーゴン』はホラー映画の老舗だったイギリスのハマー・フィルム製作です。蛇女と言えば、有名なのはなんといっても『タイタンの戦い』にも登場していたメドゥーサでしょうが、僕ら世代はゴーゴンのほうが怖いという印象が強かった気がします。 ケイブ…

『映画ファンは眼が疲れる!!!』夜中にずっと見ていると眼が疲れますね。

お休み前の夜遅くに帰宅して、ひと息ついてからの楽しみにHDDに録画したスカパー!やWOWOWの映画をゆっくりと見るというのがあります。 リビングでの映画鑑賞も映画館とは違った良さがあるのでもちろん楽しいのですが、少々困ったことがあります。仕事で疲れ…

『ゴジラVSキングギドラ』(1991)微妙になってきた平成第2弾!それでも黄金に輝くギドラは別格!

平成版ゴジラ映画の第一弾だった『ゴジラVSビオランテ』(1989)の好評を受けて、東宝が自信を持って送り出したのが昭和シリーズ最強の悪役キングギドラでした。 本多猪四郎が多くの作品を手がけた昭和シリーズにおいて、じつはゴジラとキングギドラとの直接…

『ゴジラVSビオランテ』(1989)平成ゴジラ第一弾!結局これを越えられなかったその後の平成版…。

ゴジラ復活第二弾にして、平成ゴジラ第一弾でもある『ゴジラVSビオランテ』を映画館で観たのは大学二回生のころでした。1984年に久しぶりにゴジラが復活したときはワクワクしながら見に行きました。 自衛隊の秘密兵器であるスーパーXの形状が電子炊飯器みた…

『No More 映画泥棒』映画館に行くと必ず会えるクネクネするあいつ!

テレビCMが入るような新作映画を上映している一般的な劇場に行ったら、必ず見るはめになるのがこの『NO MORE! 映画泥棒』のショート・フィルムです。 いくつかのバージョンがあり、現在流れているのは性能と機能性が格段に向上し、手のひらサイズまで小型化…

『マネー・ボール』(2011)アスレチックスの快進撃を支えたGMビリー・ビーンを描いた実話作品。

その昔、ブラッド・ピットが『セブン』『12モンキーズ』に出演していた頃、一緒に見に行った友人は「ブラッド・ピットの映画って、カッコいいけど意味が分かんないの…。」とよくこぼしていました。 たしかにその後に出演していた『ファイト・クラブ』も単純…

『猟奇島』(1932)ゾディアック事件に台詞が引用されたいわく付きのホラー映画。

原題が『THE MOST DANGEROUS GAME』、つまり和訳すると“もっとも危険な遊戯”という40代以上の日本人映画ファンならば、おそらく大笑いしてしまいそうなタイトルを持つのがこの『猟奇島』です。 しかしまあ、邦題が大袈裟すぎて困ってしまいます。原題からす…

『ドクター・モローの島』(1977)子どもの頃に見て、エンディングがメチャクチャ怖いと思った映画!

『ドクター・モローの島』は小学生から中学生のころに何度も放送があり、そのたびにテレビを見ていました。僕らが見たのはヒロインのバーバラ・カレラが遺伝子操作の薬品が切れて、牙の生えた野獣に戻っていき、ドクター・モローのバート・ランカスターによ…

『裸のジャングル』(1966)原住民よりもサバンナを早く走りきれば勝ち!さもないと死!超シンプル!

思えば遠くへ来たもんだで、かれこれ30年以上も前になりますが、ぼくが神奈川県に住んでいた小中学生時代に、午前10時過ぎや昼下がりの午後、そして深夜となぜか一日中、映画やアニメの再放送ばかりを放送していたテレビ局がありました。 38度くらいの熱があ…

『ランボー』(1982)スタローンをロッキーとともに支えたランボー・シリーズの第一作目。

シルべスター・スタローンをはじめてテレビで見たのは30年近く前の『ロッキー』でした。そのときの印象は街のごろつきのような風貌で、ぶっきらぼうでゴニョゴニョ言ってて、何を言っているのか分かりづらい彼でした。このしゃべり方が逆にリアルで、庶民的…

『イット・ケイム・フロム・アウター・スペース』(1953)SF映画の古典だが、日本ではなぜか冷遇…。

『IT CAME FROM OUTER SPACE』は海外では有名なのに現在まで、わが国では未だに商品化されていない幻のSF映画です。邦題は『それは外宇宙から来た』という直球な付け方です。あまり知られてはいませんが、スティーブン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』…

『レッド・ツェッペリン 狂熱のライヴ』(1976)ロック・ファンならば一度は見てよ!見たら分かるさ!

イギリスが生んだ伝説のバンド、レッド・ツェッペリンのライヴ・アルバム『レッド・ツェッペリン 永遠の詩(狂熱のライヴ)』をはじめて聴いたのは中学生の頃でした。 地元の大きなレコード屋さんに置いてあった、このアルバムは二枚組で四千円近くと学生に…

『大閲兵』(1986)チェン・カイコーとチャン・イーモウが組んだ、才気溢れる素晴らしき青春映画。

この作品をはじめて知ったのは今から24年以上前の学生の頃で、別にどれを見たいという目的が特になかったものの、とりあえずの暇つぶしに向かったレンタルビデオ屋さんで目に入ったときでした。 とりわけ目立つコーナーに置いてあったわけではなく、お店の奥…

『ハイキック・ガール』(2009)武田梨奈ちゃんはアクション界のニュー・スターになれるか?

最近、レンタル屋さんに行くと若いギャル風やセクシー系グラドルらしき女の子を無理やりアクション映画や突飛なSF&劇画チックの映画に出演させて、チープなパッケージのジャケットで勝負しているジャケ借りの作品を棚に並べているのをよく見かけます。 そん…

『マンディンゴ』(1975)アメリカのタブー“奴隷牧場”を暴いた問題作!『ルーツ』の裏側を知れ!

60年代後半から70年代中盤にかけてのアメリカ映画界で、『トラ・トラ・トラ!』で知られるリチャード・フライシャー監督が撮った問題作はふたつほどあり、一本はつい先日、記事にした『絞殺魔』であり、もうひとつが1975年公開の『マンディンゴ』です。 ハ…

『グッド・ヘアー』(2009)“ねえ、どうしてわたしの髪はチリチリなの?”黒人女性最大の悩み!

「ねえ、どうして私の髪はチリチリなの?」というアメリカのコメディアン、クリス・ロックが彼の小さな愛娘の素直な悩みから幕を開けるのが『GOOD HAIR』というドキュメンタリー映画です。 そもそも“良い髪”の定義とは何なのか。黒人の髪の毛のステレオタイ…

『あれ』(1927)初期ハリウッドのセックス・シンボル、IT GIRL!クララ・ボウは快活でした!

原題は『IT』。スティーブン・キングにも同名タイトルの小説がありました。なんとも意味深で、変わったタイトルです。しかも邦題が『あれ』ときました。 冒頭で「あれ」とは何かという説明が入ります。心の底から染み出る美しさと性的な魅力のことで、男は女…

『ゲームの規則』(1939)カイエが見つけ出すまでずっと埋もれていた傑作シニカル・コメディ。

先週のお休みの日に、ここ10年間で無造作に放置したまま、たまりに貯まったDVDをいい加減に整理しようと決心し、CSやWOWOWメインで録画してある4000タイトル以上はあるDVDやブルーレイをとりあえず洋画と邦画に分けました。 次に五十音順で部屋の中に積み…

『十誡』(1923)映画史上、二度の変革期を生き延びたデミルのサイレント時代の傑作。

メリエスが活躍した20世紀初頭から始まり、ついにもっとも人気のある大衆娯楽に成長した映画業界は技術的にも出尽くしたような表現の向上を見せ、20年代にはサイレント映画黄金期を迎えていました。 しかしながら、我が世の栄華を享受していた大手メジャーは…

『ワイルドバンチ』(1969)西部劇の伝統とハリウッドのコードに風穴を開けた渾身の一撃。

今まで古今東西の多くの映画について、色々と好き勝手なことを書いてきているものの、なかなか書き出せない作品がまだまだ数多くあります。 『市民ケーン』『地獄の黙示録』『キングコング』『ゴッド・ファーザー』『七人の侍』などはなんとか捻りだして、一…

『海の沈黙』(1947)ヌーヴェル・ヴァーグに影響を与えたジャン=ピエール・メルヴィルの傑作。

映画だけではなく、文学、絵画、音楽となんでもそうなのでしょうが、芸術の諸分野では発表されたその当時にはそれほど話題にもならなかった作品が長い年月を経過してから、その作品の真価が認められ、重要な意味を持つようになることがよくあります。 当時の…

『散り行く花』(1919)完全主義者として映画史に君臨するグリフィスのメロドラマの傑作。

映画を観に行くときの基準にはさまざまな理由があるでしょうが、主演俳優や主演女優が誰なのか、お気に入りのスターが出演しているのかで決める人も多いでしょう。そのほかでは監督で決めたり、宣伝で決めたりすることもあるでしょう。 ある種のジャンル映画…

『愛人関係』(1973)フランス産、悲恋のサイコ・スリラー。脚本に難があるものの光る部分あり。

アラン・ドロン出演のラヴ・ストーリー&サイコ・スリラーで、この作品での彼のクレジットは一番目ではありますが、主役として物語を牽引しているわけではなく、どちらかというとミレーユ・ダルクを支える助演でした。 若い頃に脚光を浴びた二枚目スターが年…