良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『No More 映画泥棒』映画館に行くと必ず会えるクネクネするあいつ!

 テレビCMが入るような新作映画を上映している一般的な劇場に行ったら、必ず見るはめになるのがこの『NO MORE! 映画泥棒』のショート・フィルムです。  いくつかのバージョンがあり、現在流れているのは性能と機能性が格段に向上し、手のひらサイズまで小型化したハンディカムで映画を不法に盗み撮りする卑劣な輩をコミカルなハンディカムの形に擬人化させているものです。  クネクネ動きながらピントを合わせる彼が映画を盗撮していると、すぐさま通報されて警察に捕まって御用になる。その様子を眺めていたOLも自宅に戻るとネットで違法音楽サイトからダウンロードしているというオチがついています。つまり観客に著作権や肖像権への理解と注意を促す内容です。  リズミカルなBGMが流れると見ていて楽しくもあり、こいつが出てくると映画が始まるのだなあというパブロフの犬的な役割を持っています。正式な名前は何と言うのだろうか。映画泥棒だろうか?  公式サイトに行って探してみましたが、彼の正式な名前は記載されていないようです。まあ、楽しいキャラクターではありますが、盗撮する犯罪者を表現したものなので、グッズの販売もないようです。  東宝シネマズでもワーナー・マイカルでも地方のシネコンでも必ず登場する彼はまるで一時期の消費者金融のCMに出ていた小野真弓武富士のバック・ダンサー・チームのように、ぼくらの意識の深いところまでたどり着いてきたようだ。
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 作品とも呼べないようなコミカルな肖像権啓蒙のショート・フィルムがここまで認知されてきているのは不思議です。公式サイトからではないダウンロードは違法で、海賊版ファイルを撒き散らすことも違法ですが、どのサイトが公式でどれが非合法なのかの見分け方が難しい。  YOU TUBEにアップされているファイルもどうみても「これって、テレビを録画したやつみたいだけど、これはええんかなあ…?」というのがかなり多い。  本放送を見逃したときにはかなり助かるのですが、どこか罪悪感があり、なんかモヤモヤする。アーチストやテレビ関係者の対応はまちまちで、宣伝効果があるとして黙認しているところもあるようです。  最近のテレビは指定したチャンネルを5日間くらいは録画し続けてくれていて、見逃したときにはそこを見直せばいいというタイムマシンのような、ビデオもなかった幼少期を過ごしたぼくらからすれば、まさにSF未来都市の状況が目の前で繰り広げられています。  こういう便利で技術が急速に進歩している時代にはそれを悪用する者が必ず出てくる。映画館に何食わぬ顔で客として入り、全体がカバー出来るような良い角度の場所に陣取って、HDDに記憶させる。
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 ぼくらはお金を払って観ているので、現在のシネコン・スタイルでは二度見が不可能な一期一会の集中力が要求されます。しかも卑劣なのは盗撮する輩は自分が楽しむためにするのではなく、ただで盗んだ映画を使って、暴利を貪る。  映画料金を払っても、あとで違法に販売するのですぐに元は取れる。ただし映画業界そのものにも問題があるのではないか。それは料金の高さです。  一般的な家族連れが親子4人で映画館で映画を楽しもうとすれば、5~6千円は軽く飛んで行くでしょう。新作は無理でも、昔の二番館や三番館のような小屋で一人700円くらいで見せれば、回収率も上がるのではないか。  レンタル屋さんでDVDを借りれば、一本は新作でも300円くらいでしょう。映画館独特の他者との時間及び空間の共有、大画面と大音響の迫力、ふだんの生活を抜け出した非日常が与える高揚感以外に劇場まで見に行く価値があるだろうか。  つまり大量投下される宣伝の割りに、作品自体の力が落ちているのではないか。映画館で、ゆっくりと嫌なことをいったん忘れて、二時間余りを過ごさせてくれる以外の価値があるのか。劇場で観るから価値のあるジャンルがいくつか存在します。
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 大掛かりなシーンのあるアクションやアドベンチャー、『ゴジラ』に代表される特撮、『アラビアのロレンス』のような壮大な映画は劇場鑑賞向きでしょう。エメリッヒやキャメロンの作品も観るなら劇場がいい。  PCで違法にダウンロードして、これらの大きな作品を小さな画面で見る意味はあまりないように思います。映画館やレンタル屋すらないような陸の孤島や外国へ移住した人たちが故郷を懐かしんで、これらの映像を見るのは良いのではないかと思う。  しかしながら、近所に映画館やレンタル屋のある人がほとんどでしょうし、遠出したら、一時間以内でこれらの施設があるのなら、びくびくしながらファイル交換するリスクを背負うより、お金を払って見に行くほうが気が楽だ。  次は何を見に行こうかなあと考える休日前の夜遅くがなんだか一番楽しい。画像を貼り付けたもののこれも著作権侵害とか言われたら面倒くさい。侵害する意図はさらさらないので御容赦いただきたい。来週も映画を見に行く予定なので、またヤツに会えます。
映画泥棒
Rambling Records
2011-07-06
JETT.A

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