良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

2009-01-01から1年間の記事一覧

『さくらな人たち』(2008)オダギリ・ジョー第一回監督作品にして、いきなりのR指定!悪ノリし過ぎ!

人気俳優オダギリ・ジョーが映画監督小田切譲として数年かかって制作したのがこの『さくらな人たち』です。ダウンタウンの松本人志に代表されるように、芸人や俳優が映画監督をするケースがかなり増えてきていますが、北野武監督ほどのクオリティを持ってい…

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(2009)半純血って、いったい?すべてが中途半端に…

7月14日に待望の劇場公開が始まった『ハリー・ポッター』の第六弾となる最新作『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を観てきました。大量のCMを投入して、万全の集客態勢を取っていたはずですが、蓋を開けてみると、まさかの不入りに驚きました。 まあ、ゆ…

『黄金時代』(1932)上映中、スクリーンに爆弾を投げられた、衝撃の映画。

ルイス・ブニュエル監督がシュール・レアリズムの代表的芸術家であるサルヴァトーレ・ダリと組んで発表した『アンダルシアの犬』に続いて、コンビを組んだ第二回監督作品として発表したのが『黄金時代』です。ただダリはすぐに制作から手を引いてしまったの…

『アメリカン・バイオレンス』(1981)実際に起こった殺人事件の記録フィルムの連続。衝撃的でした。

この映画をはじめて見た時の衝撃は半端ではなく、アメリカ社会の恐ろしさに身震いしそうになりました。銃がそばにあって、だれでも簡単に人を殺す環境が整っている国が存在するというのは1980年代に入ったばかりの平和ボケ真っ盛りの日本では想像できな…

『古城の妖鬼』(1935)トッド・ブラウニング監督、ベラ・ルゴシ出演。吸血鬼再臨?

アメリカのホラー映画、とりわけユニヴァーサル映画が生み出した三大スター俳優と言えば、通常は『フランケンシュタイン』の怪物を演じたボリス・カーロフ、『狼男』を演じたロン・チェイニーJR、そして吸血鬼俳優であるベラ・ルゴシを指します。 ベラ・ルゴ…

『動物農場』(1954)共産主義も全体主義も権力者は豚、治安警察は犬。痛烈な描写が心地よい。

「今、豚は太っていない」という思わせぶりな宣伝文句とともに、スタジオ・ジブリがディズニーとタッグを組んで、販売にかかわっているクラシック・アニメ映画で、つい最近DVD化されたのが『動物農場』です。製作国はイギリスで、ヨーロッパのクリエータ…

『RCサクセション 未CD化音源』こんなに多いんだから、さっさと問題を解決してリリースを!

忌野清志郎が亡くなってからもう2ヶ月が経とうとしています。RCサクセションが公式に発表したアルバムは『初期のRCサクセション』から数えるとベスト盤やライブ盤も合わせるとかなりの数にのぼります。とくに解散後に無意味なまでに毎年のように出され…

『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』(1960)ドラマ部はリアルで見応えあり。特撮は寒い…。

去年、記事にした『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』の後にカルト映画や見ることの難しい映画の文章を書くに当たり、何を持ってこようかと悩み、『ノストラダムスの大予言』『丑三つの村』『犬神の悪霊』『第三次世界大戦』『九十九本目の生娘』『鬼畜大宴会』…

『ハーツ・アンド・マインズ』(1974)ベトナムの?政治家の?いったい誰のための戦争だったのか。

1960年代のベトナム戦争時に、ソビエトや中共の主導する共産主義から民主主義を守るためという錦の旗の下、今も昔も自己本位的なアメリカ軍がベトナム現地で行った数々の残酷な行動の記録映像のなかでも、とりわけ有名な映像が二つあります。 第一は市街…

『海の旅人たち』(1952)『恐怖と欲望』の仕上げ中に作られた、ドキュメンタリー映画。

60年代から70年代にかけての映画界のアイコンのひとり、スタンリー・キューブリックが監督を務めたという事実以外に、つまりスタッフ・ロールに彼の名前がクレジットされる他には見るべきところがほとんどないドキュメンタリー映画がこの『海の旅人たち』で…

『ビートルズのアルバムがとうとうデジタル・リマスターで発売!』うーむ…。うれしさ半分ですかねえ…。

ビートルズのCDすべてがデジタル・リマスターでとうとう発売されます。いつか発売される、そろそろ出るぞ、と言われ続けて10年以上が経ちました。その間、『イエロー・サブマリン・ソング・ブック』やら『1』やらを出しながら、マーケティングを続けてい…

『宇宙水爆戦』(1955)誰もが一度は見たことがある有名キャラクター登場!SFの誉れ!

おそらくSF映画ファンでなくとも、ほとんどのかたが一度は見たこと、もしくは塩ビ人形で遊んだことがあるかもしれない超有名なキャラクター、それがこの映画『宇宙水爆戦』に登場する、メタルナ・ミュータントではないでしょうか。スピルバーグ監督が愛し…

『ハッピー・フライト』(2008)期待していなかっただけに、レベルの高さにびっくり!

先日、近所のツタヤで新作映画を借りていて、河瀬直美監督の『七夜待』と『ワールド・オブ・ライズ』はすぐに決まって、残り一本を借りると3本になり、3本借りると一泊分サービスになるので、ついで借りしたのがこの『ハッピー・フライト』のDVDでした。 矢…

『恐怖と欲望』(1953)キューブリック監督、幻の劇場映画デビュー作品。これぞ封印映像。

『2001年 宇宙の旅』『時計仕掛けのオレンジ』『ロリータ』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』など超有名作品を何本も手がけた、ニューヨーク生まれの巨匠、スタンリー・キューブリック監督による初長編映画という位置付けにあるのが今回紹介する『…

『チェイサー』(2008)ひと殺しの携帯は4・8・8・5! 後味が悪いのですが、出来は素晴らしい。

先週、金曜日に会社が夕方五時の定時で終わったものの、その夜の飲み会が八時からのスタートとなったので、急に三時間ほど空き時間が出来ました。迷うことなく、「じゃあ映画だ!」となったぼくはすぐに近くの劇場に飛び込みました。そうしたら、たまたま都…

『チェ 28歳の革命』(2008)過去は鮮烈に、現在は色褪せて。映像作品としては素晴らしいが…。

人々は古来、洋の東西を問わず、大活躍し、その国の歴史に大きな足跡を残しながらも、惜しくも若死にした英雄について語るとき、その対象を過大評価しがちである。ある者は過度の憧れを抱くあまり冷静さを欠き、またある者はその人物を意味なく貶し、正当な…

『映画はいつもワクワクさせてくれた…(3)』WOWOWとスカパーにハマリ込んだ20代以降…。

今回は社会人になってからの映画鑑賞状況を記事にしてみようと思います。レンタル・ビデオの隆盛については前回書きましたが、レンタルも一通り見ていくと、あることに気づきます。あれ?もう見たいのあれへんなあ…。つまり、それはお店にないソフトは見れな…

『天使と悪魔』(2009)ロン・ハワードが再び仕掛けた、ラングドン物。素晴らしい出来栄えです!

今日はたまたま東大阪に行く用事があり、午前中にその用事を済ませてから、駅の近くで見つけたシネコン・スタイルの映画館に行くと、珍しくメンズ・デーというのに遭遇したため、通常よりも格安の料金になっていました。ちょっと得した気分になりました。 い…

『映画はいつもワクワクさせてくれた…(2)』レンタルビデオがやって来た!ヤアヤアヤア!

いまではどんな田舎の町でも必ずといってよいほど、どこにでもあるレンタルビデオ屋さんだが、レンタル屋が出来るまでの映画ファンを取り巻く状況はといえば、前回に記述したとおり、テレビの地上波放送の吹き替えを見るか、NHKでたまに放映される欧州映…

『映画はいつもワクワクさせてくれた…。』小中学生のとき、映画を観ることは特別な意味を持っていた…。

映画をはじめて観たのはいつだろう。1970年代前半、大阪に住んでいた幼稚園児の頃に、親に連れられて観に行った『キングコング対ゴジラ』だろうか。それともうっすらと覚えているおそらくリバイバルに違いない『怪獣総進撃』だろうか。多くの作品を劇場…

『イエスマン』(2009)ネガティブな自分をポジティブに変える、極端なコメディ!

徹夜になってしまった決算明け、四月一日の午前10時過ぎ、なんだか妙にテンションが高くなっていたぼくはそのままのノリで、映画館に入っていきました。やっていた映画はジム・キャリー主演の『イエスマン』。CMでもしょっちゅうやっていたので、何も考…

『つみきのいえ』(2008)アカデミー賞を受賞した、アニメの佳作。

とても地味で、味わい深い作品。優しい色調と、分かりやすい内容。奇を衒うことはなく、ただノスタルジーと暖かみを観る者に与える。余計な力が全く入っていないのに、人生において、いったい何が大切なのかをわずか12分で語ってくれるのがこの短編アニメー…

『ワルキューレ』(2009)ヒトラー暗殺未遂事件に迫る!かなり期待したかった題材でしたが…。

冒頭のナチス党員による宣誓はおそらくニュルンベルグ党大会での言葉を再現したのでしょう。この党大会を描いた、プロパガンダの傑作『意志の勝利』は政治運動における効果的かつ、もっとも邪悪な美しさを持つ映像の使い方を示しました。 またあの戦争とはい…

『レッド・クリフ PART Ⅱ』(2009)さあ、いよいよクライマックスへ!!!でも…。

とうとう完結編を迎えたジョン・ウー監督による赤壁の戦いを描いた『レッド・クリフ』。前作品の呼称がなぜか途中で、『レッド・クリフ』から『レッド・クリフ PART Ⅰ』に変わり、「ああ、たしかにこれを2時間で語るのは無理だろうねえ…。」と思っていた僕…

『めぐり逢えたら』(1993)最近ラブコメをたくさん観ています。まあ、いいかあ…。

ミュージカル以外にはあまり食わず嫌いもなく、どんなジャンルの映画も見続けておりましたが、最近仲良くなった女性がめちゃくちゃラブコメが好きで、その手の映画の話で盛り上がっています。彼女は20代前半ですので、1990年代後半以降の映画を観てい…

『震える舌』(1980)感染し、五日以内に発症したときの致死率が100パーセントの病気とは…

はじめて、この映画を観たのは中学生か小学生の頃でした。当時の映画会社の宣伝文句がたしか「ある朝、少女は悪魔と旅に出た…」か何かだったと記憶していますので、おそらくホラー映画だと思って、観ました。実際にはこの映画はホラーではなく、家族間でも疑…

『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(2008)黒澤リメイク第二弾。うーむ…

ここ数年、堰を切ったようにリメイク企画が進行しているのが黒澤明監督作品です。テレビドラマ化されたものには『生きる』『天国と地獄』、そして映画化されたものには『椿三十郎』とこの『隠し砦の三悪人』があります。またアニメまで幅を広めると『七人の…

『グリード』(1924)シュトロハイム監督の運命を大きく変えてしまった狂気の9時間。

21世紀も、もうすぐ最初の10年が過ぎようとしている今となっては、エーリッヒ・フォン・シュトロハイムという名前を聞いてもピンとこない映画ファンがほとんどでしょう。僕自身も彼の作品を観たのは『愚かなる妻』『グリード』という二本の監督作品、そ…

『華麗なる殺人』(1965)近未来、殺人ゲームを合法化した、パラレル・ワールドを描いたSFコメディ。

昔、といってもつい数年前に読んだ本に『映画の文法』という一冊がありまして、その内容はカットの意味、編集の技術、アングルの意味などを纏めた、かなりマニアックなもので、分厚さも凄まじく、高校で使っていた辞書くらいの厚さを誇る労作でした。その本…

『吸血の群れ』(1972)70年代にはいろいろな動物モノのパニック映画がありました。

1970年代にはなぜかパニック映画が流行り、文明が崩れ落ちる類のパニック映画、たとえば『ポセイドン・アドヴェンチャー』『エアポート’75』などの巨大交通機関が制御不能になったときに「さあ!あなたならどうする?」的な映画が大ヒットしました。 …