『さくらな人たち』(2008)オダギリ・ジョー第一回監督作品にして、いきなりのR指定!悪ノリし過ぎ!
人気俳優オダギリ・ジョーが映画監督小田切譲として数年かかって制作したのがこの『さくらな人たち』です。ダウンタウンの松本人志に代表されるように、芸人や俳優が映画監督をするケースがかなり増えてきていますが、北野武監督ほどのクオリティを持っている作品は皆無に近い。
本作品も、オランダのロッテルダム映画祭に出品された際に、酷評を受けたとのことでしたので、わざわざ見ないで済ませるという手もあったのですが、実物を見ないと判断がつかないので、ツタヤで借りることにしました。オダギリジョーは俳優としてずっと注目していますので、彼の才能が他の芸術でも発揮されるのかという一点に興味は集中しました。
で、DVDを再生すると…。
ええっ?
う~~~~~~~~ん?なんだ、こりゃあ?
麻生久美子とともに出演して、ヒットしたドラマ・シリーズ『時効警察』のようなゆるい感じのコメディを目指したのかもしれませんが、モロにこけています。狙った笑いが取れないとかなり寒い風が吹きます。さらに『嫌われ松子の一生』のようなアニメを挿入したりしているのですが、それも効果的とは思えませんでした。チープなアニメ映像など使用せずに全編ピンボケというか、手振れの酷いカメラで追ったほうがまだ潔かったのではないでしょうか。
そしてこの映画が何故か頂いているR-15指定。おもな登場人物は次長課長の河本準一、河原サブ、そして山田浩ですが、この三人が大雨の田舎の草原で、素っ裸になり、フルチンで騒ぎまくるというシーンが入っているために、この指定を受けてしまったのです。
ですから、セクシーとは程遠い指定なので、勘違いしてスケベシーンがあるとは思わないで欲しい。しかしまあ、三人揃って、フルチンで騒ぎまわるさまは間抜けとしか言いようがなく、どんどん興味を失っていく。そもそも冒頭の数分間で、この作品には期待できないという雰囲気が漂う。素人が撮影しているようなカメラのぶれ方やカット割りにイライラさせられる。
あとはタクシーのなかで、無意味な会話をひたすら続け、矢沢永吉の『止まらない Ha~Ha』を延々と合唱しています。
乗ってくれ Ha~Ha~!!!
Rock'n Roll Night Ha~Ha!!!
Feelin' Comes Feelin' Comes
Feelin' Comes To Me~♪
たぶん多くの人が聴いたことのある歌だと思います。これを何度もくどいくらいに車中で歌いまくります。
忍耐強く、ずっと見続けましたが、上映時間の65分がかなりつらい。オダギリジョーは俳優としては独特のムードを持っているので、これからは脇目をふらずに、しっかりと俳優人生を歩いていってもらいたい。
で、結局、河本は鶴田桜を見ることが出来たのだろうか?
総合評価 32点