良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007)また始まったヱヴァ劇場版。かなり綺麗になっています。

 もともとサブ・カルチャー?の代表的なメディアであったアニメで、1990年代に社会現象にもなったヱヴァンゲリヲンは何度も劇場公開映画として発表されてきました。それは『新世紀エヴァンゲリオン シト新生』(1997)『新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に』(1997)でした。さらにちょこちょこ修正を施し、TV版ダイジェストである「DEATH」をまたまた修正した『DEATH (TRUE)2 / Air / まごころを、君に』まで公開しています。  しかしこれら劇場版は熱狂的なファンから常に批判され続け、コアな層に受け入れてもらえていない、不幸な作品でした。製作スタッフ自身がどうやって終わらせたら良いのかが分からないような印象を受けました。もっといえば、TVアニメ・シリーズとして放映されていた全24話も物議をかもすシーン、とりわけエンディングの数話への非難がかなり多くありました。  今となってはエヴァを知っている人と話すときに、何かいいことがあったら、手を叩きながら「おめでとう!」とニヤニヤしながら話し、相手も「ありがとう!」と返すという最終回ごっこが出来るようにはなりましたが、当時は「あれはないやろお!」というのが本音でした。
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 自分の殻を破るシーンの演出としてはアニメ技術を使えばそう難しいシーンではありませんでしたが、大ヒットしたアニメのエンディングにしてはどうなのだろう。『機動戦士 ガンダム』『宇宙戦艦 ヤマト』など時代を代表し、魅了したアニメの終わり方はすっきりしていたものでしたが、このエヴァの終わり方は正直いって意味不明でした。  もちろん謎解きの楽しさは知っているつもりですが、最初から最後まで謎の多いこの作品には迷宮という陳腐な言葉が頭に浮かんできます。  初回放映時の夕方ではなく、再放送の深夜放送かビデオだったかのどちらかで見たのが最初でしたが、夜中にあのような終わり方をしてしまったTVシリーズの最終回では本当にびっくりしましたし、「えええっ!? これで終わり?」と思いました。斬新だなあ、とは思いましたが、あのような思い切ったエンディングは初めてでした。  人類補完計画死海文書などミステリアスなディティールへのこだわり、誰と何故戦っているのか分からないという独特の世界観、等身大でイケテなくて、アムロ・レイよりもよりリアルな碇シンジなど登場人物たちを中心に据えて大人気だった、このシリーズは圧倒的な支持を得ました。
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 このアニメではコスプレーヤーに大人気の綾波レイや惣流アスカ・ラングレーも登場します。アニメ本編を見たことが無い人でも、パチンコやらなんやらで見たことがあるのではないでしょうか。謎が多く、いつもどこかに怪我をして包帯を巻いているレイ、イケテル帰国子女の14歳アスカには萌えるファンが多く、いまでも大人気です。  各論では大人気で圧倒的な支持を得ているTVシリーズですが、それでも最終話での物語の終わらせ方の失敗によって、いまだに終了できない状況に追い込まれていった。
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 というか劇場版で終わらせても、ファンが納得しないので、さらなる劇場版でまた作り直すという異様な作品なのです。永遠に終わらない迷宮のような、ガウディのサグラダ・ファミリア教会のようなアニメなのかもしれません。商売になるから何度も作り直すのでしょうが、いい加減にファンもいつまでも商売ベースに乗せられずに、受け入れる用意もしておくべきなのかもしれません。  今回再度また4部作になって製作されるヱヴァについてはこの第一部『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序』がまずは発表され、おおむね好評でしたが、最後の最後で「やられる」のはTVシリーズからのヱヴァ・ファンならみんな経験済みなので、実際問題、4部作最後の作品のエンディングを迎えるまでは全く油断できない。
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 今回の新劇場版の製作にしても、全4作品からなっており、その最初の作品がこの『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序』となります。ところで「序」とつくからには残りは「破」と「急」という能の進行から採ったのだと思いますが、なぜ4作品シリーズなのかがさっぱり分からない。  6話ずつダイジェストでやるつもりなのでしょうか。この「序」で語られるのはTVシリーズ第一話から第六話くらいまでのエピソードを再編集し、台詞や音響やCGを強化したものになっています。よって、これらのエピソードはもともと評価の高かったパートを再編集しているのに過ぎない。
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 つまり前半、そして中盤部分は高評価を得て当たり前の部分の映画化でしかないのです。ヱヴァで問題なのはエンディングなのです。それ以外はとても優れているので、わざわざああだこうだ言う必要がない。  では今日はバイクに乗って、ずっと忙しくて機会がなかったので、劇場公開第二作目の『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破』を観に行ってきます! 総合評価 78点