良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『つみきのいえ』(2008)アカデミー賞を受賞した、アニメの佳作。

 とても地味で、味わい深い作品。優しい色調と、分かりやすい内容。奇を衒うことはなく、ただノスタルジーと暖かみを観る者に与える。余計な力が全く入っていないのに、人生において、いったい何が大切なのかをわずか12分で語ってくれるのがこの短編アニメーションなのです。
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 マニアックな人気は絶大ではあるものの、とかく外国における日本のアニメの印象はといえば、手が込んでいる、お金が掛かっている、過激描写が多い、などが出てくるのでしょう。そういったイメージを払拭するきっかけとなってくれそうなのが今回の受賞作品である『つみきのいえ』ではないでしょうか。  どんどん水没してゆく地球と思える惑星では海が大地を飲み込み、わずかながら残っている家々では、水没しかけると、さらに上へ建て増していく。海底には何十年も前の水没した家々、街並みが静かに軒を連ねている。水没しているので、そこへ行こうと思えばアクアラングを背負ってのスキューバ・ダイビングとなってしまう。
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 過去へは二度と戻れないのが人生です。それを海底という環境で暗喩する。それは時間でしょう。何層も何層も下降して行くたびに、家族の歴史がよみがえっていく。介護していた老いた妻、子どもの連れてきていた孫たち、子どもの結婚、子どもの誕生と成長、自分たちの結婚、恋愛、出会いと次々に彼らの歴史が語られていく。  しかもこれらはすべて一つの台詞もなく、映像で優しく語られていく。観ている者の胸を打つのは大きく増幅された感動ではなく、日常の何気ない生活にあるのだと気づかせてくれる。こういった作品が映画の本場で評価されたことの意味は非常に大きいのではないでしょうか。
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 また映画芸術にとっても、台詞ではない映像だけで、登場人物のささやかながら、幸福であった人生を簡潔に表現できたのはこれからの映画芸術にとっても意味のあることだったように思えました。 総合評価 80点
【祝!短編アニメーション賞受賞!】●つみきのいえ DVD(2008/10/24)
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