良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ゴジラVSスペースゴジラ』(1994)ええっ!宇宙のゴジラって…

 2005年からブログを始め、いつのまにか12年以上も経ってしまいました。当時から全作を書こうと思っていた黒澤明監督作品は残すところ、あとは『どですかでん』『まあだだよ』の二本を残すだけになり、ゴジラ映画もひとまずの区切りとなる『ゴジラVSデストロイア』まであと一本まで来ました。  まあ、ゴジラシリーズはその後も単発モノがダラダラと続きますが、そのなかには釈ちゃんが大活躍する機龍も出てきます。ただ基本的にはゴジラはVSデストロイアまででいったんは締めを迎えます。  デストロイアには今は亡き平田昭彦が回想で出演したり、ヒロイン河内桃子までが登場する。最終走者デストロイアまでタスキを繋いでいく重要な役割を担うことになったのが今回の敵役スペースゴジラです。役割を果たしたとは言えず、人数合わせの弱い外人覆面(ゴジラのマスクをかぶっています。)レスラーのような悲しい奴が出てきました。  偽ウルトラマン小池栄子?)や偽ウルトラセブン、さらには昭和の初代メカゴジラのように偽ゴジラをやるのであれば、もう少し秘めた実力を持っていないと名勝負数え歌には登場できません。
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 最初このタイトルを聞いたときには「うわぁー!!やめてくれ!」というのが正直な感想でした。敵の名前をつけるにしてもまさか安直にゴジラの名を冠するとは酷すぎます。中国が密かに作って、沖縄を分裂させようと悪の策謀を張り巡らすスペースシーサーが出てくるよりはましでしょうが、感情移入はできない。  メカゴジラはビシッと物語の世界観にハマりましたが、さすがにこれはないでしょう。これまで見てきたゴジラ映画はたとえば昭和ゴジラならば、子供の頃からテレビで見ましたし、ビデオでも何度も見てきました。  昭和の夏休みや冬休みには昼過ぎの三時ごろからどこかの局で怪獣映画を毎年やっていまして、東宝大映東映・松竹が子供向け映画を乱れ打ちしていたのも楽しい思い出です。  テレビ局も節操がなく、『ガス人間第一号』のような大人向けや毛色が違う民話風の『大魔神』を間に差し込んで来たりしていたのでバラエティに富んだラインナップを揃えてくれていました。
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 『妖星ゴラス』なんかも小学生のころ見ましたし、問題作『ノストラダムスの大予言』なんかも普通にテレビ放送していましたし、お金持ちの子の家にはビデオがあり、これを友達の家で見せてもらったこともありましたので、もし今でも持っていたら、超お宝映像として自慢できますね。 テレビでやっているのでクラス中の子供は家で一人で見るか、友達と一緒に見るかしていたので次の日はみんなに共通の話題があり、仲間外れになりにくかったような気がします。  平成シリーズにしても、VSメカゴジラまでは周りの子供たちの冷たい視線にも耐えながら、なんとかGの健やかな活躍をそっと見守ってきました。しかしこの作品に関しては観に行こうとは思えませんでしたし、実際に映画館まで出向くことなく、レンタルビデオで一度きりしか見ていない。  さすがに長年のゴジラ・ファンとはいえこの作品に出てくるスぺゴジのフォルムと設定を見た時にどうしようもない拒否感が生まれていたので、やっつけ仕事感が強いこの作品はさらに影が薄い。氷柱か氷砂糖が生えている形状は魅力がない。飛ぶ姿もなんだかウルトラセブンに出てきたダンカンみたいです。
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 ということで今回が二度目の視聴です。何がこれほどまでに敬遠させたのだろうか。空飛ぶゴジラへの嫌悪感だろうか。能力だけを素直に見れば、スペゴジのほうが強そうだ。でも好き嫌いはもっと重要なのです。  タイトル名は『ゴジラVSスペースゴジラ』です。“スペース”とはSF設定なので“宇宙の”なのでしょうが、存在感のなさから“  ”のゴジラ、つまり空虚でなんにもないスペース(空間)が空いたゴジラのほうが相応しい。  ただそれでもゴジラ映画がある限り、ぼくらは見なければならない。そこにゴジラがいるのだから。駄作でも良い。標準の出来なら、それで納得しよう。そして、稀ではあるが、突然変異としての傑作が生まれたなら狂喜乱舞で嬉しい。  ゴジラがない世界よりも、たとえ題名が『ゴジラはつらいよ』とかになったとしても劇場に行くかどうかは別にして必ず一度は見ます。
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 今回のポイントとしてはVSキングギドラ以来、そんなに時を経ていないにもかかわらず、福岡を襲撃していることで、スタッフは豚骨ラーメンでも食べたくて、再度出かけて行ったのだろうか。前回まだなかった福岡タワーに観光に行っています。北海道にも飛翔していますね。  高評価ポイントとしては中途半端ではありますが、吉川十和子が演じた権藤千夏を投入することで、VSビオランテで大活躍した権藤一佐の弔い合戦の要素を取り込んでいること、また柄本明が権藤一佐と親友であったことは大きい。遺品になってしまったダンディな一佐のジッポを使っているのも何気に嬉しい。  さらに『地球防衛軍』での活躍が懐かしいモゲラのリブートによる登場はオールド・ファンにとっては嬉しい。もしメカニコングが出てきていたら、ボスボロットに見えてしまうかもしれない。まあ、どっちが出てきても個人的には単純なのでニコニコしてしまうでしょう。 総合評価 50点