良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『検察側の罪人』(2018)検察側よりも製作側の罪人が大問題!

 木村拓哉二宮和也というジャニーズの先輩後輩初共演が話題になっているこの作品ですが、ファン以外がジャニーズ色が濃いモノを観れば、どのように映るのか。  それが今回、劇場まで観に来た理由です。単純に作品として成立しているのか。それともあれはダメ、これはNGという忖度が働いている作品なのかを見極めたい。  SMAP解散後の活動はいまいちで芳しいとは言えないキムタクや周りのスタッフはそろそろ焦っているでしょうし、起死回生となるのだろうか。
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 オープニングであざといまでにシンメトリーを意識させる映像を次々に繰り出してきたので、映像や構図にこだわった作品になるのかと思いましたが、最初だけでした。二人の検察官の考え方の違いを描こうとしていたのでしょうか。  それらを考えながら見ていましたが、結果的には残念ながら、恐らく大失敗に終わっています。まずキャスティングがどうのこうの言う以前にストーリーが破綻していますし、繋がりを放棄していて、さっぱり訳が分からない状態に陥っています。  検察の切れ者管理職であるはずのキムタクが20年以上前の、家族でもない知り合いの無念を晴らす私怨から、あっさり強盗殺人事件(真犯人は大倉孝雄)とは無関係のクズ(20年前の事件及び37年前の少年犯罪事件の犯人。酒向芳。かなり濃いので忘れられない顔です)を犯人に仕立て上げる。
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 20数年前の事件の復讐という一点に拘り、自ら殺人事件を引き起こし、ヤクザ(松重豊)に始末を頼んでしまいます。  同時進行でキムタクの大学時代の同期で財閥令嬢と策略結婚した政治家の暴露テープをどうするかというテーマが出てくるが、マクガフィンにすらなっていない。  なんじゃこりゃ?そこまで強く感情移入するような伏線も特に描かれず、ラストの意味も良く分からないまま、唐突に二宮和也の絶叫とともにエンドロールが始まり、訳が分からず置いてけぼりの少ない観客を放り出し、チケット代だけをちゃっかり持って行かれました。
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 二宮君はそこそこ良いシーンもありましたし吉高もいつも通りで、もっと言えば異常な犯罪者役の酒向芳のインパクトが強すぎて、キムタクは霞んでしまっています。  ただキムタクがどうのこうの言うよりも、ストーリー展開に問題があるので、キムタク・バッシングには加わるつもりはありません。良い作品を選ぶスタッフに恵まれて欲しい。元SMAPのなかではずっと注目していますし、連ドラで『HERO』なみの人気作が出てば、また世間の評判も一転するでしょう。  まるでワールドカップ前はさんざんだった本田選手の評判がセネガル戦でゴールを決めたとたんに180度変わり、手のひらを返したように称賛したマスコミやサッカーファンのように。
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 総合評価 32点