良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』(2008)パロディ満載!アクション控えめ!十分…

 待望の、というにはあまりにも長い歳月が過ぎました。髪の色は白くなり、薄くなり(ウィリスよりはましか…)、お腹には貫禄がつき、筋力は衰えてしまう。しかしドタバタ動き回っていたインディも楽しかったが、66歳を越えてなお、アクション・シーンに果敢に挑むハリソン・フォードもまた、どこかほのぼのして、イイ感じでした。  ストーリーは荒唐無稽を通り越して、笑うしかない展開でした。オープニングは『アメリカン・グラフィティ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、クライマックスは『未知との遭遇』、アクション・シーンは『スターウォーズ ジェダイの復讐』というなんだかよく分からない状態に陥りました。  ショーン・コネリーが台詞や写真のみながらも「出演」している点、デンホルム・エリオット(マーカス・ブロディー役。銅像になってしまっていて、「頭」で敵を攻撃。)のカメオ出演(?)、そして「Oh!My God!」がまだ耳に残るカレン・アレン(マリオン)が出てくるのは嬉しい。
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 CGにはあまり気を使っていないというか、主役ではない感じでした。本来映画を引き立てるはずのCGが本末転倒になっていく状況を目の当りにしている彼ならではのアンチテーゼでしょうか。『ジュラシック・パーク』でCGを一気にメジャーなものにしたスピルバーグ監督が、CGなどはしょせん演出上の補助でしかないというスタンスで使用したのは意味深く感じました。  ロケット付きトロッコ(?)の疾走するシーンはデロリアン号そのまんまでしたし、スピルバーグ&ルーカス作品を観続けてきた人ならば、あまりにものサービスを通り越した、おちゃらけの連続に苦笑するかもしれません。こういうおふざけに出くわすと、すぐに目くじらを立てて、下らないとかいう器量の小さい人もいるようですが、お祭りなんだからゴチャゴチャ言わずに楽しんだ方がいいでしょう。
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 そして最後に言ってくれました。「Ⅰ Have Bad Feeling about This!」嬉しい!その後に続くマリオンとのウェディング・シーンはほとんど同窓会状態になっていて、ほのぼのしました。インディの帽子が風で飛んでしまい、それをインディ・Jrが被ろうとした刹那に、まだまだ若いモンには負けないぜとばかりに帽子を取り返すハリソンが最高です。
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 惜しいなあと思うのはケイト・ブランシェットの使い方でしょう。あまり彼女の良さが出ているとは言いがたい。同じく、今年久しぶりに復活したランボーと比べると、映画としての質は圧倒的に『ランボー 最後の決戦』のほうがクオリティが高い。インディは脚本があまりにも漫画チックであるために大いに損をするかもしれません。  ただこれが最後で、大きな花火を上げたかったのだと思えば、その目論見は成功したといえるでしょう。実際、僕は観に行って、大いに笑えましたし、久しぶりに遭遇したインディ・シリーズの神秘の大風呂敷に懐かしさを覚えました。問題点はインディ・シリーズ及びスピルバーグ&ルーカス作品を観ていない人がこれを観たならば、魅力は半減してしまうところでしょう。  せめて『アメリカン・グラフィティ』『スターウォーズ(旧三部作)』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『未知との遭遇』とインディ・ジョーンズの旧三部作くらいは礼儀として、DVDで見てから劇場に行ったほうがより楽しめます。  動きが悪くてもいいじゃないか!スクリーンでドタドタしているだけでも楽しい。ただインディ三代目を襲名したシア・ラブーフ(マット君)がこれからのインディ・シリーズで主役を張るのは勘弁して欲しい。彼にはそこまでの魅力はない。スターウォーズ・シリーズではヘイデン・クリステンセンのほうがマーク・ハミルよりカッコ良かったので、違和感がありませんでしたが、ハリソンを継ぐにはあまりにも荷が重い。  結論として、これはアメリカ版車寅次郎なのではないかということです。(オカピーさん、ごめんなさい!)つまり代わりを務められる俳優など皆無なのです。 総合評価 68点