良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『スター・ウォーズ・ホリデー・スペシャル』(1978)デス・スター破壊後を描いた、封印作品。珍品!

 1977年に公開されて、世界中で大ヒットした『スター・ウォーズ』にはじつはあまり知られていない、というか、ルーカスが隠そうとしている幻の続編があります。  そのタイトルはもともとはテレビ番組としてCBSでオンエアされた『スター・ウォーズ・ホリデー・スペシャル』で、すでに『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』の製作が決定していた関係上、“エピソード Ⅳ 1/2”という妙なエピソード番号が当てはめられていました。なんか『8 1/2』みたいでカッコいいように見えるのですが、内容が寒すぎるので、比較にはなりません。  監督はジョージ・ルーカスではありませんでしたが、スター・ウォーズ・ユニバースを形成する公式作品であることは確かなのです。その証拠に、出演者にはチョイ役ではありますが、マーク・ハミルを始め、ハリソン・フォードキャリー・フィッシャーアンソニー・ダニエルズなどが顔を揃えています。  チョイ役と書きましたが、何故に彼らがチョイ役なのかと言いますと、実はこの特番の主役はダース・ベイダーでもルークでもなく、キャッシークに住む、チューバッカの家族(父・イッチー、妻・マーラ、息子・ランピー)たちの日常生活ぶりと帝国軍にガサ入れされる様子にスポットが当てられているからなのです。  そのため物語の大半はウーキー語で進む。最初の数分だけキャッシークのお祭りに間に合わせようと帝国軍の追っ手をかわそうとするハリソン・フォードとチューイの会話シーンがあり、彼らがキャッシークの祭りの日に間に合うように焦っている様子が描かれる。まずはポカーンPART1です。
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 次に彼らを待つ、キャッシークの家族たちの団欒が描かれるのですが、これはとてもシュールな十数分間を過ごせます。アメリカの中流家族のような家具に囲まれ、安手のテレビ・ドラマのような照明のなか、彼らはひたすらウーキー語で会話を行う。英語ではなく、唸り声にしか聞こえないウーキー語を十数分間貫いた意図は不明でした。ここはポカーンPART2です。  その後もポカーンはどんどん続き、いきなり西海岸のロック・バンドの雄であったジェファーソン・スター・シップがピンクの照明のなかで演奏し、何事もなかったかのように消えていく。ポカーンPART3でした。  ルークとキャッシークのチューイの家族たちとのテレビ電話でしゃべるシーンも完成度が低く、別撮りしているのは明らかで、全くテンションは上がらない。おまけにR2が機械整備をしくじり、ぼや騒ぎを起こすというミスまで飛び出し、それをルークが道化のように収拾を図ろうとするさまが映し出される。ポカーンPART4です。  唯一の救いはなぜか、ゆく年くる年のようにスター・ウォーズ世界に縁のある星が入れ替わり、立ち替わり、映し出されるなかのひとつであるタトゥイーンのカンティーナ・バンドのフィグリン・ダンたちの演奏でしょう。  ここのシーンだけが妙に他に比べるとまだましで、エイリアンたちもゆったりとした演奏に身を任せている。もしかしたら、『スター・ウォーズ』の公開版では使用されなかったフッテージ映像を無理やり入れ込んだのかも知れません。
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 ボバ・フェットのファンにとっては記念すべき初登場作品でもあるが、これが最初というのも彼のその後の運命を暗示するようだ。しかも予算の関係からか、アメコミの程度の完成度しかないアニメでの登場でした。  何故か恐竜のような巨大クリーチャーに跨り、ハン・ソロやチューイを騙しにかかる。浅知恵のために、結局は見破られて逃げていく様子はなんだか切ない。  チューイたちの教会ではなんとプリンセス・レイアがなかなかの美声で、歌を披露するというサプライズが用意されています。チューイの家から行方不明になったストーム・トルーパーを捜索すべき指揮官も、なんだかよく分からない近所の住人(GMの工場に勤めていそうなオッサン)に丸め込まれる始末で、まったくもって、全てに締まりがなく、ダラダラと時間が過ぎていく。  今回見たのは当時のテレビ放送をそのまま録画しただけで、まったく編集すらされていない状態のものでした。そのためアメリカの本場で流される多くのCMを見ることになる。ゼネラルモーターズマクドナルド、レブロンなどの大昔のCMがなんだか笑えます。  こんな作品がついにはリリースされそうな動きがあり、アマゾンで予約のためのメール登録が始まっているようなので、もしかしたら、日本でも発売されそうな気配です。てゆうか、パッケージを見る限り、もう出ているようなのですが、日本語版はまだ発売されていません。前述の通り、ウーキー語が大部分を占めるので、字幕がいるかと言われれば、別に必要性も感じません。  ハロウィンとクリスマスの間に見たならば、まさにそれはナイトメアー・ビフォー・クリスマスでしょう。本当にクズですし、かなり退屈で、眠たくなります。体調を整えて、覚悟を決めて、どうぞご覧下さい。 総合評価 48点