良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(1980)IT IS YOUR DESTINY!ヨーダ登場!

 『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』、これは自分が劇場に見に行った、初めてのスター・ウォーズ映画になります。このときは自分も小学校の高学年になっていて、なんとかひと月分のお小遣いを注ぎ込めば、見に行けるようになっていました。  公開された当時に買ってもらったオモチャで“ライト・サーベル”という代物がありました。ライト・セーバーと言い出したのはかなり後になってからで、実際にぼくが持っている『ジェダイの復讐』のビデオ裏の説明にも“ライト・セーブル”と書いてあります。セーブルって、なんやねん。  それはともかく、今度の舞台は極寒の氷の惑星ホス(白い世界)と密林に覆われたヨーダの隠遁の地であるダゴバ(緑の世界)、そして空中都市であるクラウド・シティ(本来は空の青の世界であるはずですが、映画では夕暮れ時のマジック・アワーの黄金色でした。)、そして宇宙空間(黒い世界)が主な戦場でした。
画像
 本筋そのものには関係ないのでしょうが、色彩感覚と空間の感覚が素晴らしく、同じ色で退屈な作品の多いSF映画にあって、カラフルな世界観はとても見やすく、個性的に思えました。宇宙空間ではどうしても閉鎖的になりますが、切り替えに広大な氷の平野や緑溢れる密林、そして夕焼けが映えるクラウド・シティの処理は見事でした。  今回もまた印象的な場面とセリフ、メカニックとエイリアンが目白押しで、この映画のビデオも数十回は見ています。ファースト3部作の中ではこの作品が最もダークな感じで、雰囲気も重たくて、見応えもあるのではないでしょうか。能で言えば、この回は“破”に当たり、各登場人物に様々な出会いや別れが訪れています。  有名なところではハン・ソロとレイアのロマンスの始まりと別れ、ルーク・スカイウォーカーと実父であるダース・ベイダーアナキン・スカイウォーカー)との遭遇、ルークのジェダイ修行を引き受ける師匠ヨーダとの出会い、旧友であるランド・カルリジアンとハン・ソロの出会いなどさまざまな人間臭いシーンが描かれる。
画像
 映画に入っていきますと、まずはホスでの見所はAT-AT(帝国軍の四足歩行の戦車)と反乱軍の白兵戦です。巨大なAT-ATをケーブルで引き倒すシーンはよく覚えています。このときもウェッジはルークとともに行動しているのに、彼の功績はあまりスポットライトが当てられない。  物語は二つに分かれ、ルークがダゴバで修行するシークエンスとハン・ソロ御一行がスペース・スラッグにファルコン号ごと飲み込まれそうになる逃避行、そしてルークとソロたちがクラウド・シティで短い再会と離別するシークエンスが交互に訪れる。  このクラウド・シティではルークとベイダーのファースト・コンタクトとしての一騎打ちが描かれる。暗黒のクラウド・シティの内部で行われる戦いは真っ暗闇のなかで、赤(ベイダー)と青(ルーク)のライト・セーバーのみが妖しい光を放ち、様式美を感じさせる。最終的にはついついカッとなったベイダーがジェダイの儀式である片腕切断を見習い修行中のルークにやってしまうという失態を演じる。  そしてこの映画最大の印象的な台詞"I AM YOUR FATHER !” が飛び出す。この台詞はパロディ映画でもよく採り上げられますし、『トイ・ストーリー2』でも使われていました。そういえば、このときに片腕を失ったルークの顔がなぜかシャウトするミック・ジャガーにそっくりだなあと思っているのはぼくだけだろうか。 ホス脱出後に訪れたダゴバでのヨーダとの修行シーンは哲学的でスター・ウォーズのファン・ボーイズ&ガールズたちをゾクゾクとさせる。今ではフォースはそのままカタカナでフォースと翻訳されていますが、当時は“理力”と訳されていました。ぼくは個人的にはフォースは理力と訳した方が日本語ではしっくりときます。
画像
 このマスター・ヨーダとルークの修行場面は『ジェダイの復讐』でのプリンセス・レイアのメタル・ブラやブルース・リーの“DON'T THINK! FEEL!”と同じくらい衝撃的でした。当時の小学生にとってはなんか訳が解らないことをいう、ちっちゃいジイサンでしたが、大学生になったころには“マスター・ヨーダ”となり、常に敬語が当たり前になっていました。  ただ、ヨーダお手製のゴボウみたいな根菜が入った茶色いスープは前作でルークがゴクゴク飲む青いミルク同様で美味しそうには見えません。また今回は反乱軍側の非常食として、今ではお馴染みのカロリー・メイトのようなスティック状の栄養食も登場します。  基地内での描写が多く、遭難したルークを治療するために用いられる生命維持カプセル(疲労回復のために、これが一番欲しい!)やアンドロイドの腕を移植する手術シーンだけではなく、ベイダー卿のマスクなどのメインテナンスまで描かれ、彼らもまた人間であることが分かり、親密さが増していく。
画像
 今回、初めて登場したヨーダスター・ウォーズのアイコンの一翼を担う大人気キャラクターであり、子供よりも大人になってから味が分かってくる渋いキャラクターです。彼の喋り方も独特で、動詞を先に喋り、後から主語が出てくる倒置法的な会話がとても新鮮に感じました。  十数年前に購入した30センチくらいのヨーダは今でも自分の部屋に鎮座しており、大きさは全然違いますが、両隣にはグリードとジャバ・ザ・ハットが助さん&格さんのように並び、うっかり八兵衛の代わりにカーボナイトされてしまった状態のハン・ソロを、由美かおるの代わりにメタル・ブラ姿のプリンセス・レイアを配置していたこともありました。フィギュアなどを扱うお店にはたいがいストーム・トルーパーかハン・ソロのカーボナイトの等身大のモデルが展示されていました。  小学生のときによく行っていた模型屋さんには1mくらいのボバ・フェットと50cmくらいのヨーダが仲良く鎮座していました。そこにはスノー・ウォーカー(AT-AT)も置いてありましたので、おそらくお店の方がスター・ウォーズのファンだったのでしょう。ガンプラが流行りだしていた頃でも、そのお店は“スター・ウォーズ命”のようでした。
画像
 物語ではハン・ソロとレイアに追っ手がかかり、ついに大好きなバウンティ・ハンターズ6人衆が登場します。“BAUNTY HUNTER”と英語で書くと分かりやすいのですが、会話でこの言葉を表すと“バニハラ”と聞こえ、最初は何と言っているのか、さっぱり分かりませんでした。  ボバ・フェットがベイダー卿との会話シーンをゲットする幸運を掴み、冷凍食品のようにカチンコチンに固まってしまっているハン・ソロをジャバ・ザ・ハットのもとに代金引き換えのクール宅急便で配達する姿をセコく描いている。  ボバ・フェットは有名なわりに、次作『スター・ウォーズジェダイの復讐』でのやられ方の間抜けさのために、ファンからでさえもその実力には疑問符が付けられるなどの不当な扱いを受け、トレッキーには突っ込まれ、「ボバは弱くて間抜けだ!」というイメージがいまだに払拭出来ていない。
画像
 IG-88(ボバの横にいる暗殺用ドロイド)も第二デス・スターと同化して、すべてを手に入れる寸前に、ルーク・スカイウォーカーによって爆破されてしまう。その他のハンターズの末路もパッとしません。  唯一の例外はザッカス(昆虫みたいなヤツ)と4-LOM(複眼を持つサイボーグ)のコンビで、彼らはホスから逃げ出してきた反乱軍を救助するという賞金稼ぎにはありえないことをする。映画でこのシーンが描かれていないのは残念です。  体臭が臭いボスクはのちにだまし討ちに遭い、帝国軍の提督に引き渡され、処刑された後に革になめされ、装飾品になってしまうという情けなさ過ぎる末路を迎える。
画像
 ダラダラと書いてきましたが、バウンティ・ハンターズのエピソードのうち、映画で描かれているのはボバ・フェットがサーラックの穴に落ちるまでであり、その後に自分で生還することは小説を読んだマニアしか分からない。  次に前回全く触れなかった、コスプレの定番であるストーム・トルーパーについて書いてみたい。初期ではジャンゴ・フェットがオリジナル・ボディの量産型クローンとして、バトル・ドロイドの後継兵に選ばれたトルーパーであったが、クローン大戦から二十年近く経った、ルークの時代にはオリジナルであるジャンゴの能力からは程遠いクオリティしか有していない。  長引く内戦と戦線拡大のために、野菜ではないが、完熟する前にというか、一流の戦士として完成する前に、最低限度の戦術理解能力と戦闘力を得た段階で出荷されているのでしょうか。
画像
 基本的に白色の塗装が施されたトルーパーたちは戦地毎に装備が違い、標準タイプのストーム・トルーパー、雪上戦用のスノー・トルーパー、砂漠用のサンド・トルーパー、スピーダー・バイク用のトルーパー、空中戦でタイ・ファイター搭乗用の黒いトルーパー(インペリアル・タイ・ファイター・パイロット)、エンペラーズ・ロイヤル・ガード(パルパティン皇帝を守る赤装束の衛兵)、インペリアル・ガンナー(デス・スターの砲撃手)など多種多様で、しかもシンプルなデザインながらとても機能的でカッコイい。  スター・ウォーズがいつまでも魅力的な理由のひとつにはこういった脇役となるキャラクターたちが個性的であることが挙げられる。そして今回の『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』から後付けである、例のエピソードなんちゃらが付くようになりました。  この映画も大学の時にビデオを買い、数十回以上は見ました。それから十年以上経って公開された特別篇も、もちろん劇場に見に行き、またまた発売日にビデオを買い、フォーマットの変化に伴い、DVDを買うはめになり、オリジナル版が収録されたDVDも結局は買い、今回の記事を書くにあたり、またオリジナル版を見ました。
画像
 新しく出す度に、特典映像やらなんやらを小出しにしてくるのはボバ・フェットのようにセコいので、いい加減にしてほしい。どうせ特典をつけるのであれば、ルーカスがひた隠しにする『スター・ウォーズ・ホリデー・スペシャル』を加えて欲しい。  まあ、どうせブルーレイを出すときにまた特典映像を新たに加えて、マニアの生活を困窮させるに決まっています。マニアあってのスター・ウォーズなのですから、ファンへのサービスを優先して欲しい。『イウォーク・アドベンチャー』『エンドア 魔空の妖精』『スターウォーズ・ホリデー・スペシャル』のスター・ウォーズ裏世界三部作のボックス・セットであれば、ぼくは100パーセント買うでしょう。 総合評価 90点