良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『スター・ウォーズ』(1977)数十回以上見たのはこれだけかも!フォースと共にあれ!

 最初に『スター・ウォーズ』という映画を意識したのは小学校の低学年で西暦は1978年、その対象はコカ・コーラの250MLビン(ブッシュマンのニカウさんがこの世の果てまで返しに行ったヤツと同タイプです。)に付いていた、金属製の王冠キャップでした。  全部で30種類近くあって、前年のスーパー・カー王冠に引き続き、その年はコカ・コーラ、スプライト、ファンタ・グレープ&オレンジを来る日も来る日も飲み続けていました。昔はコーラを飲むと歯や骨が溶けるとかまことしやかに言われていて、ぼくはコーラを飲んだら、次の日は牛乳を飲むようにしていました。  ちょうど真夏の暑い盛りだったこともあり、近くのお店に行くたびに、大人には用がないキャップ捨て場を友だちみんなで探していました。王冠がよく落ちていたのは専売公社のプールやそのプールの横にある高校のグラウンドの端っこでしたが、今思えば、その場所は運動部のお兄さんたちが隠れて買い食いしていた場所だったようです。
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 1999年に、エピソード1となる『ファントム・メナス』が公開されたとき、ボトル・キャップがオマケに付いていたのを覚えている方も多いでしょうが、あれが出ていたときに僕が思い出したのは20数年前にみんなで集めた王冠でした。  当時、お金持ちの家の子たちは連れ立って、劇場まで見に行って、次の日にパンフレットを僕らに見せびらかしていました。実際、僕らのクラスでは見に行ったのは三人くらいでした。  当時からすでに『スター・ウォーズ』は大人気でしたが、まだ子どもが誰でも気軽に劇場に見に行ける環境ではありませんでした。ビデオ屋なども存在していませんでしたので、多くの日本人が初めてこの作品を見たのはおそらく1983年?にテレビ放送された時だったのではないでしょうか。  都会だったら、リバイバル上映などがあったのかもしれませんが、ウチの近所ではなかったような気がします。このテレビ放送はその前の週くらいから予告編などが放送されていたこともあり、すでにクラスではその話題で持ちきりでした。そしてついに迎えた第一作目(もちろんエピソード4です。)の放送が始まり、20世紀フォックスのファンファーレが鳴ったときはとても嬉しかったのを覚えています。
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 ただ残念だったのは昔はほとんどの放送は吹き替えだったので、ベイダー卿ハン・ソロ船長も日本語をしゃべっていたことでした。しかもマーク・ハミル演じるルーク・スカイウォーカーの吹き替えがまさかの渡辺徹という悪夢のような状態でした。いつも思うのですが、吹き替えなんか止めてしまえということです。  そのため、初めて“I HAVE BAD FEELING ABOUT THIS! ”や“MAY THE FORCE BE WITH YOU! ”“HELP ME OBIWAN KENOBI!YOU ARE MY ONLY HELP. ”を聴いたのは高校生になって、近くにTSUTAYAが出来てからでした。  オビ=ワン・ケノービ(アレック・ギネス)って、こんな澄んだ声だったんだあ、とかベイダー卿の篭もる声は恐いなあ、とか色々な発見がありました。大学生になったころにまだまだ高かったVHSを買い、何十回も見返しました。  最初はこの映画は一作品で完結していて、続編が作られる予定もなかったことは明らかだったようでした。いつの頃からか、オリジナルの『スター・ウォーズ』はエピソード4とか“新たなる希望”とかワサワサと後付けの設定が増えていきました。  まさか6本もの一大大河ドラマになるとまでは思いませんでしたが、『猿の惑星』がそうだったように二本の続編『帝国の逆襲』『ジェダイの復讐』が三年置き位のスパンで次々に封切られました。その第一歩となる記念碑的な作品となったのがこの映画でした。  エピソード6と言われた『ジェダイの復讐』を劇場で観た後に、「ああ~。とうとう終わっちゃったかあ…。」とガックリしながら家に帰りましたが、何年か経って、ダース・ベイダーの徒弟時代を映画化するらしいと1990年か1991年に聞いたときは「それって、なにが楽しいんやろうか?」と思っていましたが、いざ始まると結局はエピソード1~3も各三回ずつ劇場に通いました。
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 何はともあれ、この映画『スター・ウォーズ』の出来映えは素晴らしく、数多いリピーターを生み出す大ヒット作品となり、ジョージ・ルーカスの懐を今でも潤しています。フィギュアやライトセーバーなどのキャラクター商品が映画以上に売れるきっかけともなった作品で、その後の業界に与えた影響も計り知れない。  ストーリー展開や配置などの映像作り、キャラクターのイメージはよく知られるように、黒澤明監督の娯楽大作である『隠し砦の三悪人』から採用されている。場面転換に多用されるワイプも黒澤映画の十八番でした。  上手く換骨奪胎されていて、原作への愛情も感じさせる。名場面が数多い作品でもあり、ルークが見つめるタトゥイーンの二つの太陽が沈んでいくシーン、同じく次の日に出てきた青いミルクを見たときのカルチャー・ショック、エイリアンのバーでのハン・ソロやオビ=ワン・ケノービの巻き込まれた、いざこざのシーン。  ここでどこかで見たようなミュータントたちによるカンティーナ・バンド(フィグリン・ダン&ザ・モーダル・ノーズ)によって演奏される曲がまたとてもカッコよく、コミカルなだけではなく、ドライでクールな雰囲気を持っていて大好きでした。  宇宙要塞デス・スター内でのルークとレイアのロープを使った逃避行(その後、『トイ・ストーリー2』『隠し砦の三悪人(もちろんリメイク版)』など、さまざまな映画で模倣される。)やゴミ捨て場でクリーチャーに襲われるシーン。そして、なんといっても、デス・スターへの決死の特攻を掛けるクライマックスの空中戦の緊迫感ある演出の見事さなど見所は沢山あります。
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 俳優たちの運命を大きく変えた映画でもありますが、ハリソン・フォードのように大スターとして今でも君臨する者がいる一方で、マーク・ハミルはその後、残念ながらパッとしない。それでも彼が演じたルーク・スカイウォーカーは彼しか似合わないし、ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルは今でも魅力的である。  キャリー・フィッシャーに関しては女優としてはもちろん、ルーカスの会社のスタッフとしても活躍し、つい最近では『ファン・ボーイズ』にカメオ出演していました。  アイデアが詰まった作品であり、中でもメカニックとクリーチャー、そしてドロイドとエイリアンたちの魅力は他の作品群を圧倒している。ミレニアム・ファルコン、スター・デストロイヤー、AT-AT(雪の星ホスで帝国軍が使用した四足歩行の戦車)、Xウイングのデザインのかっこよさはトレッキーに誇れる。  ジャバ・ザ・ハット(オリジナルでは名前のみの登場ですが、特別篇ではハン・ソロに尻尾を踏まれる!)、ヨーダ、グリード(モス・アイズレーの酒場でハン・ソロに射殺されるヤツ!)は印象的でした。  彼ら以外でもボバ・フェット(ジャンゴのクローン)、IG-88(全身が武器のドロイド)、デンガー(羊飼いのような、砂漠のテロリストのようなヤツ)、ザッカス(昆虫みたいなヤツ)、4ーLOM(虫の複眼のような目を持つヤツ)、そしてピチピチの宇宙服が妙にお似合いのトカゲのようなボスクからなる賞金稼ぎ6人衆の勇姿(数秒も映らない。)にはゾクゾクします。  ルークの住んでいたタトゥイーンもクリーチャーの巣窟で、ロント(ジャワの乗り物)、デューバック(バーの前に繋がれている恐竜みたいなヤツ)は渋い味を出しています。サンド・ピープルやジャワたちの不気味さもこの映画には欠かせない。  また大人気キャラクターとして忘れられないほど魅力的な2体のドロイド、R2-D2C3POの名コンビはSF映画史上、唯一無二であり続けています。  冷めた目で見れば、あまりにも単純で、ご都合主義の極みではありますが、何度見ても楽しめる、数少ない映画です。この映画にはオリジナル版、“A NEW HOPE”と表記されるエピソード4バージョン、エピソード1が公開される前年におさらいの意味で順次、世界中で公開された特別篇があります。  今では特別篇のバージョンがレンタルでも一般的なようですが、ぼくは今でもオリジナル版が一番好きで、今回見たのも、1977年度版をDVD化したもので、正規版のボーナス・ディスクとしてカップリングされたものでした。 総合評価 92点