良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『マン・レイ展がやってきた。』前衛芸術家兼映画監督マン・レイ展に行ってきました。

 いまからおよそ30年前に亡くなった、ロシア系アメリカ人の写真家であるマン・レイの名前を大阪市営地下鉄の吊革広告でたまたま見かけたのは先週梅田に出かけた帰りでした。  その車両のその位置に乗り込んだのは偶然ではありましたが、数年前に前衛映画の記事を書こうとしたときに選んだのがマン・レイの作品である『ひとで』だったこともあり、今週休みが取れたので、中之島にある国立国際美術館まで出かけていくことにしました。
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 今までに行ったことのない場所なので、JR福島駅から先は歩いて探さなければ行けませんが、のんびりと“ちいさんぽ”みたいにウロウロしようと思います。  まあ梅田の近くなので、分からなくなったら場所を聞き込みしていけばなんとかなるでしょう。お昼もあのへんで探そうと思います。美術館に行くのも久しぶりです。学生時代は絵を見るためにニューヨークまで出かけていき、メトロポリタン美術館や近代美術館で一週間過ごしました。
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 長期休暇が取れたら、もう一度行ってみたい場所です。ゴッホルノワール、モネ、レンブラントピカソゴーギャン、ダリ、デ・キリコなどの絵画は生で見たほうが迫力があります。奈良からなので、大阪駅手前の福島駅に着くまでは一時間程度、快速電車に揺られなければなりませんが、座って行けるだけましなのかなあ。
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 奈良駅も改装されてしまい、どんどん無駄な公共工事の影響で昔の面影や趣が減ってきています。まあ、それはともかく福島駅に到着し、まずは目印になる浄正橋を探しました。しばらくすると堂島川を渡るとすぐに一見しただけでもそれとわかる建物が遠くに見えました。
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 地下三階に下りて、会場に入っていくと膨大なコレクションに囲まれました。特にゼラチン・シルバー・プリントによって撮影された写真群はどれも艶めかしく、質感が繊細であるのに被写体の命がこもっているようでした。  モデルには超のつく有名人が数多く、イヴ・モンタンヘミングウェイピカソ、ダリ、キキ・ド・モンパルナス、イサム・ノグチジャン・コクトー、エルンスト、ブルトン、ストラビンスキー、エヴァ・ガードナーポーレット・ゴダードヘンリー・ミラーエリック・サティ錚々たる顔ぶれを撮った写真が並べられていました。 <尊敬する芸術家の一人 ジャン・コクトー >
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<もっとも驚くべき前衛芸術家にして成功者 パブロ・ピカソ >
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 彼は写真だけではなく、エッチングリトグラフなどの版画や絵画、そして映画にも才能を発揮していたので今回の展示では彼の集大成を見ることが出来ます。また僕にとっては今回最大のサプライズだったのが映画で、彼の監督した代表的な作品である『ひとで』『理性への回帰』『エマク・バキア』『さいころ城の秘密』が巨大なスクリーンで繰り返し上映されていたのです。  国立国際美術館サイトでのマン・レイ展についての記載でも写真や版画のことを主に紹介していて、映画をまるでなかったかのように無視していたので、展示されていないのだと思っていたので、とても嬉しくなりました。
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 以下は簡単な感想になります。 『ひとで』 数年前に書きましたので今回は省略します。ただし大きなスクリーンではじめて観る『ひとで』は美しく、そしてグロテスクな艶かしい動きを見せてくれます。
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『理性への回帰』…2分少々に過ぎない短編です。フィルム上に釘や砂を撒き、それを感光させてフィルムに焼き付けるという手法を使っています。激しく明滅するので、目がチカチカします。ほとんどがこういった意味不明の映像が続き、最後にキキ・ド・モンパルナスの裸体が映し出されて終わる。理性というのは本能が基礎なのだろうか。
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『エマク・バキア』…20分程度の作品です。今回上映されたなかではもっとも理解しづらいかもしれません。また固定にしろ、移動にしろ、とにかくブレがひどく、大画面で観ていると気分が悪くなる方も出てくるでしょう。『理性への回帰』や『さいころ城の秘密』にも出てくるイメージや彼の制作した造形物がここに頻繁に現れます。  彼はイメージで楽しんでいるだけなのか、それともストーリーと一体とならねば成立できない商業映画へのアンチテーゼを提起しているのだろうか。 『さいころ城の秘密』…20分くらいだったかなあ。『エマク・バキア』を経験した後に始まる。ストーリー性があるので、随分と分かり易く思えます。ここで印象的なカットがありました。それは場所が室内プールで(天井からブランコが吊られていて、こりゃブルジョア的だなあなどと思いながら観ていました。)、底には人影が映し出されていて、その影は移動していく。
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 水面はきらきらと光が反射し、人が飛び込むと水しぶきが立ち上がり、波紋を広げていく。人影と水面の間にはゆらゆらした様子が見え、たしかに水の層が存在しているのを感じるでしょう。不思議な雰囲気に満ちた作品で、奇妙な魅力を持っています。  字幕付きのものはなかなか見ることが難しいので、一見の価値はあります。ただすべてがサイレント作品なので、全部観ると40分以上を無音の空間で過ごさねばいけませんので、ご注意ください。  実際、ぼくが行った時はぼく一人しか観客がいませんでした。『さいころ城の秘密』から観始めて、『エマク・バキア』まですべてを観てから出て行きましたが、中にはぼくより後に来て、ぼくよりも随分先に出て行く人ばかりでした。ドラマチックなものでも期待していたんでしょうか。
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 残念だったのはマルセル・デシャンとの共作だったためか、『アネミック・シネマ』が上映されなかったことくらいでした。大画面であの回転運動を観たら、どうなっていたのだろうとか、フランス語の難解な文字をどう日本語訳するのかを楽しめたことでしょう。  映画のことはこのくらいにしておきます。
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 さあ、見終わるとまだ展覧会を半分しか見ていないことに気付きました。いよいよ後半へ移っていきますが、40分間の集中でかなりへばっているでしょうが、気を取り直し、カラーに変わっていく晩年の作品まで一気に見ていきましょう。  全部見終わるとお買い物コーナーがあり、さまざまなマン・レイのグッズが所狭しと並べられている。スカーフ、トートバッグ、カレンダー、ポスター、ポストカード、Tシャツ、グラス、マグカップ、今回のパンフレット(分厚く、書籍と言ったほうが適当かも。)、ピンバッジ、ストラップなどなどマン・レイが生きていたら、おそらくひっくり返るであろう商品がたくさんありました。
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 ぼくはパンフレットとマグカップ、それとひとでプリントのTシャツを購入しました。ひとで柄がおしゃれかどうかは疑問ですが、あまりないプリントですので、迷わずに買いました。マグカップMOMAのものを思い出させるシンプルなカップだったので、ついつい買ってしまいました。秋の夜長にカフェオーレでも入れましょう。
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 この美術館にはイタリアン・レストランがありましたので、そのまま入っていきました。茄子とベーコンのパスタ、フィレ肉とポルチーニ茸のグリル、生ハムのサラダ、マカロンでサンドしたアイス、そしてエスプレッソがセットになったコースが出ていたので、それをいただきました。
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 値段が安い割にはボリュームがありますので、お試しください。帰りも堂島川を回遊している遊覧船を眺めながら、のんびりと駅まで歩きましたが、休みの日に初めての道を歩いていると時間がゆったりと流れていくように思えます。行くときは結構どんよりと曇っていましたが、帰り際には良く晴れていて、お昼休みのOLさんやサラリーマンがのんびりと会話しています。水面がキラキラ光り、川の匂いにどこか潮のかおりが混じっていて、いつか行った海を思い出していました。
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 帰りは大阪まで歩き、電車に乗って家に戻りました。またあの美術館に行きたいなあ。
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