良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ギニーピッグ 悪魔の実験』(1985)悪名高いシリーズの第一作目。陰惨な映像です…。

 もう20年以上も前になりますが、幼女連続殺人で世を騒がせた宮崎勤が逮捕される前までは普通に大手レンタル屋さんのホラー・コーナーに並んでいた、悪名高いギニーピッグ・シリーズの第一作品目になるのが『ギニーピッグ 悪魔の実験』です。  ストーリーなどは何ひとつなく、その内容はただただ拉致監禁した女性(お世辞にもキレイとは言えない。それが妙にリアルでもある。)を虐待し続けるだけの気分が悪くなる悪趣味な映像です。  80年代後半のバブル時代にはそれまでなかったレンタル・ビデオが街のあちこちに出店され、各店舗は客寄せのキラー・コンテンツとしてアダルト・ビデオとホラー映画に目をつけました。
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 レンタル出現まではポルノを見たいと思う人はにっかつロマンポルノなどの成人向け映画を観に行くか、バカ高い販売用ビデオを購入するしかありませんでした。それがレンタルが出店されたことで誰とも顔を合わさずに自宅で見ることが出来るようになり、延滞料金による課金とともにレンタル店での稼ぎ頭となりました。  またスプラッター映画も悪趣味であるためになかなか観に行くのが難しかった訳ですが、これも一人で見たり、カップルで借りてきたり出来るようになったので、要求はどんどんエスカレートし、より過激な作品が望まれるようになりました。  これは分類上ホラー映画に括られていますが、怖いものを見せようという気概とアイデアをあまり感じません。捕らえた彼女を縛って動けないようにして、イスをひたすら回転させたり(安っぽい芸人のバラエティか?)、五円玉を大量に詰め込んだ麻袋で彼女を罵倒し、殴打し続ける。単純です。
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 暴力は徐々にエスカレートしていく。何時間も鼓膜が破れるほど大音量のノイズを泡を吹くまで聴かせ続け、煮え立った油を体中に注ぎ、火傷でケロイド化した皮膚に蛆をばらまき、腐った臓物を彼女の体や周りにぶちまける。そしてついにアイス・ピックを取り出し、こめかみに突き刺し、内側から黒目まで貫通させる。  本当に殺伐とした映像のオン・パレードで寒々しい。残虐さでは次回作にして最大の問題作である『ギニーピッグ2 血肉の華』には遠く及ばないものの、人間性の欠如ややることの陰険さや悪質さという意味ではこちらの方が上回っている。  ただしあまりにも実際の内容が語られずに、事件などのためにセンセーショナルな話題性ばかりが一人歩きしている感がある。しかしながら、言葉で書くとどんな凄い映像だったのかと思う方がいるかもしれませんが、『SAW』などを見慣れた目で見たら、この作品には悪趣味満載ではありますが、最後の眼球突き刺し以外ではそれほどスゴい残虐描写はないし、殴るシーンも演技が下手で、見ていても真実味がなく、明らかにフェイクだと伝えねばならない。
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 このシリーズを実際に見た者の感想となります。だからこそ言えることですが、映像自体はこの作品『ギニーピッグ 悪魔の実験』と次回作『ギニービッグ2 血肉の華』以外はそれほどの残虐性はないことを書いておきたい。つまりいつまでも封印される必要性など何もないということです。  残虐映画としては伝説的な『スナッフ』と同じように、特撮映像がもはや賞味期限を過ぎている。『ギニーピッグ 悪魔の実験』ではラストの眼球突き刺しシーン以外は現在のホラー映画マニアを納得させる説得力がなくなってしまっている。  もちろん古典としてはさきほど書きました眼球突き刺しシーンなど当時の特撮技術のレベルの高さは味わえるし、しかも低予算のなかで、アイデア一発で作り得たホラーの古き良き時代だったのは間違いない。
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 バブルの頃のお金が有り余っていた、なんでもありだったビデオ時代の徒花であり、悪趣味なアイデアの極北となったのが次作の『ギニーピッグ2 血肉の華』なのでしょう。  個人的には第二作品目の『ギニーピッグ2 血肉の華』が一番気味が悪く怖かったし、残虐シーンを支えた特撮技術のレベルもずば抜けていたと思います。理解不能ではありますが、製作者の鮮血の美学も確かに存在する。  まあ、この『ギニーピッグ 悪魔の実験』も高校一年生の夏にみんなで見て、気持ち悪いなあという印象でした。なんだかんだ言いながら、ギニーピッグ・シリーズは全部見ました。唯一見ていなかった『ラッキー・スカイ・ダイアモンド』を先日手に入れましたので、また記事にしてみようという感じです。  さっき見ましたが、一番気持ち悪いかも…。 総合評価 12点