『ハリーポッターと死の秘宝 PART2』(2011)初3D!10年に渡った物語もいよいよ最終話。
なんやかんや言いながら、今年も月2本ペースで映画館に通い、新作を観ています。7月は『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 』『コクリコ坂から』を観に行きました。
観に行ったのは平日の朝からの回だったので、夏休みとはいえ、さすがに人数も少ないのかと思いきや、チケット売場には大量のガキどもがワァーワァー言いながら騒いでいました。
ヤツらがこれほどのテンションで騒いでいるのはもちろんハリポタでもジブリでもなく、ポケモンでした。ワーナー・マイカルのポップ・コーンの容器もポケモン仕様になっていました。
夏休みだから仕方ないか。まあ、シネコンなので各スクリーンに散っていけば、ガキどもからは離れられるので問題はありません。客の割合はほとんどが社会人でしたので、イタいバカさえいなければ、楽しく観ていられるかもしれません。
微妙な作品が何本かありましたが、ダーク・ファンタジー路線になってからは概ねレベルが上がってきていた本シリーズは最後の『ハリー・ポッターと死の秘宝』が2部作に分かれ、昨年末には3Dがクリスマス公開に間に合わないという大失態があったものの第一部が公開されました。
最終章への繋ぎとなる作品でしたので地味さは如何ともし難く、盛り上がりには欠けましたという声が多かったようでしたが、個人的には最終章に向かう静かな前編としての丁寧な作り込みには好感が持てました。
そしてついに十年間ぼくらをあるときは失望させ、あるときは楽しませてくれたハリポタが最終章を迎えてしまいました。出来が良かろうと悪かろうとシリーズのお葬式に立ち会おうと思って劇場に行きましたので、映画シリーズ中では最高の出来映えに嬉しくなりました。
過去作品を観てきた人には嬉しいラスト・シークエンスはファンへの贈り物だったのでしょう。ダンブルトンとスネイプの名前を持つことになるハリー・ポッターの息子が出てきますが、彼に何故この名前がつくことになったかというエピソードも語られます。
ドラコとの和解もあり、ファンには嬉しいことだらけです。かなりの時間を費やして、ようやく辿り着いただけあって、さすがに3Dもしっかりと作り込まれていて、他作品にありがちだった付け焼き刃的な映像もなく、丁寧な出来映えでした。
ヴォルデモートが抹殺されたときに真っ黒な煤がひらひらと舞い落ちるようになるシーンがあり、そこも3Dなのですが、残念ながら焼却炉でゴミを焼いたのが舞い上がっているようにしか見えない。演出上の好みなのでなんともいえませんが、もうちょっとドラマチックな死に様でも良かったのではないかという感想です。
見所となるCGと3Dの部分、いわゆる特撮の出来が良く、銀行の地下金庫の“番ドラゴン?”として捕らえられていたドラゴンが銀行の天井を突き破るシーンは印象的でした。
パート1ではメイン・キャラクターたちがお互いに持つ感情を整理するように彼らの立場を多く描いていましたが、パート2では全編通して、ハリーとヴォルデモートの秘話や対決に焦点が当てられる関係上、他のメイン・キャラクターであるエマ・ワトソンらの登場シーンや感情描写は必要最小限に抑えられているように思えました。
最終回ということもあり、古くからのファンには物足りなく思えるでしょうが、2時間という上映時間の制約のもとではどこを膨らませて、どこを割愛するかは重要なので、このバランスでちょうど良かったのではないでしょうか。
不満だった点がふたつあり、ひとつは毎度のことながら中身がないパンフレットで、もうひとつは体感10分以上の長すぎるエンド・クレジットとスタッフ・ロールでした。
あれだけ長いこと流すからにはサプライズのシーンが用意されているのかと期待しましたが、結局何もなく、ただ時間が経過していっただけでした。
パンフレットに関しては原作者、監督、そしてダニエル・ラドクリフやエマ・ワトソンらをはじめとするインタビューなどを掲載して欲しかったので、キャラクター・グッズの通販紹介ばかりだったのにはガッカリしてしまいました。
何はともあれ、大過なく10年近くを演じ切った俳優陣やスタッフさんたちにねぎらいの拍手を贈るべきでしょう。可愛い少年だったダニエル君がヒゲ剃りあとが青々した青年となり、おしゃまさんだったエマ・ワトソンが綺麗な娘さんになったのは感慨深い。
最後の最後でハリーポッター・シリーズの映画化作品中で最も出来が良かったのは幸運でした。一時期は本当にどんな風に変化してしまうのだろうかと心配しながら毎回観に行っていましたので、観終わった時にはホッとしました。熱心なファンの人たちも納得して出てこれたのではないでしょうか。
総合評価 80点