良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『相棒-劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜』(2010)相棒と理解者を失った今後は?

 テレビ朝日の看板ドラマ・シリーズのひとつに水谷豊主演の『相棒』があります。2000年と2001年にパイロット版的な単発ドラマが3本製作されたあと、2002年に本格的にシーズン1がスタートしてから、すでに10年以上が経っています。  『相棒』というタイトルが表す通り、いわゆるバディ物の刑事ドラマです。主演を務める水谷豊が迎える最初の相棒役(これまでに6人が一週間も持たずに辞職している。)は寺脇康文でプレ・シーズン以降、シーズン7の途中までという長期に渡って、ドラマ・シリーズを支えました。
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 その後、及川光博が二代目を3シーズンほど務めましたが、不評だったのか、それともタイプが被るためか、次回シーズンからは成宮寛貴が水谷の相棒として迎えられるそうです。  個人的には水谷と正反対の背が高く、動的で筋肉主体の体育会系キャラクターの寺脇康文が出ていた頃までのほうが凸凹コンビの見た目と性格の対比の妙を味わえて、見ていて楽しいシリーズでした。
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 及川は陰の印象が強く、水谷もこのシリーズでは冷静で緻密な杉下右京を演じているので、キャラクターが被っているきらいがあり、2人で詰め将棋のように犯人を追い込んでいく様は陰湿にも思えることが何度もありました。  それはともかく、このシリーズの特徴はこれまでの刑事ドラマではほぼ毎回のお約束のように必ず挿入されていた全力疾走での犯人追跡、無意味で過剰な発砲、取り調べ室での暴力が影を潜めています。
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 もちろん、当たり前のことですが、全員が公務員ですのでアウトロー的な色彩が皆無で、もちろん殉職などあるわけもなく、ほとんどすべての警察官は保身が第一かつ打算的で、ことなかれ主義の官僚ばかりが描かれています。  主人公である水谷の設定も、ティー・タイムとチェスや芸能を愛する趣味人であり、窓際族の特命係の係長待遇です。部下もいたりいなかったりで、しかも懲罰的に送られてくる者のみです。
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 警察官が主役で彼らの活躍を描いているにもかかわらず、警察組織を美化せずに、警視庁に対しても敵意剥き出し、かつ皮肉たっぷりに恥部や腐敗を暴いていきます。活躍すればするほど忌み嫌われるという理不尽な仕打ちを受け続けるのが水谷豊演じる杉浦右京であり、彼を支える部下(相棒)が寺脇康文でした。  テレビ・シリーズの脚本は毎回よく練られており、様々な登場人物やエピソードがリンクしてくることも多く、シーズン1から見続けている視聴者はより物語世界を楽しめるように作られています。
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 あるエピソードでは味方だった人物が数年後のエピソードでは敵に回ったり、反対に彼らを手助けしたり、逮捕に至ることもある。過去には上手く逃げられてしまった犯人がひょんなことから逮捕されたりするのは見ていて、ご都合主義かもしれませんが、けっこう楽しい。  こういう構成がファンには堪らないので、より深くハマってしまい、フリークになっていくのでしょう。冷静な水谷はチェスを楽しむように、犯人をスタイリッシュに追い込んでいきます。
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 この粘着質な姿勢を好きになれるか、それとも受け入れられないかで、シリーズにハマっていくかどうかが決まりそうでもある。『刑事コロンボ』が好きな人なら、このシリーズを受け入れてくれるかもしれません。  脇役の魅力がこのシリーズを支えているのも確かで、初代相棒を務めた寺脇康文はいうまでもなく、岸部一徳(官房長)、片桐竜次刑事部部長)、小野了(補佐官)、神保悟志(監察官)らが要所に登場する。
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 警視庁内での会話シーンや捜査現場では山西淳(組対五課課長)、捜査一課トリオ(川原和久、三浦亮介、山中崇史で、スリーアミーゴスみたい!)、六角精児(鑑識役でスピンオフ映画まであり。)が常に登場し、彼らの周りでは鈴木砂羽益戸育江(高樹沙耶)、生瀬勝久津川雅彦長門裕之木村佳乃古谷一行らが物語世界をより深めてくれています。  また毎回登場してくるゲスト出演者も岸恵子高橋恵子、葉月玲於奈、泉谷しげるなど豪華で、みな犯人やカギを握る訳ありの証人などの悪役を楽しそうに演じています。
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 ただ十年以上に渡ってオンエアされている人気シリーズなだけに長門のように鬼籍に入ってしまった方、生瀬や岸部(劇場版で死亡。)のように劇中にて死亡してしまったキャラクター、寺脇のように警察を退職し海外に活路を見いだすキャラクターも増えてきています。  ドラマ・シリーズをさらに更新していく為にも、今後の課題としては彼らのようにかつてファンに愛されたキャラクターをどれだけ生み出せるかにかかっています。津川雅彦木村佳乃らがこれからのキー・パーソンになるのでしょうが、かれらは愛されるという括りではないので、共感できるキャラクターを生み出すのが肝要になる。
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 なかでも生瀬や岸部を死なせたのは失敗で、生瀬は生かせておいて、『羊たちの沈黙』のレクター教授のような使い方をしても良かったのではないだろうか。  DVDレンタルは常に人気のロングセラーで、TSUTAYAでもたいがい各シーズンの最初と最後の巻が貸し出されていることが多く、なかなか最初に手を出すタイミングに苦労します。
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 現在はCSテレ朝チャンネルでシーズン1、2、5、6が繰返し放送されています。また地上波でも夕方によく再放映されているので、ついつい見てしまいます。  ただ残念ながら、このシリーズにも封印エピソードが存在し、シーズン3の第7話『夢を喰う女』が欠番扱いになっています。あくまでもフィクションなのですから、利害関係者もクレーマー化せずに、大きく構えていてほしい。
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 『ガキ帝国 悪たれ戦争』もモスバーガーのクレームにより、ずっと封印が続いている作品ですが、大企業がいつまでも、コセコセした対応など止めて、いい加減に太っ腹なところを見せてほしい。ファーストフードは全国的に大量のメタボの太っ腹を産み出したのだから、お返しに太っ腹な快諾を与えるべきでしょう。  音楽も注目すべきで、ベートーベンやモーツァルトなどクラシックの音源が毎回のように使用されており、今回はどのような音楽が使われているかが楽しみにもなっています。  映画そのものは第一弾に比べるとより“相棒”の世界観を踏襲しており、ドラマのファンには分かりやすくなっている。反面、ドラマ・シリーズを普段から見ていないと作品世界に没頭できないので、敷居は高い。 総合評価 60点
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