良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『アナと雪の女王』(2014)主題歌も大ヒットしているディズニー映画。松たか子熱唱!

 日本語吹き替え版を担当した松たか子の歌唱力への評価がかなり高い(彼女って、若い頃にCD『明日、春が来たら』で紅白も出していましたし、かなりヒットしていた記憶があります。)と動画サイトで話題になっているのは聞いてはいます。  それでも何だかんだ言ってもオリジナル版こそが最良だと考え、会社から近い映画館での夕方からの字幕版の回を選びました。  この作品に関しては話題になっているけど、「これ以上ディズニーに金儲けさせるのはイヤだから、映画館には行かない(笑)」と断言している人もいて笑ってしまいました。
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 最近よく一緒に遊ぶようになった会社の女の子がいて、ふたりで鍋をつつきに行ったり、お花見に出掛けたりしています。先日も休み時間に映画の話になり、これが観たいと言い出しましたので本日は早目に仕事を切り上げて劇場に向かいました。  会社から近い映画館の辺りにはあまり美味しいものがありません。この前、お花見の帰りに中華を食べたばかりだったので、「今日はケンタッキーで良いよ。」ということになり、始まる前にチキンを食べることになりましたが、そんなにお腹が空いているわけではなかったので、定番二種と新味を一つずつ注文を済ませました。  すると定番の骨付きを選んだ彼女は食べてから、残る新味のほうにもかぶり付きました。しかし半分食べ残したので、「美味しくなかったの!?」と尋ねると「美味しいから、半分残しといたの。」とのことで、残りを食べました。
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 チキンを食べ終わると残りはコーヒーだけなので、上映時間まではおしゃべりしていました。女の子なので、ひたすらしゃべり続けています。話を聞くのは好きな方なので、ニコニコしながら聞いていますが、2時間くらいひとりでしゃべっていることもあるので、時々「よお、しゃべりはるなあ~」と心で思うこともあります。  まあ、機嫌良く話しているのですから、これで良いのでしょう。二十代の頃は自分の意見を必ず言いましたが、モメるだけなので最近は聞き役に徹するようになっています。  さて本編が始まりましたが、見所は映像の美しさと歌なのでしょうか。大ヒットしているとのことでしたが、はたしてその理由は何だろう。
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 ディズニー全盛期の『白雪姫』『不思議の国のアリス』『ダンボ』『バンビ』『ピノキオ』などで育ち、最近では『トイストーリー』が好きだったぼくら口うるさい世代が観ても、十分に納得できる内容だろうか。  それとも公開が春休みに重なり、他に有力な作品がなかったから動員に恵まれただけなのだろうか。どっちだろう。まあ、デート用ムービーとして選んだディズニー映画なので安全パイには違いない。  映像の美しさはさすがのディズニーで、最高技術のCGアニメの良さを見せてくれます。劇場の大画面でも粗が見えない精巧さと圧倒的な迫力を体感するとじっさいに映画館まで通って、スクリーンに臨む楽しさを改めて実感します。豊かな表情もじつによく出来ていて、しっかりとお金と技術を使えば、高レベルな作品が仕上がるという良い見本です。
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 カメラワークの巧みさと工夫、3Dを意識した構図(ぼくが観たのは2D。)と演出(たぶんここで画面が迫ってくるのだろうなとかがよく分かります。)、ストーリー展開の盛り上がりの山と谷とを際立たせる歌唱力抜群のミュージカルシークエンスなど見ている者を飽きさせない工夫が随所になされている。  姉と妹の性格の違いや葛藤が昔の作品に比べると物足りないながらも描かれているのは最近のディズニー映画の中では好ましい傾向ではないか。大甘ガムシロップのような描き方では納得は出来ません。  感情の発露を氷の鋭さや勢いで表現しているのは斬新です。キャラクター設定が雪女とヒエヒエの実の能力者、自分の城に引き籠るお姫様などいろいろな物語の要素を少しずつつまみ食いしたような感じです。
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 なんといっても前半のクライマックスであるイディナ・メンゼルのシャウトが圧倒的な魅力を放つ『レット・イット・ゴー』はテンションが上がります。ただ山場がどうしてもこの曲になってしまうので、観客の立場からするとこの歌が終わった段階で気持ちがいったん切れてしまうのが問題点かもしれません。クリステン・ベルが演じた主役のアナもしっかりと人間として描かれているので素晴らしい。  しかしながら、最大の問題点は別のところにあります。まずは後半の展開があまりにも駆け足で進んでいってしまうので、落ち着きがなくなることでしょうか。  中盤、雪の宮殿から追い出されて、王国の宮殿で待っていた王子に裏切られて、なんとか逃げ出して、愛するトナカイのお兄ちゃん(ジョナサン・グロフ)に会おうとするものの、姉に刃を向けた王子の姿を見かけ、彼を封じるために身を呈してかばう彼女が氷の固まりになってしまうまでがダイジェストのようにバタバタと展開していきます。
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 またもうひとつの問題点は真実の愛が氷の魔力を溶かすと告げられ、じっさい何度も劇中で愛する相手からのキスが凍り付いた心を溶かすのだという前振りが繰り返される。  ラブ・ストーリーも並行して描かれていたのに、氷の固まりになってしまったアナを溶かすのはトナカイのお兄ちゃんのキスではなく、姉のハグというのは盛り上がりに欠けてしまいます。  まあ、この映画の教訓としては優しく近寄ってくるイケメンナンパ師には気をつけなよという現実をやんわりと夢ばかり見ている女子たちに伝えることでしょうか。
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 エンドロールが流れてから終わるまでが異常に長く感じましたが、その間に今見たことを頭の中で整理して、感想を相手に伝えなよという気遣いだろうか。  この映画は観に行った方はご存じでしょうが、二部構成になっていて、『アナと雪の女王』の本編が上映される前にミッキーマウスが登場するモノクロ短編が流れます。
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 モノクロ映画のなかにいるキャラクターたちが画面を飛び越えてカラーの世界、つまりぼくらの世界に飛び込んできます。3D鑑賞ならば、よりキャラクターたちがぼくらと一緒の世界にいるのだと感じさせてくれるでしょう。  ディズニーらしい楽しさを存分に味わえます。これらの繋ぎとして『蒸気船ウィリー』のカットが挿入されるのも嬉しい。ちなみにオリジナルタイトルは『FROZEN』という色気も何もないシンプルさでまるで冷凍食品の表示でもみる思いでした。 総合評価 75点