良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『猛獣大脱走』(1983)昔はよくテレビで放送されていましたが、今なら無理かなあ。

 中学生時代、普通は平日のお昼頃や深夜の時間帯には多くの真面目な人たちは働いていたり、勉強していたり、明日また頑張る鋭気を養うためにイレブンPMなどには目もくれずに布団に入っていました。  しかし、皆がそうしているはずもなく、学校を早退したり、ズル休みをすることに罪悪感を持っていなかったぼくはしょっちゅう見たい映画番組を新聞で探してはお腹やあたまが痛くなったことにして、速攻で家に帰り、チャンネルを東京12チャンネルローカル局に合わせる日々が高校まで続いていました。
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 また働き出してから20年以上も経った今ごろになって考えると異様に長い一ヶ月半もの夏休みや二週間くらいの春休みや冬休みには朝から晩までこたつに入りながら、暑いときには扇風機を独占して、映画を見続けていました。  そんな時間帯にやっていた作品にはいわゆる名作などはまったくなく、題名も俳優の名前も聞いたこともない、見ても記憶に残らない作品が大半を占めていました。
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 じっさい小学四年生くらいから12チャンネルをヘビロテで見ていましたので結構な数量の映画を見ているはずなのですが、ほとんど記憶に残っていません。断片的にワンシーンを覚えていたりしますが、タイトルなど不明なものばかりです。  たぶん二度と見る機会はないでしょうし、別に見たいとも思わない。それでも1960~1980年代前半までの作品はビデオ時代になると、ほとんどクズとしか思えないような変な映画でもあちこちでリリースされていました。
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 そんなビデオの解説をボオーッとしながら眺めていると、なんだか見たことあるような、ないような記憶があったりして、レンタルして家に借りてきて確認すると、大昔に見た12チャン映画やゴールデン洋画劇場だったりすることが多く、妙な感動がありました。  最近ビデオで見たので再び見たいなあと思っているのは『序曲 13日の金曜日』『恐怖の火炙り』『シュロック』『アリス・スイート・アリス』『マチネー』『猛獣大脱走』などです。これらが今、DVD化されているのかはまったく知りませんが、たぶん出ていないでしょう。
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 今回、記事にしようと思ったのは『猛獣大脱走』です。これがなんとDVD化されていたのでびっくりしました。イタリア映画ですが、キャストは英語をしゃべります。お話しは原因が不明(誰でもすぐに解ります。)ながら、突如として動物園の猛獣たちが凶暴化して、檻を脱け出して人間たちを容赦なく殺戮していきます。  B級映画ではありますが、あちこちに動物全部が檻を抜け出せる理由、みなが狂っていく理由などが場面構成やカメラワークで理解できるように制作されているので、見やすい。
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 イタリア映画らしく、残酷映画らしい血みどろ描写が満載で、猛獣たちに実際に家畜の牛や豚たちを噛み殺させるように檻に放って、それらの殺戮シーンを撮影するのは今ではとても許可が下りないでしょう。  ネズミの大群(ベンかよ!!)がカー・セックスを楽しむカップル(もちろん、オッパイあり。なぜか逃げずに食われるままに絶命する。)を襲撃し、おとなしかった盲導犬が狂犬(今度はスティーブン・キングのクジョー!!)となって飼い主を噛み殺してしまうという盲導犬の協会が見たら、怒り心頭に達するシーンもあります。
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 ネズミのシーンで凄まじいのは奴らがカップルを襲った後、退治するために人間たちが取った行動はバーナーで皆殺しにするという荒業で実際に火だるまになったネズミたちが次々に猛火に包まれていきます。臭かったでしょうね。  狂暴化したアフリカ象の群れは動物園の扉を押し倒し、自由を手に入れた後は空港に突入して、逃げようとした旅客機が大炎上するが象たちはみな無事で徘徊し続けます。
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 クルマに乗っているが、チーターに追い掛けられたネエチャンはパニック状態に陥り、正面衝突で他人を巻き添えにして殺害する。チーターに追跡を受けたネエチャンの車のバックミラーには涼しい顔で追いかけてくるチーターの精悍なハンターの顔が写っている。  車で逃げても駄目ならば、残っているのは体力が落ちるまで走り続けるか、あきらめて死を待つしかない。チーターのダッシュって、50メートルだかそこらだったと記憶していましたので、次の信号まで走っていれば逃げ切れたのではないかと子供心に思いました。
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 まだまだ終わらず、動物園の職員たちのほとんどは豹やライオンなど肉食獣の餌と化す。のんびり脱け出してきたシロクマはダンス教室を襲い、ヒロインの子供たちを追い詰めていく。時間が経過していくと徐々に動物たちがおとなしくなっていきます。  原因は水道に麻薬成分が流れ込み、これがもとで飲んだ動物たちが凶暴化してしまったとのことでした。飲んだ動物たちには人間の子供たちも含まれていて、凶暴化したガキどもは『ザ・チャイルド』のように用務員のオバサンをメッタ刺しにしてしまう。
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 こりゃかなりエグいなあ。完全に目がラリっていて、某有名ミュージシャンもこんな感じだったのかなあと思い巡らしていました。今では表現の自由が認められないようなシーンがあちこちにあります。  ヒロインの娘役の女の子のヌードがあったり、子供が大人を刺し殺すシーンではモロに突き刺さる瞬間をスローモーションを入れたり、亡骸のそばで無邪気に遊ぶ少女をカメラが捉えてりと悪趣味甚だしい。
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 また『グレート・ハンティング』のように人間を餌として食べ尽す野獣たちのお食事シーンをふんだんに入れてきます。もちろん、彼らのお口は血だらけになっています。  ある意味、トラウマ映画になってもおかしくないほどの衝撃的な映像が多々あります。こんなのがよくDVD化されたものだと妙な感慨があります。DVD版は未見ですが、ビデオ版との違いはあるのだろうか。
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総合評価 70点