良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『フクチャンの潜水艦』(1944)懐かしのフクちゃんがアラクマさんと一緒に米軍と交戦!?

 先日、記事にした『桃太郎 海の神兵』と同じく戦争末期の1944年に戦意高揚映画として人気キャラクターのフクちゃんを主役(アラクマさんやキヨちゃんもいたのでビックリ?)に起用して製作されたのがこの『フクチャンの潜水艦』です。  フクちゃんではなく、フクチャンと表記されているのは何故なのか。フクちゃんと表記されているのが当たり前だと思っていましたが、戦中はフクチャンだったのでしょうか。
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 4コマ漫画時代にはセリフが全部カタカナだったそうなのでその影響かもしれませんが、なんとも言えません。  ちなみにぼくが知っている『フクちゃん』は昭和50年代後半(1982~1984)に放送されていたテレビアニメでした。もちろんフクちゃんは軍人さんではなく、大学帽をかぶり、下駄をはいて短髪に刈り込んだ小さな子供でした。
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 僕が通っていた学校にも用務員さんがいましたが、その方がアラクマさんにそっくりだったので、当然あだ名はアラクマさんでした。音楽が印象的で、オープニング曲よりもエンディングに流れていた『明日天気にな~れ』の方をよく覚えています。  ふ~く ふく フクちゃん  ふ~く フクちゃん  スベって 転んで  立ち上がる  ゲタゲタ笑おう  モリモリ笑おう  明日天気にな~れ  この歌を唄っていたのはなつかしのこおろぎ’73です。作曲も小林亜星と両方とも昔よく見た名前です。こおろぎ’73って、子供向け番組にも出ていましたし、お弁当箱の歌もあって、「これっくらいのお弁当箱に~♪おにぎり おにぎり ちょいと詰めて~♪」みたいな感じの歌詞のインパクトが未だに忘れられません。筋の入ったふきの佃煮を食べたくなり、母親に買ってきてくれるよう頼んだ思い出があります。
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 今回はベラデンさんからのご紹介で「まだまだスゴイのがある。」とのことでしたので、動画サイトを探して、すぐに再生しました。上映時間は約30分間以上ありますので、物資が不足していた状況下ではかなりの気合いが入った長編アニメだと言えます。  仕事ぶりは丁寧で、『桃太郎 海の神兵』と同じく武器の扱いを懇切丁寧にディティールを大切に描いています。戦闘シークエンスでも機関銃を撃つにも角度調整をしていたり、急速潜航するにしてもハッチを閉めるときに水が浸水してきたり、何といっても攻撃を受けた場所を修復するシーンまであるのです。  しかも板っ子一枚下は地獄なので、機材を落とすことなど厳禁のためか、すべてケーブル(当時は何だったんでしょうか。)で繋げられています。また武器弾薬や食料などが尽きかけると輸送艦からの補給を受けます。
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 敵地深く潜行しているため、輸送船団も擬装して島で待機しています。しかもクレーンなどないので避難訓練のときに上から降りる布の筒みたいなやつで物資を輸送艦から潜水艦に運んでいたりしますので、見た方はリアルな描写に驚かされることでしょう。  映像ももちろん凝っていて、軍艦が突進してくる後ろの海面では水飛沫が立っていますし、上空には黒煙が吹き上がる様が同時に表現されています。  たぶんロサンゼルスと思われるアメリカ本土までたった一隻の潜水艦で殴り込みを掛けるのは宇宙戦艦ヤマトのようでもあり、『沈黙の艦隊』なども影響を受けているのではないでしょうか。
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 挿入歌として古川ロッパの『潜水艦の台所』が歌われます。これがかなり楽しく、主題歌よりもこちらの方がインパクトが強い。途中でカルピスらしきものが見えますが、気のせいだったのでしょうか。  ストーリー展開としては機雷や網を潜り抜け、たった一隻で空母を主力とする敵艦隊を大苦戦の末に撃ち破り、意気揚々と富士山まで帰ってくるというかなり強引な持って行き方ですが、このようなストーリ構成は敗色濃厚な戦局に対してのかすかな希望だったのでしょうか。 総合評価 75点
古川ロッパ傑作集
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2010-01-16
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