良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『テッド2』(2015)第二弾公開!略すと“T2”!キーワードはロッキー3と黒チン!

 今週末、ついに『テッド』のまさかの続編『テッド2』の公開が始まりました。前回同様に今回も堂々のR15指定を受けているため、ガキどもは排除されています。  『TED 2』は略すると“T2”。ターミネーターみたいで、なんだか名作の予感がします。夏休み最後の日曜日ではありますが、あいにくの雨なので近所のイオンモールはチョロチョロ動き回るガキを連れた家族連れと生意気そうな中高生、そしてヒマそうな大学生だらけという地獄のような環境ではあります。
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 ただし有り難いことに前作と同じく、今回の“T2”もR15なのでちびっこのガキと中二病のガキを両方とも排除してくれているので、残るはバカなカップルのみです。  規制のありがたみを珍しく感謝しつつ、日曜日の朝のボンヤリした感覚(頭のなかではビートルズの『アイム・オンリー・スリーピング』が流れています。)で上映を待っています。  今回も80年代映画のパロディが散りばめられているのだろうか。映画館ロビーにはキャラクター商品が大量陳列されているので、それだけ人気があるのでしょう。
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 みてくれは可愛いが中身はただのエロオヤジなテディベアのテッドは今回はどんな騒動を引き起こすのだろう。予告編を見る限りはどうやらぬいぐるみのくせに結婚するみたいだが、話の展開をどうするのかに興味があります。  その前にテレビの地上波放送で宣伝を兼ねてオンエアされました(会社の女の子に聞いたら、今週金曜日の放送だそうだ。)が、第一作目を思い出してみると、ほとんどのシーンに出てくるのは変態・オタク・ストーカー・ジャンキーばかりです。
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 金曜日放送でしたので昨日録画しておいたものを見ましたが、毒々しいセリフやシーンはほぼカットされていて、楽しさの半分も伝えていませんでした。放送コードに耐えるという規制があるのは分かりますが、これほど編集のハサミを入れるのであれば、そもそも放送などしない方がましでしょう。  テレビ放送は置いといて、映画は台詞もほとんどがお下劣で卑猥な四文字言葉ばかりなので、どうやって訳していくのだろうか。ノリが大事なお話なのに、奇妙な超訳と日本テイストなギャグを当てるとまったく笑えなくなってしまう。
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 今回もまずは字幕が気になってしまいます。最近、『進撃の巨人』の脚本で大いに評価を下げた町山智浩がどんな字幕を当てるのかにも興味があります。  映画館のロビーではテッドのグッズが所せましと並べられています。なんだか違う方向に向かっているようだが、マクファーレンにしたら、何でも良いからお金さえ入れば何にも気にはしないはずです。  女子供に愛される、ちょっとヤンチャなテディベアに成り下がるのか、それともジャンキー&風俗大好きなままのエロオヤジで居続けるのかにも興味があります。そこそこ過激なセリフをかます程度でお茶を濁すのか、人種差別や宗教対立までをも笑いにしてしまうやり過ぎるエロ熊でいてくれるのか。
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 テレビ放映用にバッサリ編集しやすいようにしてあったならば最低ですので、もしそんな腑抜けなテディベアになっていたら、ブーイングを浴びせたい。  さて今回もひたすらマリファナを吸いまくり、パーティに出掛ければ、コカインをキメるわれらがヒーローでいてくれるのだろうか。かなり期待値が上がってしまっているので気の毒ではありますが、映画館のスクリーンで彼の勇姿を確認したい。  金曜日公開なので、今日の日曜日は三日目です。夏休み最後の日曜日ではありますが、ガキどもがいない空間なのでゆったりと楽しめるのがR15の良いところです。あそこに毛が生えてから観に来やがれ!ってテッドなら言うのかな。
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 心配しながらスクリーンに向かうといきなりのハリウッド黄金時代のMGMミュージカル風のオープニングから始まったので、「おやおや。大丈夫かな?」と思いましたが、結婚式前日のクマの交尾シーン(AVのメタファーでしょう。)での男どものやり取り(あのメスだって、誰かの娘なんだぜ!よせよ。うるせー!)に大笑いし、物語が進むにつれて、全く心配は杞憂に終わりました。  セリフはさらに過激になり、危ない時事ネタが満載で、予想以上に楽しめました。下ネタはより汚く、よりお下劣になっています。今回のキーワードはBLACK COCK、つまり黒チン。最後の方では劇中でGoogleの検索画面を開くだけで吹き出します。テッドが子供を授かるために精液提供施設にマーク・ウォールバーグ(ジョン・ベネット)とともに出向きます。
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 が、当然のように悪ふざけをはじめ、精液を保管している棚をひっくり返し、マークは大量の精液にまみれてしまう。見ているだけでも「おえ~!」となる映像です。ウンコ絡みも健在で、養子に迎えるテッド・ジュニア(名前はアポロ・クリード・クラバー・ラング。誰のことか分かりますね?)がおむつにやらかすと、テッドはマークにウンコを投げつける。  映画やドラマネタが今回も満載で、『ロー&オーダー』『サタデー・ナイト・ライブ』『フラッシュ・ゴードン』『スター・トレック』『スターウォーズ』『心の旅』『96時間』『ルーツ』『グーニーズ』『ニンジャ・タートルズ』『トータル・リコール』『ゴジラ』『ビートル・ジュース』『ロード・オブ・ザ・リング』『ジュラシック・パーク』『ロッキー3』などが確認できました。もしかすると『レナードの朝』も加えて良いかも。  特に多かったのは前回に引き続き、『フラッシュ・ゴードン』『スター・トレック』『スターウォーズ』、そして『ロッキー3』でした。サム・ジョーンズは前回からレギュラーみたいですし、オープニングのナレーションは前作同様にパトリック・スチュワート(『スター・トレック』のピガート艦長、今の若い人に分かりやすく言うと『Xメン』のプロフェッサーX)でしたし、テッドたちの友人がコミコンで変装するのはトレッキーが喜ぶ格好です。ついでにテッドの着信音がどこか聞き覚えのある音楽だなと思い巡らせていると『ナイトライダー』のテーマだったことに気づき、ニヤリとする。
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 またタートルズに扮する前作のストーカー(ジョヴァンニ・リビシ)がテッドに危害を加えようとして、ワイアーを切るとエンタープライズ号がマークに襲い掛かる。  スターウォーズも負けてはいない。前述のコミコンに集結するマニア3人組の扮装がダース・ベイダー、ストーム・トゥルーパー、オビ=ワン・ケノービだったことにマークが「おい!上司(ベイダー)と部下(トゥルーパー)と敵側(オビ=ワン)はまずいだろう!」とちゃちゃを入れるシーンにはスターウォーズ・マニアなら爆笑できる。
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 ロッキーは今回重要なピースで20代の若手女弁護士に『ロッキー3』の敵役クラバー・ラング(ミスターT)についてクドクドと説明するシーンは笑ってしまいますし、子供にアポロ・クリードとつけてしまいます。  危ない時事ネタではスタンダップ・コメディ(お笑いの劇場みたいな感じ。)に出向き、芸人がどんなネタがイイかとお客に問いかけると
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テッド「911!」 芸人「楽しいのにしよう!」 テッド「ロビン・ウィリアムズ!」 芸人「生きている人にしよう!」 テッド「911ロビン・ウィリアムズ!」 芸人「他の人の意見を聞こう!」 テッド「シャルリ・エブド襲撃!」「警官の黒人射殺!」「ドイツ機墜落!」 芸人「悪魔がいるなあ。」
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芸人「じゃあ、スタバにしよう!」 芸人「スタバには誰がいる?」 テッド「ビル・コスビー」 (※ビルは睡眠薬を飲ませて複数女性をレイプした容疑が掛かっている。)  上記の通り、かなりデリケートな事案を扱っています。当たり障りがないモノを作り、すべての観客からそっぽを向かれる日本の映画界も見習ってほしいものです。韓国人の名前もネタにされていて、人種差別的ジョークもたくさんありますが、こういったジョークを笑えるか笑えないかが文明人がそうでないかの分かれ目なので、まだアメリカは懐が広いということでしょう。
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 作品自体は全編笑えますが、隠しテーマとしては前回のそれと同じく、マイノリティの人権であったり、デリケートな問題にどう向き合うのが正義なのかということでしょうか。また薬物乱用問題への意見もそっと述べられていて、薬物に頼り過ぎるといざ、正常な社会生活に戻ろうとして子供を持とうとしても、その頃には男性なら精子が出来なくなっているし、女性は卵巣がボロボロになり、とても妊娠など望めないよと語られる。  と真面目に語ったところで、今回も全編でテッド(セス・マクファーレン)・マーク・アマンダ・セイフライト(今回の弁護士役のヒロイン。)ら主要な登場人物たちはマリファナを吸いまくり、テッドがマリファナをキメて、レイ・チャールズの『メス・アラウンド』にノリノリの状態で自動車事故を起こし、道を外れ、片田舎の農場へ激突し、一夜を明かす下りでは『ジュラシック・パーク』のパロディを使い、広大な大麻畑で狂喜し、ペニス型パイプで大麻を吸う。
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 ストーリー構成は前作との類似点が多く、前作のストーカーに再度誘拐さるという展開には少し閉口しますが、ニール・ダイアモンドの『スイート・キャロライン』を歌われるとついつい反応してしまうボストンっ子(レッド・ソックスのファン)のテッドとティファニーの『アイ・シンク・ウィ・アー・アローン・ナウ』が流れると踊ってしまうジョヴァンニ・リビシが対になっていて興味深い。  見どころとしては裁判シーンのやり取りを上げます。コメディではありますが、語られている内容は人権や差別との戦いそのものであり、ブラック・ジョークをぶちかましながら公判が続きます。モノと人を分ける基準は何か。昔は黒人も“モノ”だったわけですから、近未来でロボットが進化して人格を持った場合、彼らに人権は認められるのか。
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 前回のノラ・ジョーンズ(今回のエンディング曲でもノラが歌っています。)に続き、今回も大物がカメオ出演しています。なかでもモーガン・フリーマン人権派弁護士)とリーアム・ニーソン(おっかないスーパーのお客さん役。スタッフは本当にスターウォーズスター・トレックが好きなのですね。)が出てきたときは驚きました。  リーアムはエンディングの後のおまけ映像にも出てくるぐらいですので、次回の“T3”にはサム・ジョーンズに代わり、重要なキャラクターとして出てくるのだろうか。
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総合評価 75点