良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『天空の蜂』(2015)かなり楽しめた前半がもったいない。説教臭く陳腐な後半が残念。

 先月末に事務作業中に左手指にけがを負い、結果として四針縫うことになりました。けがをした当日は出血はしたものの痛みがなかったためにキズパワーパッドをしただけで普通に仕事を続けていました。  しかし二日後の夜遅くの11時ごろにドクドクと指に脈を打つ感覚が出てきたためにヤバそうだと自覚したので近くの救急病院に歩いていきました。外科のドクターがたまたま手空きだったためにすぐに診てもらい、問診が始まると二日間放置したことを呆れられ、こういうケガを負った場合は六時間以内に来なければダメだと注意されました。  「次からは気を付けますね(笑)」と告げると「もうケガをしないようにすれば良いんですよ(笑)」とのことでした。すぐに縫合手術が始まりましたが、医師の年齢が同世代っぽかったので、「ケガをして針で縫うのは自分じゃ出来ないし、ランボーくらいですかね!?」と軽口を叩くと彼も「いや~。彼は火で針を炙ってから手術をしているのは正しいですよ。」と返してきました。  「縫ったあとにネズミだらけの不潔な廃鉱を泳ぎ回るのはマズイですね。」と続けると、「まあ、感染症にかかりますね。」と返してきてくれました。  横で聞いていた若い看護師さんは怪訝な表情をしていたので、こういう映画が昔あったんですよという説明をしながら、和やかに手術が進行していきました。途中、次の患者さんが救急車で運ばれてきましたが、縫っている途中でしたので、ぼくの手術を手際よく進め、その方の治療に入っていかれました。
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 次の日に人事にメールすると労災認定の書類が後日送られてくるので、病院に持っていくようにとのことでした。手術時に抜糸までどれくらいかかりそうですかと尋ねると二週間くらいは掛かるとのことでした。  まあ、手術をする前の消毒時にパチンコ玉よりデカイ綿棒が傷口にスッポリと入っていったので、こりゃ結構深いなあとは思っていたのですが、予想以上の長さでした。  三日に一度くらい消毒に通うよう命じられたのでその通りにすることにしましたが、片手での生活は想像以上に不便で、顔を洗うのも歯磨きをするのも大変ですし、お風呂に入るときは片手にスーパーのレジ袋をドラえもんのように巻きつけ、頭を洗う際にはロッカーのようにドラえもんハンドを高くかざし、無事な片手でシャカシャカ洗わねばなりませんでした。  通常の日常生活を送れるだけでも人間は幸せなのだと思うべきだと実感する日々でした。そんなこんなで術後七日間経ってから再度、病院に出向くと前とは違うお医者さんがいて、傷口の様子を確認すると「よし、抜きましょう。」と言い出したので、前に二週間くらいはかかると言われたことを告げました。  すると「もう、くっついているから大丈夫です。」と告げ、さっさと抜いてしまいました。通常の二倍のスピードで回復しているとのことでした。これで鬱陶しいドラえもんハンドとも別れられるので助かりますし、お風呂に肩までゆったりと浸かれるのも嬉しい。
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 ケガも労災認定されたので、治療費ゼロで済み、久しぶりに国と会社に感謝する日々です。健康なときは医療費問題については金を使いすぎだと考えていましたが、いざ自分がその立場に置かれると有り難みをしみじみと噛み締めます。  もちろん、無駄な医療費は削減すべきではありますが、必要最低限の分はセーフティ・ネットとして機能させるべきなのでしょう。冷静な視点を持ちたい。  けがをしているときにTSUTAYAさんで借りてきて見たのがこの映画。テロ導入部で主人公の子供が最新鋭大型ヘリから降りてこないのは疑問符が付きます。親を信じていないからだと言う意見もあるでしょうが、とっさの時に父親を信じられずに結果としてテロリストの人質に予定通りになるのは幻滅します。まあ、フィクションだからと割り切れる程度ですので問題はない。  テロリスト綾野剛を見つけ出し、公安への爆破工作を成功させるも、執拗な追跡にあい、自らダンプに轢かれて自決するまでの緊迫感はなかなかのもので、結構楽しめます。子供のフリーフォールを空中で受け止めるというのはどうなのかとも思いますが、007でもジョーズがフリーフォールしちゃったこともありましたのでまあいいか。  子供救出及び、実行犯を追い詰めた後に自決され、最新鋭大型ヘリのコントローラーがグチャグチャに破壊されたものをなんとか修理するという場面までは見る価値はありますし、結構楽しく見ていました。
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 ところが切れ者として事案解決に尽力していたはずのモッ君が急におかしなことになっていき、テロの主犯が彼であることが明らかになってくると途端にすべてが嘘っぽくなってしまう。大きな組織など存在せず、ほんの数人であそこまでやられてしまう状態に現実味を感じない。  後半の説教臭い反原発メッセージが全編を覆い出すとエンターテインメント性が急速にしぼみ、政府の偽コントロールセンター封鎖のくだりも相まって、欺瞞が満ちてきます。  なんだか前座試合から中盤までは大盛り上がりで楽しめたのに、試合が進むにつれて退屈になり、クライマックスであるメインイベントが「サップ対曙」のようにショボかった大がかりの格闘技大会のような感じでした。せっかく個人的にずっと観てきた堤幸彦作品なのになあ。  仲間由紀恵が出てきて、監督が堤幸彦監督ということもあり、なんかドラマシリーズ『TRICK』が思い浮かんでしまいました。 総合評価 55点