良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『花園ラグビー場、本日の入場は15,050人でした!』今日はにわかファンとして、二部リーグの近鉄戦を見てきました。

 知人がいた関係で、二十年前まではちょくちょく花園近辺には来ていましたが、当時は毎週のように長居までセレッソ大阪のホームゲームに足を運ぶサポーターでしたので、ラグビーにはまったく興味がない一般的なサッカーファンでした。  知人からは楽しいから観に行こうと誘われましたが、フットボールの双子の兄弟のラグビー教徒に改宗する気がなかったので、お互いの競技には立ち入らないスタンスを貫いていました。  そんな感じだったのが前回大会での南アフリカ戦で奇跡の勝利を収めた頃から、たまに気にかけるようにはなっていました。いざ自国開催のラグビー・ワールドカップが始まって、悪かった前評判に気を取られつつも、開幕戦のロシア戦の中継を見た頃から、せっかくだから最後まで見届けようと思いました。  アイルランド戦で興奮し、サモア戦で興奮が持続し、台風をバカにしたスコットランド戦の勝利で発狂し、南アフリカ戦で悲しみに浸り、決勝戦でエディさんが監督を務めるイングランド代表を応援するも惨敗し、大会での贔屓チームが2つとも負けるという、多くの日本人にわかファンと同じ境遇になりました。 IMG_20191124_110423.jpg  イングランド代表のところをニュージーランドのオール・ブラックスに変えても良いでしょう。つまり、みんなと同じにわかなのですが、大会終了後にせっかく盛り上がったラグビー人気を支えるために少しでも出来ることはないかと考え、本日は2部リーグではありますが、ラグビー日本代表のトンプソン・ルーク選手が在籍している近鉄ライナーズを応援しに来ました。  サッカーの場合、試合をしっかりと見るならば、テレビ画面と同じのメインスタンドですし、楽しく応援したいなら、にぎやかなゴール裏ですが、ラグビーはどこが最適なのだろうか。  攻撃陣が迫ってくる迫力を見るならば、もしくはテレビとは違う角度での観戦を楽しむならば、サッカーと同じポジションが最適なのだろうか。いざ入ってみると東スタンド、つまりテレビに映るスタンドの一部に両チームの応援団が南側と北側付近に陣取っていました。サッカーでいうサポーター集団的な応援団がたむろするところはそのへんのようです。  花園ラグビー場の前に到着すると会場2時間前でしたが、本日の試合は全席が自由席だったので、すでに三千人くらいの観客が開門する正面に並んでいました。  まあ、サッカー日本代表戦の2万人くらいがダラダラ並ぶウンザリとする列待ちに比べれば、半分どころか、誰もいないも同然の人数以下なのでそれほど驚きはありませんが、ラグビー観戦歴が長い方とお話をしていると、「こんな人数が二部リーグの試合に来るなんて、信じられない!」と感慨深そうでした。入っても、5000人くらいだったのにと嬉しそうでした。  昔、多くの試合に通っていたセレッソ大阪もウィークデイのナイトゲームでは関東の不人気クラブが対戦相手で魅力的な選手もいないと3000人しか入らないこともしょっちゅうでしたが、さすがに今日は日曜日なので関西のにわかが集まってきています。 IMG_20191124_131544.jpg  はじめて入る花園ラグビー場の雰囲気は清潔で試合はかなり見やすい。西側スタンド(いわゆるテレビ画面と同じアングル。)を選びましたが、臨場感は生観戦に限ります。  サッカーのようにホームとアウェイが分けられていないのは衝撃的でしたが、これもフットボール文化の違いなのでしょう。試合が始まるとホームゲームの近鉄ノックオンを連発し、ラインアウトを何度もミスしながらも、前半だけでスリートライを奪う好ゲームになっています。  最近一気に観戦数が増えたために、メイン・スタンド付近のラグビーを見慣れているらしい周りのベテランの方があちこちで「ノックオン」「モール」「コンバージョン・キック」「オフロード・パス」「コラプシング」「ノット・リリース・ザ・ボール」「ジャッカル」などと会話しているのを聞いて、理解できるようになっているのも自分では不思議です。それだけ多くの試合を観てきたのかもしれません。  生で見る試合は迫力が凄く、外国人選手の大きさに驚きながらの観戦は楽しい。後半も攻撃的姿勢を維持したまま、次々とトライを決めた近鉄に僕を含め、ベテランもにわかもファンは大騒ぎで喜んでいます。多くの観客を意識してか、選手たちのペナルティを得ても安易にペナルティキックをせずに貪欲にトライを狙い続ける攻撃的な試合態度が心地良い。  関西らしく、観客のヤジが面白く、今日のゲームで頻発した近鉄ノックオンに対しては「ノックオン禁止~!」、交代選手と出て行く選手の顔が似ていると「なんや、第一列目みんな同じ顔しとる!第一列目顔や!」と大笑いしています。  相手の13番にはモジャモジャ、後半に入ってきた23番の選手には「モジャモジャ増えとるでえ!二号や!」とか好き勝手にあだ名をつけて、言いたい放題にビールを飲みながらヤジる姿には爆笑しました。 IMG_20191124_131544.jpg  ベテランの観客の人たちがバクバク食べ物をパクつき、ビールや缶酎ハイをガブガブ飲み続ける姿はサッカーファンからすると、異様な光景でした。僕らサッカーファンは基本的に試合中はもちろん、試合前は出来るだけ身体を軽くして、トイレには行かなくても2時間を持たせるように行動します。  極端なロースコア・ゲームであるサッカーでは万が一、試合中にトイレに行っている瞬間にゴールが決まり、それが最終的に1対0の試合だと何をしに行ったのか訳が分からないことになるので、行かないのが普通になっています。  訳がわからないタイミングでビール缶を開けると、「なんで今やねん!」、相手のトライに対しても「腹立つけど、これがマナーや!」と拍手していました。笑えたのは場内アナウンスで、相手チームの紹介は無音に近い小さな音で進んでいき、ホームの近鉄の紹介になるとノリノリの大音量に変わりました。  大人気のトンプソン・ルークのときにはラグビー場を埋めた15050人の観客も拍手喝采している様子を見たベテランさんは感慨深かったようで、「信じられない!」「素直に嬉しいけど、これが続いてほしい!」としみじみ語ってくれました。トムさんは後半の20分くらいで退きましたが、ピッチを後にするときは観客がこれまでの労をねぎらうようにいつまでも彼に惜しみない拍手を送っていました。そんなスタンドに手を振ってベンチに下がって行くトンプソン・ルークの姿を生で見れたのは思い出になります。  試合は近鉄ライナーズ豊田自動織機シャトルズを圧倒しましたが、問題点としては両チームとも目立つのは外国籍選手の速さと強さ、判断力の速さであり、日本人選手の強化をしっかりと協会主導でしていかないと一過性のブームに終わってしまうのではないかと思いました。 IMG_20191124_140917.jpg  プロリーグが出来るようですが、生活して行けるだけでなく、サッカー選手程度の給料をきちんと払えるか、競技場をどれだけ増やせるのか、ケガなどのケア対応、CSテレビやNET動画サイトとのタイアップ、クラブの運営システムの構築など課題は山積みです。  公立高校に芝のグラウンドを作るのは非現実的なので、各地方に数校はラグビーの拠点となるような学校やクラブを強化してより強く、ワールドラグビーを唸らせるような体制作りを期待したい。  ぼくは時間が許す限り、花園で試合があれば、今後も観に行きたい。骨と骨がぶつかり合う激しい音を聞くには会場に足を運ぶ必要があリます。テレビには映らない、試合中のチームスタッフの人たちのテキパキとした動き、サポーターたちが掲げる横断幕やビッグ・フラッグのタイミングなど現地観戦の楽しさを味わってほしい。  雨が降るかも知れないから、今日はメインスタンドかなあとか、今トイレに行っておかないと、試合始まると大渋滞やろなあとかも含めてのライブ観戦は何物にも変えがたい楽しみがあります。  電車でも、「東花園行きはこれでいいですか?」と駅員さんに尋ねると、「ラグビーですか?」と返してくれたので、「近鉄の応援に行くんですよ。」と答えました。駅員さんもニコニコしていました。  試合も良い所がふんだんにありましたし、今シーズンでの引退を表明しているトンプソン・ルークの花園最後の勇姿を見られたので満足しながら、また近鉄に乗って家に帰りました。 IMG_20191124_140737.jpg  個人的に驚いたのは花園ラグビー場のピッチと客席の距離の近さでした。まるでイングランドのサッカ-スタジアムのような距離感はチームとサポーターの一体感を生みますし、より迫力が伝わってきます。長居スタジアムのように陸上トラックがあると、どうしても遠くに感じてしまうので、この距離感を大切にしてほしいし、サッカーも専用スタジアムのみの開催を望みます。  広いピッチでも両チーム合わせて30人もの2m近くの大男たち(小柄の選手も混じっていますが、目に入るのは大柄選手!)がお互いの最終ラインを設定して陣取ると恐ろしく狭く見えますし、キックオフ時の味方最終ラインから相手最終ラインまでの距離がかなり狭く、ラグビーもサッカー同様にスペースをどんどん狭められていく中でのプレイを強いられているのだなあと思いながらの初ラグビー観戦でした。  柔道をやっていた知人はラグビーの人気が沸騰するのを見ると、「これでまた柔道や相撲などの格闘技をやろうとする子供が減るなあ…」とつぶやいていました。彼によると相撲の十両や平幕で活躍するような体型で、足が速かったり、瞬発力や筋力自慢の子供たちは爽やかで就活でも引っ張りだこのラグビーを選ぶだろうなあと語っていました。  スタジアムのムードはサッカーと大違いで、ギスギスせずに相手チームのサポーターとホームチームのサポーターがもめることもなく、お互いのユニフォームを身に纏っていたり、小さい子供を一緒に連れてきて、家族で観戦している観客も数多く、楽しそうに試合を眺めていました。顔見知り同士も多いようで、というかぼくが常連客が大勢集まった一角に行ってしまっただけなのかは分かりません。  それでもセレッソのクラブ会員だった僕は年間パス席で見ていても、周りの誰もが他と話している所はほぼ見たことはありませんでしたので、和気あいあいと家族同士や友人グループ同士があちこちで話している光景が羨ましく感じました。このスポーツはもっと日本で発展すべきです。野球観戦やサッカー観戦では味わったことのないアットホーム感はこのスポーツの魅力ですし、これまで彼らが支えてきたからこそ、世界中の観客に絶賛されたワールドカップが運営できたのでしょう。 ラグビーワールドカップ2019 日本代表の軌跡~悲願のベスト8達成! 世界を震撼させた男達~【Blu-ray BOX】
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