良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ピンクレディーの活動大写真』(1978)スゲエー安易!それでも歴史的価値は大きい。

 その名も仰々しいこのタイトル『ピンクレディーの活動大写真』は本編(ドラマ部分)を石立鉄男田中邦衛秋野太作小松政夫らを起用して無理やりカメラを回して撮ったようなコントもどきのストーリーと田中健なべおさみ松山英太郎らを使って撮ったメロドラマ風のストーリーをごちゃ混ぜに繋ぎ、その両方にピンクレディーの二人が実名である根本美鶴代(ミーちゃん)と増田恵子(ケイちゃん)名義で出演してくる怪作である。

 しかもエンドロールを見ていくと大林宣彦三船プロの名前まで出てくる始末です。東宝が大いにバックアップしていたようです。ちなみにジェームス三木原案でもあります。

 プロモーション・ビデオの無かった70年代当時ではこのような作品も必要だったのかもしれない。80年代になってマイケル・ジャクソンの『スリラー』やカーズの『ユー・マイト・シング』などがMTV経由で大ヒットし出すまでは地方ファン開拓のためにもこの手の宣伝映画は結構作られていました。

 いわゆるアイドル映画とは一味違うファンだけが楽しむターゲットを絞りに絞った映像を楽しめる。案外今のような「萌え」世代の方がこのような作品を待ち望んでいるのかもしれません。

 アイドルによるコスプレ、仮想恋愛劇、コント、露出度の高いステージ衣装(現在の感覚で見ても、かなりの露出度ですので、当時はもっとインパクトがあったはずです)、ヒット曲メドレーとファンが望む「ツボ」は全てしっかりと押さえている。

 脇を固めるはずの俳優達が好き勝手にやっている様子が見えて笑えます。明らかに上滑りしている石立鉄男、流している田中邦衛、いつも通りの田中健、『俺たちの旅』みたいな秋野太作を見るのも一興です。なんだか変な空気を放っているのを体感して欲しい。

 ファンにとっては彼らのコントよりも、ミー&ケイのメロ・ドラマとヒット曲メドレーを聴くだけでも十分にお釣りが来るでしょう。しかもその中にはコール&レスポンスの掛け合いが楽しい、アイドル・コンサートの実際の映像もインサートされるのです。ピンクレディからモー娘。に至るまで全く変わっていない野太い声には驚かされます。

 アイドルやロック・バンドの実力はスタジオ録音だけでは計れないのです。レコードやCDでは迫力を感じない音がライヴでは大化けすることを多々経験しましたが、好きなバンドはライヴに限るというのは常識かもしれない。反対にライヴはたいしたことないがCDは凄いというアーチストも存在する。しかし彼らの音からは真の興奮は生まれない。

 この映画で掛かる曲はまさにピンクレディ・ヒット・メドレーでした。『SOS(えーすおおえええす!チャ!チャ!)』『カルメン’77(私の名前はカルメンでっす!かるめーーーん かるめーーーん)』『カメレオン・アーミー(そろそろくるう!かめれおん!)』『モンスター』『UFO(ユッフォー!ちゃちゃちゃちゃんちゃんちゃん)』『ペッパー警部(信州味噌!即席!っていう替え歌の永谷園のコマーシャルを何故か覚えている)』は小1くらいか?

 『透明人間(きえますよ きえますよ)』『渚のシンドバッド(サザンが歌った『勝手にシンドバッド』の由来)』『サウスポー(王選手を意識したのかな?)』『ウォンテッド(私の胸の鍵を~壊してに~げていいったあ!)』とファンのみならず、あの時代を過ごしていた人ならば必ずどこかで聴いたであろうナンバーのオン・パレードです。

 ついつい思い出す『UFO』のダンスとキングギドラのような衣装、『ウォンテッド』のヒラヒラの羽根の付いた衣装、へそ出しルックと短パン姿は30年の月日を一気に遡る力がある。いやあああ!なつかしい!ここで掛からないナンバーは『波乗りパイレーツ』や『マンデー・モナリザ・クラブ』くらいですが、これらは落ち目になりつつあった後期のナンバーですので収録されていなくて当然でもあります。

 ついでに「すーーぱーーーもんきーー現る!現る!」とかやってドリフの『飛べ!孫悟空』状態にしてくれたら、もっと楽しめたかもしれない。最近はツタヤで『8時だよ!全員集合』のDVDが並んでいますが、是非とも同じTBS系列の『飛べ!孫悟空』もDVD化して欲しいです。荒井注アン・ルイスが人形で出てくるのをもう一度見たい。きえますよ~!きえます!きえます!きえます!き・え・ま・す!

総合評価 45点