良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ガメラ対ゴジラ』(200Ⅹ)第三部 地球降伏命令

<第三部>地球降伏命令

<地下にある極秘プロジェクトチームのある一室。>

 オダギリが妙な機械を持ってきている。訝しげにそれを見つめる三人。「なんだい、これ?」と聞く岡田。「Gコントロール・システムさ!」と自慢げに話すオダギリ。彼は説明を始めた。「これはまだ試作品だが、いってみればゴジラの脳波の周波数に合わせて、こちらの思い通りに動かそうというわけさ!」彼には自信があった。「そんなの超能力者にしか出来っこない!そんな人いるわけない!」と岡田と麻生は即座に反論した。

 高嶋はずっと黙っている。「出来ますよね!高嶋さん!しかも二人いますよね。」彼にオダギリは言った。オダギリと高嶋の娘、蒼井優は昔からの知り合いだったのだ。当然彼女の、そして彼女の母親である小高恵美もサイキックであることは百も承知である。

 依然何も答えない高嶋。不意に扉が開き、入室してくる小高と蒼井。「何で来たんだ!」思わず怒鳴りつける高嶋。「申し訳ありません。二人に話したのは自分なんです。」と謝るオダギリ。今度はオダギリを睨みつける高嶋。そこへ助け舟を出す蒼井。「やめて!おとうさん!私達が頼み込んだの!」。

 高嶋は不満で一杯で、当分怒りが冷めそうにはない。彼を放って置いて、作戦の趣旨を説明するオダギリ。二人にガメラゴジラをテレパシーで操縦してもらおうというのだ。そのためには今ある試作機をパワーアップさせねばならない。時間はそう掛からないが、予算が必要だ。岡田に頼み込むオダギリと高嶋母娘。岡田は即決し、長官に頼み込みに行った。高嶋親子を楽しそうに見る麻生。オダギリは熱心に計画を語り続ける。

<異星人円盤内>

 菅野司令官が彼らの星へ連絡を入れている。「地球攻撃軍よりテロリスト星軍基地へ。至急、宇宙生物兵器1号を派遣されたし!」との連絡を受け取ったテロリスト星人基地格納庫(一号はキングギドラ、二号はガイガン、三号はギャオス、四号はギロン)から巨大な隕石のような物体が音速を遥かに超えたスピードで送り出された。(基地を後にする隕石、地球に向かう隕石を引き画で捉える。)

阿蘇山、夜空>

 巨大な流れ星が阿蘇山に堕ちていった。猛烈な砂嵐が起こり、辺りは何も見えなくなっている。隕石は不気味な煙を立てている。怪光が走り、火炎が吹き出してきた。煙、怪光、火炎は真っ直ぐに隕石の上に伸びていく。さらに火炎と煙が噴出していく。徐々に何かの形が形成されていっているようだ。

 光が中心で丸くなり、羽根のような形が生まれてきた。そして一本の龍の首のようなものが次に形作られた。さらに成長は進んでいく。左に、そして右にも龍の首が伸びてきた。最後に二股に分かれた長い尾が生えてきたところで、閃光が走った。誰も目を開けていられないほどの強い光だ。(伊福部音楽の出番だ!)

<博多、小倉、広島、大阪>

 ついに日本に滅びの邪神、キングギドラが降臨したのだ。ギドラは羽ばたくとともに反重力光線を吐き始めた。地走りする光線の凄みは地面を焼き尽くし、震動の大きさは民家を破壊する。夜七時の博多まで一気に飛び続けるギドラはわずか10分足らずで博多の街を壊滅させた。七時半には小倉を、八時には広島、十時には大阪を火の海にしていた。

 防衛軍本部に再び彼女の画像が映し出される。「あと24時間待ってやろう。無駄な抵抗は止めて、降伏しなさい!さもなくば明日はその基地を壊滅させてやろう」。いったん宇宙空間に引き返したギドラは途中、反射太陽光照射システムに必要な軍事衛星を破壊し、テロリスト星円盤と合流する。

彼女は抜かりなく、反撃の手を出せないように配慮していたのだ。司令官菅野は高笑いを浮かべている。明日にはこの星を我が物に出来るのである。

<再び地下の一室>

 駆け足で岡田が戻ってくる。長官からの許可が下りたのだ。すぐに最優先ですべての整備工場と施設を使えるようになった。これから朝までの時間が彼に残された勝負の時間である。明日にも異星人はこの星を滅ぼしにやってくるであろう。

<深夜の研究施設>

 オダギリは遅くまで掛かり、別の誘導システムの完成を急いでいた。「何を作っているの?」と覗き込む麻生。「これはやつら異星人が嫌うであろう音波を研究しているんだ。奴らは死んだが、骨格が残っていただろ。あれで耳の構造が分かるんだ。上手く行けば奴らの脳波を狂わせることが可能かもしれない」と熱弁をふるうオダギリ。麻生はそんなオダギリに好意を抱くようになっていた。

 このことだけではなく、彼はガメラが一切防衛軍の攻撃に仕返しをしてこなかったこと、潜水艦の時の大爆発も背後にいた異星人目がけて攻撃したことを理解していた。かれはこのことを麻生に告げていたのだ。

 なにがなんでもゴジラガメラを倒そうとしていた岡田と違い、どこか落ち着いた対応を見せていたオダギリに彼女は急接近していた。オダギリもわかっている。しかし照れくさい彼は言い出せない。

 もう朝も明けようとしていた頃、異星人との決戦のための出撃チームに岡田とともに入っていたオダギリは麻生に指輪を預ける。それは母親の形見であった。縁起でもないから止してという麻生に、「預かっていてくれよ。」と笑顔でかえすオダギリ。

<別の研究室>

 小高と蒼井がテレパシーで二つのGを探索している。一方は三原山の火口で、もう一方は日本海溝の奥底で傷ついた身体を休めていた。ゴジラは右手にダメージを負っていた。傷を癒すためにゴジラ核融合を体内で起し、身体を健康な状態を取り戻しつつあった。

 ガメラもまた蒼井の祈りにより、生命力を盛り返し、ダメージを回復しつつあった。しかしまだ半日は動けそうもない。テロリスト星人の攻撃予告時間は本日午後4時であるが、ふたつのGが回復するのは午後5時であろう。1時間の空白をどうやって埋めるのか。

<防衛軍作戦本部>

 佐原長官は全隊員に向け、訓示を行っていた。悲壮な覚悟が彼の表情からも読み取れる。「我々の祖国の大地は異星人よって大いなる損失を被っている。現在ゴジラガメラを我々の意のままに動かそうという計画を実行しようとしているが、この国を守るのはあくまでも我々防衛軍である。皆も覚悟を決めて本日の一戦に備えてもらいたい。わが国の興廃はこの一戦にあり。」終始黙って聞いていた隊員たちもさすがにゴジラガメラのコントロール計画に触れた時にはざわついていた。

 さらに驚かせる人事を行った。最終決戦ともいえるこの日の総指揮を取る参謀が紹介された。高嶋である。5年ぶりに彼が指揮官として帰ってきたのである。古株の隊員が思わず拍手してしまい、自省している。制服に身を包んだ彼は指揮官の席に着く。すべてに決着をつけるときが来た。相手はゴジラではなく、異星人に変わっているが。

<量産型スーパーⅩの格納庫>

 最新鋭のⅩ4とは違い、装備がかなり貧弱な機体を見上げる岡田。抗核バクテリア・ミサイルはない。レーザー砲はメーサー砲の70パーセントの威力しかない。装甲はスーパーⅩ2並みである。オダギリが頼み込んで新兵器である音波砲を装備するのに時間が掛かっている。しかしこれが現在防衛軍が無傷で持っている最後の武器である。その指揮を任されたのが岡田なのだ。彼は決死の覚悟で決戦に挑む。

<レーダーに映る新たな光>

 訓示が終わり正常業務に戻った矢先に、本部のレーダーが新たな光の点を捉えた。それは太平洋上空から日本に向けて移動してきている。「なんだこれは?」脅威が再び襲ってくることに恐れおののく人たち。

 高嶋は何故か驚いた様子がない。ここでモニターに小高が映し出された。「ご心配なく。あれは私がテレパシーで呼んだインファント島の守り神です!」(当然ここでは『モスラの歌』を流す!)ほっとするとともに希望の光が見てきた防衛軍本部には明るい表情が戻ってきた。高嶋は事前に、このことを相談していたのだ。すべての準備が整った。

<第四部に続く> 

オタクイーンさんの「それぞれのGXG」リンク先です。

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