良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『ガメラ対ゴジラ』(200Ⅹ)第四部 地球最大の作戦

<第四部 地球最大の作戦>

 もうすぐ太陽が沈み始める。時間は3時半過ぎである。すべての兵力を集中させて待ち望む防衛軍。強い日差しが各隊員と車両に降り注ぐ。残りのメーサー砲は10門もない。通常兵器が大半を占めるこの兵力でキングギドラを押さえ込むのは不可能であろう。

 彼ら生き残った防衛軍の微かな望みははるかインファント島からのモスラの参戦であり、量産型第一号のスーパーⅩである。なんとかこれらの兵力で、テレパシー増幅装置によって誘導されるゴジラガメラが合流するであろう午後五時までの一時間を持ち堪えなければ、防衛軍とわが国に未来が全く無くなってしまう。

<南の空から>

 モスラは真っ直ぐに防衛軍基地へ向けて飛翔している。コスモスたちの娘も乗り込んできている。彼女は小高とテレパシーで通じながら、会話をしている。穏やかな笑みを浮かべてはいるが、彼女達もこれから始まる決戦が多大なる犠牲を払わねばならないものであることを理解している。あと10分もすれば基地に到着する。

ゴジラはどうなったのか?>

 ゴジラはもう三原山火口にはいない。すでに基地へ向けて動き出している。しかし地上には姿を現していない。火口からマグマの流れを利用して、基地に向かっているのだ。テレパシー増幅装置を装着した小高がG1を誘導している。

日本海溝ガメラは?>

 まだ負傷が癒えていない。動き出しまではもうしばらく掛かりそうである。母親とともに増幅装置を装着した蒼井がなんとか動かそうとしているが、ガメラはまだ体が言う事を聞かない。しかし確実に回復には向かっている。

<研究室>

 焦りが見える優に優しく母親である小高が目配せをする。それに気付いた彼女も頷き、微笑を取り戻す。彼女達には麻生が付きっ切りになっている。この分だとゴジラのほうが先に決戦場に現れそうである。麻生は指輪を見つめる。

<決戦場 全軍準備万端でキングギドラを待ち構える>

 モスラがついに到着した。歓喜の鬨の声があちこちで上がる。基地上空で小さな二つの光がモスラから離れ、防衛軍内の一室へ流れていく。コスモスたちが現れたのだ。彼女達は小高たちとともに戦うことに決めたようだ。モスラは正面向かって右翼に陣取った。スーパーⅩは左翼を受け持つ。

<防衛軍本部>

 時間は迫っていた。返答する期限まであと5分もない。時計を見つめる高嶋と佐原。モニターにテロリスト星地球侵略軍司令官・菅野が返答を迫りに来た。「無条件降伏の準備は整ったのか?」と傲慢な姿勢を崩さない菅野。高嶋がそれにたいし「侵略者には屈しない!断固闘うのみだ!」と毅然と答える。

 予想外の返答に驚いた菅野だが、彼女の意思も即座に決定した。「では死を選ぶがいい。」と不敵に笑いながらモニターから消えた。

 するとレーダーが巨大な飛行物体を捉えた。「巨大な物体が太陽を背にして、こちらに迫ってきます!」。「ガメラか?」と高嶋が叫ぶ。「いえ!大きさが違います!今モニターに出します!」オペレーターが表示した。キングギドラだ。太陽を背にその黄金のボディを輝かせながら、一直線に基地目がけて降りてきた。

<基地上空>

 基地を防御しようとして、空軍機隊が決死の応戦を仕掛ける。しかし火力の差は歴然としている。一機、また一機と反重力光線の餌食になっていく。50機以上の編隊があっという間に撃ち落されていった。なおも仕掛ける戦闘機隊だが犠牲者を増やすばかりである。モスラが飛び立った。モスラキングギドラに体当たりを仕掛ける。

 不意を衝かれたギドラではあったが、バランスを崩す程度であった。なおも攻撃を仕掛けるモスラであったが、敵う相手ではなさそうだ。それでも必死にギドラを妨害しようとするモスラ。着地したギドラは反重力光線を地走りさせながら、メーサーや基地を襲う。ギドラの上に回ったモスラは最後の手段である燐粉攻撃を仕掛けた。(マハラー!マハラ モスラ~!)

 ギドラの反重力光線は乱反射して、ギドラ自身に跳ね返っていく。戦闘力が若干弱まったギドラ。メーサー砲もギドラへ向かって十字砲火を浴びせる。眩いばかりの閃光が二匹を包み込む。轟音とギドラの鳴き声が響き渡る。しかしモスラは限界を迎えていた。目に光がなくなりつつあるモスラ。燐粉が消え、反重力光線をまともに喰らってしまう。堕ちていくモスラ。もう羽ばたけない。

 モスラが弱体化しているのを見たスーパーⅩの岡田艦長はモスラをかばい、前面に立つ。あと5分もすれば、必ずゴジラガメラが救援に来てくれるはずだ。反重力光線をミラーで受け止め、跳ね返すスーパーⅩ。

 何度かの攻撃を受け流したスーパーⅩだが、いかんせん敵うような相手ではない。徐々にミラーも溶け出してきた。あと一度光線の直撃を受けたならば、スーパーⅩも燃え尽きてしまうであろう。あと一分持てば良い。覚悟を決めた岡田はオダギリに笑いかける。

 その意味を理解したオダギリ。ふと麻生の顔が浮かぶ。ギドラの正面に立った。無線が入る。「やめろ!どくんだ!」と高嶋が叫んだ。次の瞬間、ギドラの反重力光線がスーパーⅩを襲った。爆発するスーパーⅩ。しかし小型の戦闘機ガルーダが中から飛び出してきた。ほっとする高嶋。彼らはテロリスト星人の円盤攻撃に参加することに決めた。

<研究室>

 コスモスも小高も、そして蒼井もその悲壮な様子を見つめている。時間の針は5時を指していた。防衛軍は甚大な犠牲を払いながらも、なんとか一時間持ち堪えたのだ。蒼井の様子が変わった。「ガメラが目を覚ました!」

日本海溝

 ついにガメラが目覚めた。負傷も癒えたようだ。猛スピードで海面に顔を出すと同時に回転飛行に入っていった。真っ直ぐに決戦場に向かっている。蒼井は集中してガメラを誘導し始めた。(ガメラのテーマをインストゥルメンタルで使用)

<防衛軍基地近くの山>

 そのとき突然、地割れが起こり、地面が隆起しだした。地震のような大きな震動が基地周辺を襲う。ゴジラだ。ゴジラが先に着いたのだ。(ゴジラのテーマを流そう!)ギドラの位置を確認したゴジラは迷うことなくギドラに向かっていく。放射能火炎を浴びせかけるゴジラ。(上手にギドラ、下手にゴジラを配置。)

 熾烈な戦いが始まった。全身から憎悪を漂わせるキングギドラと地球環境の歪みから生まれたゴジラ。巨大な体躯を活かし押し捲るギドラは反重力光線をゴジラに浴びせかける。もんどりうって倒れるゴジラだが、すぐに立ち上がり、ギドラを攻撃しだす。

<基地上空>

 防衛軍もただ黙って見ているだけではなく、ギドラにメーサー砲を照射し続けている。残った戦闘機隊がテロリスト星の円盤戦隊に決死の攻撃を仕掛けている。円盤一機を落とすのに10機以上の犠牲を払っている。しかし着実に敵編隊の数は減ってきていた。

<研究室内>

 ゴジラを操っている小高はさらにエネルギーを集中する。かなり消耗しているが、コスモスもテレパシーを送っている。蒼井も集中していた。「間に合った!」と叫ぶ蒼井。

<本部と戦場>

 レーダーに新たな物体が映し出された。「参謀、何か飛んできます!いまモニターに出します!」何も言う必要はない。ついにガメラが戦場に降り立とうとしていたのだ。回転飛行をしながら、ガメラキングギドラに体当たりを食らわす。接触した瞬間、ギドラの左側の首が宙を舞った。一撃でギドラの首をもぎ取ったのだ。

<戦場>

 ついにふたつのGが揃った。今回は敵同士ではなく、テレパシーを介してはいるが、味方として闘うのだ。戦局は一変しつつある。しかし最初一撃こそ大いなる成果を上げたガメラではあったが、次第に圧倒されていく。ガメラが傷つくたびに蒼井も傷ついていく。顔から血を吹き、手の骨が折れる。苦痛に顔をしかめる蒼井。彼女は気を失ってしまった。

 誘導する者がいなくなったのだ。どんな動きをするのかは誰にも分からない。しかしそんな気遣いは無用であった。ガメラは誘導など無くとも地球の敵に真っ直ぐに向かっていった。

 ゴジラも負けこそはしないが、勝つまでの圧倒的な威力はない。小高の精神ももう限界を突破していた。最後の力を賭け、懐に飛び込ませた小高。この瞬間、彼女も力尽きた。倒れた二人を介抱する麻生。しかしギドラの懐に入り込んだゴジラは右の首に噛み付きながら、放射能火炎を放った。次の瞬間、ギドラの首が大地に落ちた。残りは首ひとつである。

 かなりのダメージを負ったギドラは宇宙へ逃げようと羽ばたき始めた。後ろを見せて逃げようとするギドラにゴジラ放射能火炎とガメラの火炎球が同時に放たれた。離陸を始めていたギドラであったが、両方の羽根をこの両者の同時攻撃で失った。地面に叩き落されるギドラ。

 何とか立ち上がるとギドラも覚悟を決めたようにGxGに襲い掛かってきた。最後の力を振り絞りながらギドラが反重力光線を浴びせかけてきた。ガメラゴジラが吹き飛ばされる。メーサー部隊もほぼ全滅してしまった。

 なおも詰め寄ってくるギドラ。立ち上がったGXGがギドラに攻撃を仕掛ける。ゴジラはギドラの残った顔面に放射能火炎を浴びせる。回転飛行しながら、後ろに回ったガメラはギドラの首めがけて攻撃を仕掛けた。

 前と後から同時に攻め立てられたギドラはもう動く力もなくなっていた。最後に鳴き声を上げながら反重力光線を放った刹那、ガメラの飛行により、最後の首が宙に舞い、地面に落ちた。ついに恐怖の大魔王は滅んだ。喜びに沸く本部内。

<基地上空>

 まだ円盤との戦いは続いている。ここでオダギリの発明した新兵器音波砲を試すときが来た。円盤に向けて照射する。直撃を受けた円盤は機体にはまったく傷がついていないのにもかかわらず、バランスを崩し、墜落していった。効果はてきめんである。

 つぎつぎに撃墜していくガルーダ。残りは司令官の乗る母船のみである。戦線からの脱出を試みる旗艦であったが、ついに音波砲の餌食となる。しかしさすが司令官が乗っているだけあり、反撃は甚大な損害をガルーダに与えた。

 ビーム砲の直撃を受け、機内が炎上したのだ。脱出を試みる岡田とオダギリ。しかしオダギリの脱出ベルトが動かない。このままでは二人とも墜落死するしかない。岡田の脱出装置のレバーを引くオダギリ。「オダギリ!」叫ぶ岡田だがガルーダとの距離はどんどん離れていく。

 麻生を思い出すオダギリ。機首を向けた先はテロリスト星人母船である。敵もコントロールを失いつつ、何とか飛んでいる状態である。オダギリはさらにスピードを上げながら突撃を仕掛けた。円盤に体当たりをしたオダギリのガルーダは炎上し、菅野司令官の乗る円盤も大爆発した。すべての敵が滅びたのだ。

 呆然と立ち尽くす佐原長官、高嶋参謀、岡田隊員、麻生隊員、そして気がついた小高と蒼井。佐原と高嶋は敬礼で見送る。麻生は泣き通しである。岡田も生還した喜びは毛ほどもない。何故自分だけ助かってしまったのかという自責の念だけである。

 基地に帰還した彼はその複雑な思いを高嶋にぶつけた。彼は無言で、彼の肩を叩いた。そこへ小高と蒼井、そして愛する者を失った麻生が戻ってきた。誰も口をきけない。父親であり、夫である高嶋にすがり付く小高と蒼井。じっと指輪を見つめる麻生。

 どこかで声が聞こえる。「六時からお祝いでもしようか!」という陽気な声だ。時計は五時半を指していた。戦いを終えたガメラゴジラは行きたい場所へ戻っていく。沈みゆく夕陽に向かって飛んでいくガメラ。太平洋に戻っていくゴジラ

<一気に200Ⅹ年に戻る>

 寂しげに立ち尽くす麻生は時計を見た。五時三十五分だった。うしろから彼女を呼ぶ声がする。岡田だ。復興支援の真っ最中なので、猫の手を借りたいほどの状態なのだ。「何やっているんだ!」「サボってんじゃねえよ!」と叫ぶ岡田。「はい!」とその声に明るく答える麻生。

 二人の後姿を捉え、カメラは徐々に引いていく。蒼井も彼らを手伝っている。(東京の全景を捉えていく。フェイドアウト

<スタッフ・ロール>

 音楽はこの作品用のテーマ→ゴジラのテーマ→ガメラのテーマ(ヴォーカルつき)の順でロールに終わりが近づき、東宝大映のロゴを同時に表示して終わる。

スペシャル・サンクス・トゥ>

            トムさん

オタクイーンさん          読んでくださったすべての怪獣映画ファンのかたへ

<終わり>

以上です。すべてフィクションであり、妄想です。肖像権その他の権利を侵害するつもりはありません。

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