良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『映画を離れて』新作2本、スカパー0本…。九月のすべてでした。

 最近、どうもあまり映画を観たいと思わない。劇場に行かないわけではない。この春夏以降でも、『大いなる陰謀』『最高の人生の見つけ方』『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの伝説』『ヴァンテージ・ポイント』『カンフー・パンダ』『ハプニング』『崖の上のポニョ』『相棒 劇場版』『僕の彼女はサイボーグ』『ダーク・ナイト』『ハンコック』『アクロス・ザ・ユニヴァース』を観に行った。ただし九月以降は』『ハンコック』『アクロス・ザ・ユニヴァース』のみでした。

 トータルでみると、決して少ない数字ではないでしょう。しかし何か違和感がある。楽しめない自分、常に客観的で映画にのめり込めない自分がいる。昔のように、映画に没頭できないのです。多く観れば観るほど、そういう風になってしまうのであったら、観る数を制限し、「ハレ」のイヴェントとすべきなのであろう。

 映画はいつの間にか日常になってしまい、かつて子供のときに味わった「ウキウキ感」が全く無くなっているのに気づき、愕然としてしまう。無邪気に大画面や暗い館内だけで大きな感動を味わった日々は二度と戻らない。『ニュー・シネマ・パラダイス』は幻影に過ぎないとなかなか認められなかったが、今ではストンとおちてくる。

 それを感受性の後退だと言うつもりもない。皆通る道であろう。皆、薄々は感じているのであろう。ひねくれた見方をしている自分。たぶんストーリーがどうなるのかもたいてい分かっているけど、最後まで見続けようとする自分。予定調和を観て、安心する自分。大人になれば、誰でもわかることである。でもどこか認めたくない。

 映画に欲しているのは非日常的なワクワク感なのであろうか。言葉にしてしまうと、われながら陳腐な子供っぽい言葉であるが、本当にそうなのである。いつもと違う何かを得る時間、それが劇場だったように思う。しかしバイトで稼いだり、デートでも映画を観ていた学生時代。社会人になって、暇が出来ると好きなだけ観に行くようになって十数年を経ると、かつての劇場へ行くだけでワクワクした感動はいつのまにか消えうせていた。

 もちろん、映画を観に行けば、それなりに楽しいのも事実である。ブログのネタにもなろう。友人や職場でのコミュニケーションをとる手段にもなる。生活の潤滑油でもあるのが映画である。

 かつてそれ以上であった映画、しかし今は何か違う。映画への倦怠期であろうか。大好きなのに離れていたい。かつて味わったこともない感覚がたしかにある。

 義務で映画を観たくない。惰性で映画を観たくない。でもやっぱり、良い映画は観たい。二律背反な感情が行ったり来たりする。何故かは分からない。不思議な今日この頃です。