良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『けんか空手 極真拳』(1975)極真空手の創始者、大山倍達の半生を描いた『空手バカ一代』の映画化。

 『あしたのジョー』『タイガー・マスク』『巨人の星』など昭和を代表する名作漫画で有名な梶原一騎の原作、『うしろの百太郎』が印象的なつのだじろうの作画で大人気だった『空手バカ一代』を千葉真一主演で映画化したのが『けんか空手 極真拳』(1975)『けんか空手 極真無頼拳』(1975)です。  千葉真一主演の空手映画は石井輝男監督による『直撃!地獄拳』などを筆頭に数多く製作されました。どれも荒唐無稽で理屈抜きに楽しめる内容の作品ばかりでした。  今回の『けんか空手 極真拳』も大人向けのアクション映画に脚色されているものの基本的には原作を踏襲しており、それほど違和感はありませんでした。
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 映画『けんか空手 極真拳』は極真空手創始者でゴッド・ハンドの異名を持っていた大山倍達が米軍の格闘技指南役になる前、プロレスラー相手にアメリカで転戦する以前までで終了しています。  牛殺しの場面はスペインの牛追い祭りのような描写がされている点、有明省吾の死に方が交通事故から警官隊による銃撃戦の末の絶命になっている点などが主な演出上の変更となります。  陰鬱で殺伐とした格闘シーンは素晴らしく、河原でのライバルの成田三樹夫が師範を勤める空手一門との果たし合いはまるで吉川英治の『宮本武蔵』やそれを映画化した内田吐夢の『宮本武蔵一乗谷の決闘』を思い出させてくれました。  大山総裁自身も宮本武蔵に心酔していたのは原作でもたびたび紹介されていましたので、楽しく見れました。あちこちに東映らしいチープな作りがありますが、それはご愛嬌でしょう。  千葉真一のルックスが荒々しい空手家像にぴったりだったことも彼が多くの格闘アクション映画に主演した要因でしょう。『仁義なき戦い』などにも出演していた彼は活動の場をテレビに移しても、『服部半蔵影の軍団』で持ち前のアクションで魅力的な姿を見せてくれました。 総合評価 75点