良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on~』(2012)長え~!

 今日は久しぶりにJRに乗って、奈良の隣の橿原市まで映画を観に行くことになり、朝8時から出かけました。乗ってみて驚いたのは電車の扉が発車時間近くまで待っていても、まったく開かないことでした。  いつの間にか、乗降システムが変わり、扉近くの開閉ボタンを押さなければ、車内に入れなくなるようになっているのです。冷暖房や電力の省エネのためにそうしているようですが、去年の春先に乗ったときには普通通りでしたので、最新式なのでしょう。  たしか四国の電車はこういう乗車システムでしたのでそれほど違和感はない。自分で開け閉めできるので、なんだか楽しい。それはともかく、去年もそうでしたが、ぼくが住む奈良の田舎町ではこの作品は橿原市にある映画館でしか上映されません。
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 この映画館はアクセスが最悪で、最寄りの田舎駅には一時間に二本しか電車が停まらない。この駅から二つ前には三輪神社で有名な三輪駅もあるので、のんびりした感じになっているので、このローカル気分を楽しむことにしました。奈良から映画館まで一時間以上はかかります。  これなら難波まで出掛けるのとあんまり変わらない。まあ、買い物に出かけるわけではないので、ゴミゴミしたミナミよりもこういうのも良いなあ。  電車が走り出し、次の駅につくと、なんと開けるのも手動だったのにはさらに驚きました。なんか自分が時代遅れになっているのに笑いそうになりました。なんだか楽しい。
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 駅について、10分ほど歩くと映画館に到着しました。全体の開店時間と違い、9時過ぎのスタートなのでほとんど扉が開かず、入り口が分かりにくく、巨大モールを右往左往しましたが、なんとか記憶をたどり、入れる扉から映画館のある三階を目指しました。  日曜日ではあるものの朝一回目の上映でしたので、ほとんど並ばずにチケットを購入し、そのへんをブラブラしていました。去年は座席数が多いスクリーンでしたが、不入りだったため、少ないスクリーンに追いやられていました。  開場してみると、全員で三十人近くが集まっていて、前回の作品上映時よりは多かった気がします。内容は震災復興支援活動、西武ドーム・ライヴの舞台裏での野戦病院のような状態、選抜総選挙の悲喜、チーム4の誕生とトラブルによる葛藤などを描いています。
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 震災復興支援活動にかんしては大所帯の利点を生かし、前田・大島・篠田・高橋・小嶋・柏木らの人気メンバーを二人くらい混ぜた6名程度のメンバーでステージ・バスとともに被災地に出向き、被災者の方々を歌や握手会で励ますという活動でした。  笑顔を届ける活動なので、これからも続けてあげて欲しい。西武ドーム・ライヴの舞台裏での様子は見ている方が辛くなる様子が写し出される。  過密スケジュールによる疲労や緊張からの過呼吸熱中症前田敦子高橋みなみ大島優子らがバタバタと舞台裏で倒れていきます。医療チームも見当たりませんし、明らかに周りの大人たちの管理が悪いのが誰の目にも明らかになる。
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 売れているうちにとことんまで利用しようとする姿勢は疑問に感じる。スタッフの作り込みの甘さがライヴの出来を下げていますし、三日間続くライヴの初日が最悪だったと何度もインタビューに答えているが、それにお金を出して観に行ったファンからすれば、良い気持ちにはならない。  そこは言わずとも良いし、編集段階でカットする配慮が必要でしょう。チーム4の誕生とトラブルについても時間が割かれているのも特徴で、プリクラ騒動で袋叩きにあった大場美奈と彼女の不在期間にチームを支えていた島田の複雑な心境が写し出される様子は見所のひとつかもしれない。  秋元才加のような男前キャラの島田は本来キャプテン向きだと思いますが、女の子っぽい大場をトップに据えています。あたまでは分かっていても、もやもやした感情は消えずにストレートに出してしまう島田の様子はかえって正直に思えます。
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 可愛らしい大場美奈の方がスポットを浴びるのでしょうが、たぶん劇場ファンはスキャンダルを嫌い、島田を贔屓にするのでしょう。前作に比べると、震災復興や舞台裏での苦しみ、チーム内での葛藤などのヘビーな内容で綴られていくので、安易なアイドルのオフ・ショットの様子を見たい人にはキツいかもしれません。  また選抜総選挙の様子、なかでも2010年は一位だった大島優子が舞台裏で高橋・篠田という古参のメンバーに囲まれて号泣するシーンは強烈です。また順位を大幅に落としてしまった板野と河西がともに泣いているのも印象的でした。なんだかんだ言っても、結局観に行ってしまう不思議な対象がAKB48です。  キレイな娘がほとんどいないという声をよく耳にしますが、普通の娘たちだから良いのがこのグループなのです。最近は結構可愛い子達が入ってくるようになっていますが、そういう娘たちはみな同じ顔に見えてしまう。
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 作品は去年に続き、またまた『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』という異常に長いタイトルのAKB48の2011年の活動を追いかけるドキュメンタリー作品として公開されました。  昨年1月に公開された『DOCUMENTARY OF AKB TO BE CONTINUED』は残念ながら、彼女たちの魅力を伝え切れていない散々の出来上がりで多くのファンを失望させ、酷評されました。  映画になるというのは一ファンとしては嬉しいのですが、ただ監督を変えて、好評だったわけではないスタイルをまさか今年も再び二番煎じのドキュメンタリー形式でリリースするとは思いませんでしたが今回、監督を務めた高橋栄樹は大震災を受けて、アイドル・グループとして復興を急がねばならない日本社会とどう向き合うかという難しいテーマにかなりの焦点を絞っている。
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 監督自身が東北出身ということもあり、内容は彼が抱える重苦しさと彼女たちが自分たちに出来る何かをしていきたいという真面目な姿勢がフィルムにきちんと映し出されています。  まあ、大島優子前田敦子渡辺麻友篠田麻里子松井玲奈(SKE48)ら演技が出来そうなメンバーを集めて、コメディか青春物でもやれば、ファンが驚異的な人数に膨れ上がっている現状であれば、観に行く人もさらに多くなるのではないか。  ただ公開時期に問題があり、どうせやるならば春休み期間中とかにしたほうが学生の集客が見込めるのではないかとも思います。しかも公開後初の土日を迎えているという最悪のタイミングでまたスキャンダルが発覚し、中心メンバーではないものの二人のメンバーが脱退しました。
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 活動記録で見ていくと、一昨年のミリオンセラーは『Bigginer』のみでしたが、去年は『桜の木になろう』『EVERYDAYカチューシャ』『フライングゲット』『風は吹いている』『上からマリコ』と5作品連続でミリオンセラーを記録するなどまさに独り勝ちの様相を呈し、ついにはレコ大まで獲得するなど驚異的な売り上げと快進撃が話題になりました。  それでもカラオケで歌われるのが『ヘビーローテーション』『ポニーテールとシュシュ』『会いたかった』が圧倒的な人気を誇っていますし、実際にぼくが大好きな曲はアイドル曲らしい『言い訳MAYBE』や合唱スタイルが美しかった『桜の栞』です。  気になるのはいくら立て続けにミリオンセラーを叩き出しても、肝心の楽曲の劣化がいかんともしがたくなってきているということです。2009年最後の『RIVER』から『桜の栞』『ポニーテールとシュシュ』『ヘビーローテーション』『Bigginer』にかけてがAKBとしての音楽的なピークだったのではないか。
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それでも未来へ 風は吹いている 瞳 閉じれば 感じるはずさ 確かに未来へ 風は吹いている すべて失っても 途方に暮れても 確かに私は ここに存在する 前を塞いでる 瓦礫をどかして 今を生きる  夏ソングらしい快活な『Everyday カチューシャ』やメッセージ性の強い『風は吹いている』などは絶頂期をキープしている緊張感があるものの、レコ大を取った『フライングゲット』や『上からマリコ』は総選挙やジャンケン選抜の話題性やそれまで支えたファンがまだ次の対象を見つけられないために、惰性で買い続けているだけに思える。  秋元康の去年の楽曲でアイドル曲らしい、元気になれて出来が良いなあと思えたのはNot Yetの『波乗りかき氷』とSKE48の『パレオはエメラルド』くらいでした。
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 本体であるAKBのナンバーが弱体化している気がしますので、今年の第一発目のシングルが重要になってくるのではないか。バンド選抜メンバーで挑むようで、ギターに前田・高橋、ベースに大島、ドラムスに柏木、ラッパ隊に松井玲奈・指原・横山・峯岸、そしてキーボードに渡辺と小嶋を起用するようです。  ガールズ・バンド編成でやっていくというスタイルには興味がありますが、急ごしらえのバンドにきちんとリズムがキープできるのかは疑問が残る。まあ、絶頂期に安住せずに、次の次元へチャレンジしていくという姿勢自体は素晴らしいので、見ていきたい。  また人気者グループということで、あちこちのテレビ番組に出てはいるが、各々の力量がはっきりとしてきている。 リーダーの高橋みなみ前田敦子秋元才加指原莉乃大島優子篠田麻里子峯岸みなみ小嶋陽菜らは及第点ギリギリではあるが、それなりの存在感を示している。
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 しかしながら、その他のメンバーのトークは正直かなりキツい。また自らの看板番組だった週刊AKBやネ申テレビに対する力の抜きようはあまりにも露骨で見苦しい。  関西では『AKBとXX』という冠番組があり、初期は人気メンバーが出演していましたが、現在はプロダクションごり押し、もしくは忙しい人気メンバーのバーターでしかないヒマな若手しか出てこないので、まったく訳がわからないし、興味がわかない。  週刊AKBやネ申も似たような感じで、チーム4のバラエティー担当や正式メンバーにもなっていない、何も満足に出来ない研究生(つまり素人!)ばかり出てきていて、急激に番組のクオリティが下がっている。
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 結構見ているぼくらでも誰なんだかわからない娘が増えてきているので、一般の人はついていけないでしょう。また内容も劣化が著しく、録り貯めていたのを出だしの数分見ただけで、もうええわとなり、すぐに消去してしまうほどに、もはやどうでもよくなってきている。  人気メンバーにしても、アイドルとしての人気と芸能人としてのポテンシャルは別問題なので、生き抜いていくのは前田敦子高橋みなみ秋元才加峯岸みなみ指原莉乃大島優子小嶋陽菜などトークや演技が出来るメンバーたちくらいではなかろうか。  今回も前回と同じく、かなりの時間をメンバーのインタビューに割いており、高橋みなみ大島優子前田敦子指原莉乃島田晴香大場美奈山内鈴蘭柏木由紀峯岸みなみらが受け答えしている。
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 笑えるのはじゃんけん大会での峯岸のインタビューで、準決勝に残ったとき、彼女はもし自分が篠田麻里子に勝ってしまい、センター・ポジションを任されたとして、シングルの売上が伸び悩み、一位を取れなかったり、ミリオンを逃したらどうしようと思っていたら、負けてしまったというエピソードを披露する。  指原と共に、バラエティ対応が出来る数少ないメンバーなので、残り少なくなった第一期メンバーとしても注目して見ていきたい。目がクリクリッとしたガチャピンみたいな顔をした娘なので、すぐに覚えられるでしょう。  モー娘。と同じでそろそろスキャンダルで潰れる中心メンバーも出てくるでしょうから、今年辺りがターニング・ポイントになりそうな気もします。
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 それにぼくらオッチャンや幼稚園児まで人気が浸透してしまった現状では後は下り坂しかない。終わりの始まりの一年なのではないか。なんだかんだと言いながらも、好きなので見に行ってしまうのでした。  また驚いたのは日本だけではなく、海外でもかなりの人気を博していて、香港・台湾・中国・ベトナムなどでも歓迎されている様子はなんだか感慨深い。ぜんぜん劇場にもお客さんがいなかった初期からのファンならば、なおさらでしょう。
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 去年の第一作品目は公開された初日に見に行くというミーハーぶりでしたが、今回は本日の初回上映になりました。天下を取った一年の振り返りですが、あちこちに綻びや亀裂が入ってきているので、かなりの荒療治をやっていかないとすべてが早々に崩れ去るのではないか。  今年は選抜総選挙ベスト20だけでグループを組み直すとか、今度のバンドスタイルのように新機軸を打ち出していかないと世間の興味を惹き付け続けていくのは困難でしょう。  残るのは東京ドームと解散ライブだけとなった。次の展開はあるのだろうか。 総合評価 68点