良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『四人の復讐』(1938)ジョン・フォード監督の撮った異色の現代劇。

 WOWOWシネマの深夜帯をぼんやり見ていると、一本のモノクロ映画が始まりました。タイトルは『四人の復讐』とあります。内容は軍の機密を知って、謀略にはまって汚名を着せられて不名誉除隊させられた高潔な軍人が帰宅後に殺害され、残された四人の息子たちが彼の名誉を回復させるまでを描いた作品です。  90分にも満たない尺に復讐劇、犯罪サスペンス、謎の美女が活躍するノワール要素、家族の絆、全世界を股にかけるスケールの大きさ、そして危険な香りがする恋の三角関係をコンパクトに纏めあげています。
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 とてもテンポが良く、暗くなりがちな復讐劇のなかでもコメディ・タッチを盛り込んでいくストーリー構成が小気味良い。最初に誰の作品かきちんと見なかったために、誰の映画だろうか想像しながら、ハワード・ホークスのような職人気質の監督たちを思い浮かべながら、最後まで楽しく見ていました。  劇中で、体制側と反乱軍側の虐殺的な銃撃戦もあったので、ギャング映画を撮った経験もある監督なのかなあと考えたりもしていました。
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 そしてエンド・マークを迎え、エンド・ロールが流れ出したときにクレジットされたのはまさかのジョン・フォード監督でした。『怒りの葡萄』『わが谷は緑なりき』などの作品群もあるのでまったく現代劇を撮らない監督ではありませんが、なんといっても『駅馬車』『荒野の決闘』などの西部劇の代表作を連発してきた彼の作品だとは予想外でした。  これは久しぶりの驚きで、とても良い気持ちにさせてくれます。ジャンル映画を撮り続けていた監督は他の系列を撮らせても、平均点を超えてくるのをあらためて再認識しました。ソフト化はされていないでしょうから、WOWOWやBSで放送されることがありましたら、ぜひご覧ください。
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 主な出演者はヒロインがロレッタ・ヤングで出すぎにも思えますが、かなりの大活躍をしています。そのほかにリチャード・グリーン、ジョージ・サンダース、ジョン・キャラダインら芸達者が出ているので、古い映画ファンは楽しめるでしょう。 総合評価 70点