『DATって、知ってる人いるのかな?』MDの前の録音メディアだが、普及せず…。
DATを知っている人は周りにはほとんどいません。デジタル・オーディオ・テープの略称ですが、一部の音楽マニアか、20年以上前にオーディオ・ファンだった人くらいしか存在を知りません。『新世紀ヱヴァンゲリヲン』の主人公、碇シンジ君がいつもヘッドホンをつけて聴いている小さいのがDATウォークマンです。ぼくもこれはまだ持っています。
カセット・テープの次に来たデジタル録音メディアで、大昔のVHSテープをぎゅっと小さくして5センチくらいにしたものです。発売された当初は次世代メディアはこれに違いないと思いましたが、数年で見なくなりました。
滅亡した理由としては音楽業界がデジタル・コピーを異常なまでに恐れたためのようです。80年代後半から90年代初頭にかけては格安CDなども目の敵にされていた時代でしたので、技術的に優れた商品をリリースしても必ず報われるということにはならなかったのでしょうか。
その後、MDが発売され、さらにCD-Rに進んでいく流れの前にはDATはなすすべもなく消え去り、今では誰も知りませんし、大学生の子たちにこの話をしても、「そんなのあったんですか?」と驚かれてしまいます。ぼくはビデオはベータで完敗し、録音メディアはDATで連敗し、DVD-RAMで三連敗を喫しました。
音質や画質は良くても勝てる訳ではないという不条理にずっと苦しめられていましたが、ブルーレイもそうなるのだろうか。とても心配ですので、負けても良いようにカセット、アナログ・レコード、DAT、MD、CD-Rとすべて音楽メディアのレコーダーとプレーヤーは残していました。
録画系もさすがにベータはもう手元にはありませんが、VHS、DVD-RW、DVD-RAMのレコーダーは残してあります。互換性の問題があり、ある機種では再生できても、他の機種では使えないという訳が分からない選り好みをする機械があるので捨てるに捨てられないAV機器がたくさんあります。
先日、倉庫を整理していると25年以上は前のDATのテープが20本も出てきました。内容を確認してみるとアナログ・レコードから録音した音源で、ほとんどが引越ししたときに紛失したものばかりでしたので狂喜したものの肝心のデッキが行方知れずになっていて、結局は出てきませんでした。
しょうがないので9000円で出品されていたものをヤフオクで落札して、いざ再生してみると経年劣化でイカレてしまっていました。音が大きくなったり、小さくなったりするのでおそらくコンプレッサーや走行系がダメになっていたのかもしれません。まあ、この機種は1998年製造なので15年前ですので諦め、修理に出すことにしました。
修理に出すと20000円掛かるとのことでした。ちなみにレコードからの録音音源を再度ヤフオクで集めようとすると試算しただけでも10万円以上になってしまいましたので、修理に出しました。初期購入額が9000円でしたので、総額で30000円弱かあ…。見積もりが2万円でしたが、部品あるのかなあ。
さすがに生産終了から25年近く経っているメディアですので、修理するにも部品等があるか不安でしたが、つい先日、修理が完了したとの報告があり、まずはホッとしました。
さっそく音楽用CD-Rを取りに行った時に大量購入し、録音に備えましたが、順番どおりに録音していっても、120分X20本なので、40時間にもなってしまう。そんなに録音だけにかかわっている時間はないし、いきなり録音するのも不安なので、テープのたるみを取るためにも、まずは一度は再生していかねばなりません。
下手に早送りで済まそうとすると絡まってワカメテープになるかもしれないという恐怖と戦いながらの再生です。また修理はしたものの、25年近く動かしていなかったDATテープもきちんと慣らし運転しなければならない。
なにせこのデッキの会社はソニーなのです。保障期間が切れるとすぐに壊れるので別名“ソニー・タイマー”と呼ばれるほどですので、完全に録音し終わるまで安心は出来ない。あらかじめ買っておいたクリーニング・テープを回してから再生を始めました。
以下がテープの内容です。20本あるうちの一本ですが、主に80年代の洋楽が多い。
『イージー・ラヴァー』 フィリップ・ベイリー&フィル・コリンズ
『ワンシング・リーズ・トゥ・アナザー』 フィクス
『ノックは夜中に』 メン・アット・ワーク
『グラマラス・ライフ』 シーラ・E
『トゥルー・カラーズ』 シンディ・ローパー
『トーキング・イン・ユア・スリープ』 ロマンティックス
『サムバディズ・ウォッチング・ミー』 ロックウェル&マイケル・ジャクソン
『ステイト・オブ・ショック』 ミック・ジャガー&ジャクソンズ(ボーカルはもちろんマイケル)
『イット・マスト・ビー・ラブ』 マッドネス
『セクシャル・ヒーリング』 マーヴィン・ゲイ
『ブレイクダンス』 アイリーン・キャラ
『ネヴァー・セイ・ダイ』 クリフ・リチャード
『ターザン・ボーイ』 バルティモラ
『サム・ライク・イット・ホット』 パワー・ステーション(シングル・テイク&アルバム・テイク)
『ザッツ・オール』 ジェネシス
『恋の切り札』 ボン・ジョヴィ
『メイジャー・トム』 ピーター・シリング
『アフェア・オブ・ザ・ハート』 リック・スプリングフィールド
『マンイーター』 ホール&オーツ
『ハイスクールはダンステリア』 シンディ・ローパー
『ユー・マイト・シンク』 カーズ
『ミスター・ロボット』 スティクス
『ミス・ミー・ブラインド』 カルチャー・クラブ
『フォー・イン・ザ・モーニング』 ナイト・レンジャー
『ドント・ユー?』 シンプル・マインズ
『ザ・リドル』 ニック・カーショウ
『見つめて欲しい』 フィル・コリンズ
『ドント・クライ』 エイジア
知っている曲はありますか?当時はヒットしたナンバーばかりです。当分はDATからCD-Rへの録音し直しの日々が続きそうです。面倒くさいが、30年前の日々が蘇るので懐かしくて、あまり苦にならない気がします。しかしながらテープは劣化するので急がねばとも思っています。