良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『RED リターンズ』(2013)期待しないで観に行ったら大当たり!楽しく見れました。

 『RED 2』は『RED リターンズ』という邦題がつけられています。あまりにもシンプルなためにリターンズというバットマンみたいな邦題になってしまったのだろう。  年末年始の大忙しの時期でしたので、少ない時間を何とかやりくりして、女友だちとイタリアンでお昼を食べていると突然彼女が「映画を観に行きたい!」と言い出したため、ランチの後に映画館まで歩いて行きました。  道々何を観たいのか聞いてみると、ブルース・ウィリスが出ている『RED』の続編が観たいとのことでした。前作は何も考えずに見れば、楽しめる作品だったので今回もそうだといいなあと思いながら、チケットを購入しました。
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 奈良では公開二週間も経つとほとんどの映画はガラガラで見られるので、のんびりと向かいましたが、なんと今回はいつも取る最後列の席が空いてないとの返事でちょっとビックリしました。さすがに年末年始なのですねえ。  それでも後ろから二列目の真ん中を取れたので良い方です。始まると変な捻りもなく、最近のアクション映画にありがちな高速カット割りも許容範囲ですし、すっと流れが入ってくる見やすい仕上がりになっています。  アクション・スター俳優のブルース・ウィリスの良さが活かされている佳作で、アクションとブラック・ユーモアのバランスがとても上手く取れていて、好感が持てます。ワイルド・スピードみたいなアクション満載のカー・チェイスのシーンではコメディタッチのド派手な作りが笑えます。  出てくる元スパイたちのほぼすべてが性的に屈折していて、しかも皆が笑えるレベルに設定されています。台詞も吹き出してしまうものが多く、上映中の館内はクスクス笑いがあちこちで聞こえる楽しい雰囲気での回でした。
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 個人的に一番笑えたのは敵に薬物を射たれて、意識朦朧としているブルース・ウィリスに彼女役のメアリー=ルイーズ・パーカーが彼を起こすためにバシバシ平手打ちを何発も食らわせるシーンがまずひとつです。  彼ほどになれば、わざわざ何発も殴られる必要はないのにその方が笑えるからという理由で打たれ続ける役者根性が素晴らしい。もうひとつはブルース・ウィリスたちを救いだそうと相手側のエージェントたちをヘレン・ミレンが狙撃しているシーンでのやり取りです。  彼女が引き金に指を掛けたときにハイヒールのかかとがちょっとだけピクリと痙攣する様子に欲情して射撃の邪魔をしてしまうロシアKGBの大立て者が笑えました。ミレンは彼を黙らせるために脱いだ靴を彼に渡す。  するとスパイの大立て者にもかかわらず、猫が削り節を舐めるように満面の笑みを浮かべながら、彼女の赤いハイヒールに頬擦りする様子がたまらなく不気味で、フェチ趣味に笑えてしまいます。
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 かつてスクリーンでよく動いていたブルース・ウィリスをはじめとする出演者たちがみんなちょっとずつ老けたり、動作が遅くなっていたり、丸っこくなっているのが微笑ましい。  そのなかではイ・ビョンホンがムキムキ・マッチョの殺し屋役で出演していて、キレキレの動きで暴れ回っているのですが、かえって笑えてしまうのは何故だろう。  アンソニー・ホプキンスレクター博士に見えてしまうのはそれだけ『羊たちの沈黙』の印象が強すぎるせいでしょうが、ここでもマッド・サイエンティストというSFでも使えなくなってしまった役どころで頑張っています。
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最後の派手な爆死は荒唐無稽なエンディングですが、アクションなんで気にしなくていいですし、彼の最後を描かなかったことで、第三弾にまた出てくる可能性が残ります。  彼女もかなり満足だったらしく、ご機嫌でよく笑っていました。アクション・シーンやカー・チェイスに関してはエンタメに徹した作りがなされていますので、それに対してゴチャゴチャ言うのは野暮ったい。  ジャンル映画は賞取りレースには無縁なので、しかめ面などする必要はない。友だちや家族と一緒の時を楽しめばいい。たぶん大三弾も出るんでしょうね。 総合評価 78点