良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『学生たちの道』(1959)アラン・ドロン初期作品。みずみずしい魅力に満ちた彼を見ましょう。

 二年ほど前にブログ仲間のトムさんとのコメントのやり取りの中でこの作品を観る機会があったことをお話ししていて、近いうちに記事をアップするつもりだったのがいつの間にやら時が流れ流れてしまい、今年2本目の記事となりました。  現在はDVDもつい先日、無事に発売されていて、見るまでの障壁はかなり低くなっていますので、若々しい魅力あふれるアラン・ドロンをぜひ見ましょう。
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 内容は第二次大戦の戦時下、ドイツ軍に占領されている巴里を舞台にドイツ軍の目を盗み、闇商売に手を出す学生アラン・ドロン(夫のいるフランソワーズ・アルヌールとの不倫にのめり込む。)の成長を描きます。  彼と悪友役のジャン・クロード・ブリアリ(女を受験の邪魔になるとクールに捨てていく。)の対照的な性格設定、ドロンの父親役(アンドレブールヴィル)とブリアリの父親役(リノ・ヴァンチュラ)の清貧さと金の亡者ぶりが分かりやすく対比されている。
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 互いの父と息子との関係をも隠しテーマに盛り込み、仲良かったブリアリとリノの関係は父親のケチな小悪党ぶりに嫌気がさしたブリアリが最後に「パパ、汚いぞ!」と罵るまで悪化する。女を抱かされ、騙されたブールヴィルはドロンに真実を聞かされ、落胆するものの父子でゆっくりと心情を語り合い、爆撃をきっかけに関係を改善していく。  ドロンの目つきが浮世離れしている前半から中盤にかけてと後半に事が露見してから、そして父親との話し合いの後ではまるで違っていて、ふざけていた少年が大人の男になっていく過程が描かれているようにも思います。
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 闇商売で検問やドイツ軍のお巡りさんらをはぐらかすためにルル(ピエール・モンディ)がお腹パンパンの状態なのにもかかわらず、ゲシュタポの制服に身を包み、彼らをハッタリで出し抜くシーンはコメディ・タッチで描かれています。  アンドレブールヴィルを黙らせるために情婦(妹には見えないのですが?)をけしかけて、色仕掛けで毒気を抜いていく企みが楽しい。親子共々、同じ店に出入りしている女たちに引っかかるのもどうなのだろうか。
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 ドロンが引っ掛かる海千山千のヒロインはフランソワーズ・アルヌールが演じていて、ほかに出てくる女優陣もけばけばしい人が多い。  アルヌールは当時、人気のあった女優さんのようですが、撮影監督もしくはミシェル・ボワロン監督の趣味なのでしょうが、どうみても足への執着というか、フェチシズムを感じるカットが多い。性描写の中でも倒錯した趣味であるフェチシズムが出てくるのがむしろ成熟した趣味のように思えるのは何故だろうか。  上映時間は80分ほどですのでただひたすらに若き日のアラン・ドロンを見ているだけでも楽しいかもしれません。女好きの僕でも彼の男前ぶりは美しいと思いますので、女性ならばなおさらでしょう。ファミリー映画としても、軽めのラブロマンスとしてもきちんと構成されているので、気楽に見ることが出来るでしょう。
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 カラー映画にはないモノクロ独特の映像がドロンの美しさを際立てています。モノクロからカラーに変わると魅力が落ちてしまうリタ・ヘイワーズと違い、彼はカラーもモノクロもどちらのフィルムにも愛されています。  俳優はフィルムに焼き付いたルックスがとりわけ大切で、映画の歴史の中でもごくまれに映画に愛されているとしか言葉が見つからない俳優や女優がいます。アラン・ドロンはそういうレアな映画人のひとりです。
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 撮り方では基本的にカメラの動きは極力抑えられていますが、さりげなくパンや引きのドリー(ズーム・バックか?)を使い、バスト・ショットを多く用いていて、古典的なハリウッド映画を見るような錯覚があります。  音楽的にはゆったりした、ハリウッド黄金時代の映画を見ていた時に感じたような懐かしさが心地よい。お話は82分という上映時間の制約があるためか、息子のちょっとした騒動の後に防空壕で仲直りした父子がお互いの罪滅ぼしの禊を行うかのように空爆で傷ついた人を志願して助けに行くところで終わる。
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 時期的には1943年なので、あと1年ほどはナチス占領下に置かれる。1944年にはパリは解放されますが、『パリは燃えているか』はその頃のお話ですね。この映画は1959年公開ですので、ドロンが24歳くらいの頃に撮られた映画ということになります。彼自身がブレイクする寸前ではありますが、後年多くの女性ファンを魅了する要素は画面に充満しています。  何気に心に残っているのは  ドロン:女と一晩中、一緒にいるときは何回くらいセックスをしたらいいんだい?  ブリアリ:できるだけ少なくした方がいいよ。  というなんだか奥深いなあと唸らせる会話でした。普通、男らしさを表すのは何回出来るかであったと思いますが、回数ではなく、時間をかけてゆっくりという発想は若いころにはありませんでしたね。またなぜかエッフェル塔を引き画で捉えたオープニングがかなり美しく思いました。
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総合評価 65点
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