良い映画を褒める会since2005

他ブログで映画記事や音楽記事も書いておりました。評価基準は演出20点演技20点脚本20点音楽10点環境10点印象20点の合計100点です。

『魔の火山湖・甦えった巨大生物の恐怖』(1977)『火山湖の大怪獣』という題名でリリース!

 小学生時代にテレビで見た時には『魔の火山湖・甦えった巨大生物の恐怖』という水曜スペシャルみたいな題名で放送されていたのが、ビデオからDVDとフォーマットが変わるたびに題名まで変わり、結果としてDVDタイトルは『火山湖の大怪獣』となってしまいました。  調べていく過程で昔見たヤツだと分かりましたが、本当に分かりづらいので関係者には出来るだけ昔通りのタイトルでの販売をお願いしたい。
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 B級特撮らしい会話シーンでの微妙な間の悪さ、カットごとの時間帯の繋がりのバラバラさ、ストーリー展開とは関係ない無駄なシーンの羅列は現在のコスパ優先の若い世代には受けないのでしょうが、これらの絶妙なハズし方(ハズれ方)をぜひ堪能してほしい。  ストーリーに整合性はなく、あまりにも非科学的で「なんでそうなるの?」という説明に対し、登場人物皆が深く考えずに納得してしまう豪快さにぼくらも押し切られなければいけません。
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 登場人物は一癖も二癖もある者ばかりで、なかでも貸しボート屋を営むレッド・ネックの二人組のインパクトがかなり強い。酒ばかり飲み、汚い格好をして、卑猥な視線を尻軽そうなウェイトレスに送り、観光客からボったくることしか頭にない。  じゃれるように殴り合いの喧嘩をしたり、町にたった一人のお巡りさんには危険なので原因究明まで貸さないように注意されても、貸してしまい、それを言いそびれて誤魔化してしまったり、怪獣が金になるかもしれないと馬鹿な頭で決めつけると途端に猟銃を持って怪獣と対面し、結果的には噛み殺されてしまう。
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 舞台はアメリカの田舎の湖と周辺の街並みだけで、広がりに乏しい。ただこの湖は美しく、大自然に囲まれているとても良い雰囲気の観光地です。  湖の地下洞窟を調査していた科学者たちが恐竜と戦う人間たちの壁画を見ていると、突然隕石が落下して、化石だった卵が孵るという無茶苦茶な説明後に、ここに現れるのが大怪獣なのです。
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 孵化してくるシーンはなく、いきなり成長した怪獣が湖から上がってくるときの視点はかなり低めでどう見ても1メートル程度の高さでしかない。  ところが陸側から怪獣をカメラが捉えるとゆうに体長10メートルくらいはあろうという代物なのです。恐竜らしいのですが、足はなく、水かきを器用に動かして陸を闊歩します。
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 ヒレの付いた、どちらかというと水中生物に見える怪獣が普通に森を歩き回る姿はご都合主義としか思えませんが、特に否定的には見れません。理由としてはコマドリストップモーション特撮の懐かしさを伴う温かみが優れているからでしょうか。  レイ・ハリーハウゼンの一連の特撮作品群が大好きだったので、彼の技術を継承しているような作り込みが嬉しく、ストーリーの出鱈目さなども別段気にもなりません。
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 あまり機能しないお巡りさんと科学者たちが右往左往するうちに釣り客1人、牛一頭、強盗犯1人が餌となり、近所のオッサンと観光の成金カップルがちょっと怪我をしてしまう。  被害が拡大すると、町の住民たちが怪獣を退治するか見世物にするかを住民会議でもめているのも長閑ですし、お巡りさん(科学者はまるで役に立たない。)が操る、小さなブルドーザー(殺人ブルドーザーよりも貧弱で、これで怪獣と格闘するなんて…。)がヘニャヘニャのアームを一振り、二振りペシぺシと当てるだけで、打ち所が悪かったのか怪獣は呆気なく倒される。
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 とりあえず亡骸は残ったので、上手く冷凍すれば、一大見世物小屋を作れるはずです。なんせアメリカ中で恐竜の実物が展示してある博物館などないわけですので鄙びた村は一気に好景気になるに違いない。  この映画のベストな見方は深夜にボオ~ッとしながら、ビールでも飲みながら何も考えずに画面を眺めるのが良いかもしれない。 総合評価 65点